衛生科と言う職種 | I LOVE 陸上自衛隊

衛生科と言う職種

衛生科は言うまでもなく、旧軍の衛生兵と軍医の事で、傷病者や病気などの治療等に関する事を担当します。職種徽章は、アスクレピオスの杖(蛇杖。医療を象徴するもので、大規模病院などの医療機関でも使われている、おなじみのものです)及び桜花を組み合わせたもので、略号はMedicのMe。職種カラーは基本は緑ですが、衛生職種は配属先がかなり多いので、一概に緑とは断言はできません。


この職種は3つの大きな特徴があります。1つ目は飛び級の多さ・2つ目がWAC(女性自衛官)の多さ・3つ目が配属先の多さです。まず、配属先ですが中央即応集団直轄の対特殊武器衛生隊(朝霞駐屯地)、各方面隊には各方面総監部所在駐屯地に「方面衛生隊」が置かれています。師団・旅団には後方支援連隊(隊)に衛生隊が、他の職種(普通科・機甲科・施設科・特科・通信科etc.)のHS(本管)中隊等に数名の衛生科隊員が配属されます。これらの衛生科隊員は部隊の職種カラーを付けるので、1師団の某通信大隊のHS中隊・衛生小隊にいる私の旦那(2曹)は職種徽章こそ衛生科ですが、ワッペンの色は通信科の青です。


他には駐屯地の医務室や自衛隊病院に配置され、傷病者等の治療に従事します。後期教育を終了した衛生科隊員は「防衛省陸上幕僚長」の職印が付された衛生腕章を装着しますが、これには理由があります。ジュネーブ条約によって、衛生兵への攻撃は(武装して構えている時以外は例外として)一切禁止されているので、自身が衛生職種である事を敵味方に分かるようにアピールする事を目的としています。


次にWACの多さですが、陸上自衛隊では看護学生(男性の受験も可。卒業後に2曹に任命。国家試験不合格者は3曹に任命)を毎年募集しており、また女性自衛官の新隊員の中にはこの精度を知らずに、新隊員過程に配属されてくる看護士の資格を持つ女性も多く、衛生科による基礎後期教育の後、更に看護士の教育を受けて飛び級で3曹になります。他にも、理学療法士・作業療法士・診療放射線技師・臨床検査技師・栄養士・救急救命士(准看護師資格併有者)・歯科技工士はの資格を持って入って繰る新隊員もたまにいて、この時に「衛生科」に行く事を前期教育の班長から薦められます。薦め方は「この資格があったら陸曹に必ずなれるし、定年まで安泰だ。そして公務員だから年金の心配もない」と進めて衛生科に配属され、三宿駐屯地で専門教育を受けた後、やはり飛び級で2曹に(准看護士と歯科技工士は3曹)になるのです。そう言う意味では幹部・陸曹は医療技術を持った隊員が多いのが特徴です。


なお、過去に私が区隊長をしている時に、1度だけですが「薬剤師」の資格を持った曹候補士がいて、言うまでもなく飛び級で3尉になってしまった隊員がいました。前期の時は区隊長と呼ばれていたのが、3尉になって「媛乃さん」ですからね。あれには参ってしまいました。ホントごくまれに医学部を卒業したての医師や歯科医師、薬剤師が任期制隊員や曹候補士を受けてくる事も多く、当然衛生科(最近は化学科にも配属される事が多い)に配属され、後期教育の後、三宿駐屯地の衛生学校と自衛隊病院で研修医をやった後で2尉になります。これは防衛医科大を出たのではなく、その存在すら知らずに自衛隊に入った隊員の事で、研修医制度と言うのは「必ず行う義務はない」ので、卒業後に自衛隊に入ってくるのですが、結局元の木阿弥で衛生科に配属されてしまうのです。


意外かも知れませんが、衛生科の隊員は「レンジャー」の資格を持った隊員が多く、理由としては自衛隊の訓練は、午後のジョギングと基礎訓練以外には「必ず衛生隊員が同行」するのです。内容にもよりますが、行軍の場合は1名・特科の演習の時は4~5名は必ず同伴していました。


レンジャー訓練にも当然のように衛生隊員が同行するのですが、もちろんレンジャー資格のない隊員だと、レンジャー教育のサポートができません。そのため、衛生レンジャーは結構多いのです。ちなみに私の旦那も衛生レンジャーです。元々体育の教員免許&ライフセイバーの資格を所有していたのですが、出身が鹿児島県。旦那の地元の鹿児島では「自衛隊に入る事は、町の栄誉」みたいな風習があり、旧軍の赤紙出兵のように「○○君、バンザーイ!」って今でもやるんですよ。これ、本当に。自衛隊に鹿児島県出身者がやたらと多いのは、こう言う事からです。そう言う訳で、私の旦那は東京来てから20年経つと言うのに、未だに鹿児島訛りが抜けません。「部隊に鹿児島出身者が多いから、標準語を使うのがかえって煩わしい」との事ですが、せめて、家庭では分かる言葉を喋って欲しいな。最も私も常時喋るのは大阪弁ですけど(笑)