【73人が「要精密検査」 取手市内24校心臓検診】
取手市の市民団体は二十五日、市立小中学校二十四校の二〇一二年度の心臓検診で、一次検査で「要精密検査」と診断された児童・生徒の数が一一年度に比べて急増していることを公表した。
心臓検診は取手市教委が毎年五月中に小学一年生、中学一年生に実施している。公表したのは「生活クラブ生協取手支部」(根岸裕美子代表)、「放射NO!ネットワーク取手」(本木洋子代表)、「とりで生活者ネットワーク」(黒沢仁美代表)の三団体で、市教委などの資料を基に調べた。
それによると、一二年度に一次検診を受けた小中学生千六百五十五人のうち、七十三人が要精密検査と診断された。一一年度の二十八人から二・六倍になり、中学生だけで見ると、十七人から五十五人と三倍強に増えていた。
また、心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒も一〇年度の九人から一一年度二十一人、一二年度二十四人と推移。突然死の危険性が指摘される「QT延長症候群」とその疑いのある診断結果が、一〇年度の一人、一一年度の二人から八人へと急増していた。
市民団体は「心臓に異常が認められるケースが急増しているのは事実。各団体と相談して年明けにも関係各機関に対応策を求めていきたい」としている。
藤井信吾市長の話 データを確認したうえで対応策を考えたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20121226/CK2012122602000145.html
-----------------------------------------------------
えーっとですね
福島県
平成24年度学校保健統計調査速報
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=17100
「福島県統計課編 平成24年度学校保健統計調査速報から抜粋(又は作成)」
図表(Excel形式:173KB) 表5
心電図異常(%)
H22 小学生2.9 中学生2.8
H24 小学生2.1 中学生3.3
H24全国 小学生2.3 中学生3.3
この様に、福島県ですら有意な結果が取れません
茨城県の平成24年度学校保健統計調査速報にみる心電図異常
http://www.pref.ibaraki.jp/tokei/betu/kyouiku/gakuhoken24s/index.html
小学生 3.3
中学生5.5
取手市は「小中学生千六百五十五人のうち、七十三人が要精密検査と診断された」
つまり小中で4.4%なのですから、「取手市が茨城県の中でもホットスポットでとりわけ多い」というわけでは無いことが分かります
また中学生で5.5%という割合ですが
大阪府も高知県も新潟県も秋田県も5%程度、特に珍しい数値ではありません(目についた県のデータだけ)
大阪府
http://www.pref.osaka.jp/hodo/attach/hodo-12255_4.pdf
統計表3-1
H24 小学生4.2 中学生5.4
秋田県
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1134969734995/index.html
エクセルP12
H24 小学生4.9 中学生4.6
新潟県
http://www.pref.niigata.lg.jp/tokei/1356040902673.html
表-5
H24 小学生4.4 中学生5.2
いずれも心電図異常の割合が、福島や茨城より高水準であることが分かります
また年度ごとの差異について、山形県のデータを見てみると
http://www.pref.yamagata.jp/ou/kikakushinko/020052/data/gaho/H24_gakuho_sokuhoutoukeihyou.pdf
心電図異常の割合
年度(平成) 小学生 中学生
7 2.1% 3.4%
8 1.2% 1.5%
9 1.7% 3.5%
10 2.3% 2.7%
11 2.6% 2.6%
12 1.3% 4.1%
13 1.4% 4.6%
14 1.6% 3.7%
15 2.3% 3.5%
16 2.5% 3.0%
17 1.8% 3.1%
18 2.1% 4.3%
19 1.9% 4.4%
20 2.5% 5.5%
21 3.2% 4.9%
22 2.8% 5.4%
23 2.2% 4.8%
24 3.6% 4.4%
この様に推移の変動は激しく(そりゃ小中の1年生が対象なんで、経過を見ているわけでは無いですし、ある程度の変動は当たり前なんですが)
2倍程度の変動値は、特に珍しいことでは無いことが分かります
年度ごとの変動に一々理由を付けるのは難しいでしょう。
ただ変動値として、茨城県の数値は、確かに昨年よりは増えてますが、他県の変動値と比較するなら誤差の範囲と言えるでしょう。
たまたま山形県の推移は表になって見やすかったので挙げましたが、こういう年度ごとの変動は、いろんな県の同一指標に見て取れます
結論として
こうしたデータから、異常がないか、影響はないかどうかを見るのは、有益なことだと考えます
が、今回のデータで「原発事故の影響」とは到底言えないでしょう。
完全に否定できるわけでは無いですが、同じような心電図異常の変動値は他県のデータにも見られ、また、福島県では影響が見られないことから、単に茨城県や取手市のデータが、統計的に言えば
「ハズレ値」「通常見られる変動値の範囲内」
としか言えないです。
心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒の割合も全国的に見れば、異常な値では無いです。
こうした検証を行う上で、常々、「データを集めて、比較することの大切さ」を痛感します
今まで新聞に書いてあることがどれだけいい加減か、いい加減な知識でいい加減な記事を書いているか、色々検証してきました
面倒なので、そこまでされない人が多いと思います(というか新聞に書いてあったらそのまま鵜呑みでしょう)
ですが、私はやります。
