警察に通報された救済魔人 | 931

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第六天が雨yayoiが晴れとせん

いつしかyayoiに性的虐待を加えられただとか

暴力を振るわれ金を脅し取られたなどとする黒い噂が囁かれる様になった


いつもの様に救済ライブを行った時に一人の少年が激昂しながら私に詰め寄った


「何が救済者だ!このアナキー野郎が!」


私に掴みかかってきた少年の眼差しは怒りの烈火に燃えており

私の顔面に彼の炎が飛び火した


私は黙って血を流しながら彼の炎を受け止め続けた


「黙ってないで答えろ屑!」


燃え上がる炎は、いづれ周囲を燃やしつくし消える

その事を知っていた私は、ただ黙って熱い痛みに耐え続けた


彼が殴り疲れ息切れをしながら落ちつきを取り戻した頃に

なぜ、ここまで怒りの炎が燃え上がったのか彼に尋ねた


話を聞くと彼は、私が自分で働きもしないで脅し取った金で生きている悪でありながら

正義面して講釈を垂れてる事に我慢できなくなったと言うのだ


洗脳され私の信者に成ってる人達を救う為にも

悪の教祖である私を討ちに来たと言うのだ


彼の大儀を聞いた後に私は言った

「悪を正そうとする心は立派だが君は手段を間違えてる」


暴力で悪を討つ行為が悪であるからだ


真に正義の為に大儀を果たしたいのなら

暴力と言う手段で解決を図らず

別の方法で解決を図るべきだった


なおも怒りが収まらない彼は私に叫んだ

「だったらお前を警察に通報してやる!」


私は伝えた

「犯罪性が高いと感じるのなら国民として警察に通報する行為は立派だ

君は君の信じる正義を全うするがいい…」


警察署に連れていかれた私は取調べを受けたが

結局、私が金を脅し取ったり性的虐待を加えた等とする類の噂が真実だという証拠は無く釈放された


警察署から出てきた私に人々は唾を吐きながら罵声を浴びせた


「証拠が無いから不起訴か・・・上手い事やりやがって!犯罪者が!!」



私は彼らを見て思った


彼らは正義の心を持った人達だ

正義の心があるが故に私を断罪しようとしているにすぎない


もしも私が処断され、それで彼らが正義の名の下に一つになり

今の世の中に平和が訪れるのなら私は悪として死のう


そして幾つもの時を越えて私は復活するだろう


後の人々が「救済魔人は正しかった」と再考したときに

私という概念が再来する


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