皆さん、こんにちは。平柳です。


今日は夜に別記事で、管理業務主任者向けの内容も書く予定ですが、まずはマンション管理士本試験の問39についてです。


まず、肢1について。


肢1では、「ひび割れの改修を行う場合のUカットシール材充てん工法では、ひび割れの動きが小さい場合には可とう性エポキシ樹脂をシール材として選択することが一般的である。」とされています。


この選択肢を分析すると、適否を判断する重要な要素として4つの内容を含んでいることがわかります。


すなわち、「ひび割れの改修を行う場合の①『Uカットシール材充てん工法』では、ひび割れ幅の②『動きが小さい場合(「幅の大小」ではなく、「動きの大小」の記述であることに注意)』には、③『可とう性エポキシ樹脂』を、シール材として選択することが④『一般的』である」というものです。


この点、昨年(平成20年)のマンション管理士の問37の肢3で、「挙動があるひび割れを充てん工法により補修する場合は、可とう性のエポキシ樹脂やシーリング材を使用することことが一般的である。」というのがあります。


これは「適切」な肢として出題されていましたから、それを前提に考えなければなりませんが、ここでは「挙動がある」としか表現されていません。


ところが、今回の出題では、「ひび割れの動きが小さい場合」という表現が使われています。


この表現はまったく不明確ですね~。


皆さん、「動きが小さい」という日本語を読んだ場合、「挙動があるけれど小さい」という意味で捉えますか?それとも、「挙動がないと言っていいくらい小さい」という意味で捉えますか?


なんでこんなことを言うかというと、建築系の専門書や文献では、ひび割れ改修工法を全て「挙動性あり」と「挙動性なし」とで区別しており、「動きがの大小」という表現を区別基準としていないからなのです。


ちなみに、平柳が専門書等の文献やら何やらホントに色々と調べた結果、どうやら言えることは、


(1)挙動性が「ある」場合

①ひび割れ幅0.2mm未満

→シール工法(可とう性エポキシ樹脂)


②ひび割れ幅0.2~1.0mm以下

→(a)自動式低圧樹脂注入工法(軟質系エポキシ樹脂)

(b)Uカットシール材充てん工法(可とう性エポキシ樹脂)


③ひび割れ幅1.0mm超

Uカットシーリング材充てん工法(シーリング材)


(2)挙動性が「ない」場合

①ひび割れ幅0.2mm未満

→シール工法(パテ状エポキシ樹脂)


②ひび割れ幅0.2~1.0mm以下

→自動式低圧樹脂注入工法(硬質系エポキシ樹脂)


③ひび割れ幅1.0mm超

(a)Uカットシール材充てん工法(可とう性エポキシ樹脂)

→(b)手動式低圧樹脂注入工法(硬質系エポキシ樹脂)


というものです。


そうなると、今回の肢は「Uカットシール材充てん工法では」となっていますから、これを「前提条件」として考えるとすると、該当するのは、「(1)②(b)」、「(1)③」、「(2)③(a)」の3つですね。


もし、「ひび割れの動きが小さい」という意味が、「挙動性がある(が小さい)」という意味で使われているならば、(1)でUカットシール材充てん工法が取られるパターンには②(b)以外にも、シーリング材を使用する③がある以上、「一般的」と表現してよいのか?という疑問が生じます。


他方、「挙動はない(と言えるほど小さい)」という意味で使われているのであれば、(2)の③は一つしかありませんから、これだったら一応成り立つ。


となると、本肢を疑問を挟まずに「適切」とするには、「動きが小さい」という意味を、「挙動なし」と捉えなければならなくなります。


どうなんでしょう?「動きが小さい」という日本語は、「挙動ありではなく、挙動なしだ」って誰もが疑問なく読めるものなのでしょうか。


そういう意味で、この選択肢は表現の仕方がつめられていないな…という感があるわけです。


他方、肢4についてですが、「上塗りのみの塗り替え」という問題ですね。


「塗膜剥離剤工法」というのは、公的な文献では、塗膜の除去→下地のひび割れ部等の補修→水洗い→下地処理」という工程を経るものとされています。


塗装は「下地、下塗り、中塗り、上塗り」などの層があるわけですから、上記のように「下地処理」まで内容に入るのであれば、「上塗りのみ」とするのはどうなの?そもそも「上塗り」ってどこまでを指しているの?ということになってきます。


予備校は基本的に肢4を答え(つまり不適切)としているわけですが、さてさてどうなることやら…。


ここから先は作成者の意図するものがどちらだったかということですし、答えを決めるのは試験委員ですから、残念ながら平柳にあれこれ言われてもなんともしようがありません。べーっだ!


僕が既に終わってしまった試験について「答えは○番!」と言ったって、何の意味もないですしね。しょぼん


まあ、はっきりしているのは、この問題は合否を分ける問題にはならないということです。


こんなところではなく、勝負はもっと別のところでメラメラしていなければなりません。


なお、マン管の個人的な全問分析ももうすぐ終わります。明日くらいには結果をアップしようと思いますので、またブログを見に来てくださいね!


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