そういう性分というか、自分のスタイルなので。
取手市の市民団体は二十五日、市立小中学校二十四校の二〇一二年度の心臓検診で、一次検査で「要精密検査」と診断された児童・生徒の数が一一年度に比べて急増していることを公表した。
心臓検診は取手市教委が毎年五月中に小学一年生、中学一年生に実施している。公表したのは「生活クラブ生協取手支部」(根岸裕美子代表)、「放射NO!ネットワーク取手」(本木洋子代表)、「とりで生活者ネットワーク」(黒沢仁美代表)の三団体で、市教委などの資料を基に調べた。
それによると、一二年度に一次検診を受けた小中学生千六百五十五人のうち、七十三人が要精密検査と診断された。一一年度の二十八人から二・六倍になり、中学生だけで見ると、十七人から五十五人と三倍強に増えていた。
また、心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒も一〇年度の九人から一一年度二十一人、一二年度二十四人と推移。突然死の危険性が指摘される「QT延長症候群」とその疑いのある診断結果が、一〇年度の一人、一一年度の二人から八人へと急増していた。
市民団体は「心臓に異常が認められるケースが急増しているのは事実。各団体と相談して年明けにも関係各機関に対応策を求めていきたい」としている。
藤井信吾市長の話 データを確認したうえで対応策を考えたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20121226/CK2012122602000145.html
-----------------------------------------------------
えーっとですね
福島県
平成24年度学校保健統計調査速報
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=17100
「福島県統計課編 平成24年度学校保健統計調査速報から抜粋(又は作成)」
図表(Excel形式:173KB) 表5
心電図異常(%)
H22 小学生2.9 中学生2.8
H24 小学生2.1 中学生3.3
H24全国 小学生2.3 中学生3.3
この様に、福島県ですら有意な結果が取れません
茨城県の平成24年度学校保健統計調査速報にみる心電図異常
http://www.pref.ibaraki.jp/tokei/betu/kyouiku/gakuhoken24s/index.html
小学生 3.3
中学生5.5
取手市は「小中学生千六百五十五人のうち、七十三人が要精密検査と診断された」
つまり小中で4.4%なのですから、「取手市が茨城県の中でもホットスポットでとりわけ多い」というわけでは無いことが分かります
また中学生で5.5%という割合ですが
大阪府も高知県も新潟県も秋田県も5%程度、特に珍しい数値ではありません(目についた県のデータだけ)
大阪府
http://www.pref.osaka.jp/hodo/attach/hodo-12255_4.pdf
統計表3-1
H24 小学生4.2 中学生5.4
秋田県
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1134969734995/index.html
エクセルP12
H24 小学生4.9 中学生4.6
新潟県
http://www.pref.niigata.lg.jp/tokei/1356040902673.html
表-5
H24 小学生4.4 中学生5.2
いずれも心電図異常の割合が、福島や茨城より高水準であることが分かります
また年度ごとの差異について、山形県のデータを見てみると
http://www.pref.yamagata.jp/ou/kikakushinko/020052/data/gaho/H24_gakuho_sokuhoutoukeihyou.pdf
心電図異常の割合
年度(平成) 小学生 中学生
7 2.1% 3.4%
8 1.2% 1.5%
9 1.7% 3.5%
10 2.3% 2.7%
11 2.6% 2.6%
12 1.3% 4.1%
13 1.4% 4.6%
14 1.6% 3.7%
15 2.3% 3.5%
16 2.5% 3.0%
17 1.8% 3.1%
18 2.1% 4.3%
19 1.9% 4.4%
20 2.5% 5.5%
21 3.2% 4.9%
22 2.8% 5.4%
23 2.2% 4.8%
24 3.6% 4.4%
この様に推移の変動は激しく(そりゃ小中の1年生が対象なんで、経過を見ているわけでは無いですし、ある程度の変動は当たり前なんですが)
2倍程度の変動値は、特に珍しいことでは無いことが分かります
年度ごとの変動に一々理由を付けるのは難しいでしょう。
ただ変動値として、茨城県の数値は、確かに昨年よりは増えてますが、他県の変動値と比較するなら誤差の範囲と言えるでしょう。
たまたま山形県の推移は表になって見やすかったので挙げましたが、こういう年度ごとの変動は、いろんな県の同一指標に見て取れます
結論として
こうしたデータから、異常がないか、影響はないかどうかを見るのは、有益なことだと考えます
が、今回のデータで「原発事故の影響」とは到底言えないでしょう。
完全に否定できるわけでは無いですが、同じような心電図異常の変動値は他県のデータにも見られ、また、福島県では影響が見られないことから、単に茨城県や取手市のデータが、統計的に言えば
「ハズレ値」「通常見られる変動値の範囲内」
としか言えないです。
心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒の割合も全国的に見れば、異常な値では無いです。
こうした検証を行う上で、常々、「データを集めて、比較することの大切さ」を痛感します
今まで新聞に書いてあることがどれだけいい加減か、いい加減な知識でいい加減な記事を書いているか、色々検証してきました
面倒なので、そこまでされない人が多いと思います(というか新聞に書いてあったらそのまま鵜呑みでしょう)
ですが、私はやります。
そういう性分というか、自分のスタイルなので。