大竹しのぶさんのピアフ
雨の土曜日、日比谷まで
『ピアフ』を観に行きました。
お芝居の中で挿入歌として歌われる『枯葉』に
淳一さんの訳詞が使われているため、お誘いを受けたのです。
『枯葉』は昭和27年に淳一さんがパリから帰国する際に
持ち帰って日本語に訳し、レコード化したのが
日本語訳がついた最初です。
二十代から四十代までのピアフとして、14、5曲の歌を
歌い上げた大竹しのぶさん。
特に中盤に歌われた『モン・デュー(私の神様)』には
確かな説得力で胸を衝かれ、
思わず涙がこぼれました。
もちろん、最期の『水に流して』もーーー。
ピアフ生誕100周年、
同時代に、淳一さんも巴里でこの歌を聴いたのだと
思いながら、
演じる側と観る側とが、
同じ空間と時間を共有できる演劇というものの力を、
心にたくさん受け止めて帰途につきました。
風の中のともしび
消えていった倖せを
底知らぬ闇の中
はかなくも呼び返す
夜のしじま流れて
蒼く 冷たい
冬の街角に立ちて
ただ生きていたという
力うせたこの身
ああ忘れられぬ
過ぎた日の悲しみ
あの夜の恋の歌
枯葉よ 絶え間なく
散りゆく 枯葉よ
風に散る 落葉のごと
冷たい土に
落ち果てて
過ぎた日の
色あせた愛の歌を
ひそかに胸の内に
寂しくも聴くよ
中原淳一