99城目  No.90平戸城(2010年3月7日登城) | 城めぐりん

99城目  No.90平戸城(2010年3月7日登城)

 平安時代末から松浦地域では、水運や交易に優れた武士の一族が松浦党として活躍。平戸の松浦氏は戦国期に力を伸ばし、平戸湾には明船が行き交い、天文19年(1590)からは南蛮貿易の拠点として栄えたという。

 慶長4年(1599)、初代藩主・松浦鎮信が、三方を海に臨む亀岡山に日之嶽城を築城するが、慶長18年(1613)に焼失する。幕府による改易を恐れて、鎮信自ら破却したのではないかとも言われている。以後、長らく城は築かれず、藩主は中之館、御館を居所としたという。

 元禄16年(1703)、藩主が寺社奉行に抜擢されたのを機に、幕府に新規築城を願い出て許された。宝永元年(1704)から5代藩主・松浦棟が日之嶽城跡に新たに平戸城の築城を開始し、享保3年(1718)に完成した。築城を指揮したのは、軍学者・山鹿素行の弟で弟子の義昌で、本丸、二の丸をはじめ、外郭ラインの至るところに山鹿流軍学による折れや屈曲が施されているという。

 明治4年(1871)、廃藩置県により廃城となり、北虎口門、狸櫓を残し建物は取り壊された。本来、天守は建てられなかったが、昭和37年(1962)、本丸北東隅の沖見櫓跡に三重五階の模擬天守が建てられた。


 佐世保市内のホテルをチェックアウトし、レンタカーを北へ走らせ、約1時間で平戸へ到着。平戸観光協会の入っている城の北のレストハウス前の無料駐車場へ車を停めて登城開始。

 駐車場脇から坂を登っていくと北虎口門が見えてくる。北虎口門は本丸北下に位置しており、改変されている部分が多いが、城内に現存する木造遺構である。石垣と石垣の間にのった櫓渡り門様式で、藩主の私邸に最も近く、二の丸御殿への通用門でもあったという。


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 北虎口門に向かって左を見ると、同じく現存する狸櫓が建っている。


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 北虎口門の右手奥の石垣の上に建つのは地蔵坂櫓。


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 北虎口門を入って右手に券売所があるが、まだ本丸跡へ入れる時間になっていなかったので、先に二の丸跡周辺を散策する。北虎口門から右の方へ上っていくと、先ほど外側から見えた二層の地蔵坂櫓が建っている。昭和37年(1962)復興。


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 二の丸跡には亀岡神社が建っており、その社務所の横を歩いて南へ進むと、復興された三層の乾櫓が建っている。内部は売店になっている。


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 乾櫓から南へ進むと二の丸西側の方啓門跡。方啓門は新城築城の際、新たに造られた枡形門とのこと。


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 方啓門跡の枡形を抜けて外へ出る。外側から乾櫓を眺める。


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 ここから一旦、国道383号が走る城跡の南側へ回る。そこからあらためて登城する。


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 現在は亀岡神社の参道となっている大手道を進んでいく。

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 一つ目の鳥居をくぐって大手道を進んでいくと、もう一つ鳥居が見えてくる。この場所が大手一ノ門跡。


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 鳥居をくぐって枡形の石垣の間を抜けて左へ曲がる。


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 左へ曲がった先が大手二ノ門跡。


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 大手一ノ門と二ノ門の間の右側の石垣。


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 左側の雁木。


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 大手二ノ門跡には礎石が残る。


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 大手二ノ門跡を抜けて右へ曲がり、二の丸跡の中を歩いていく。


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 そのまま北へ進むと亀岡神社が建っている。その手前を右の方へ行くと市営相撲場があり、その東に復興された二層の懐柔櫓が建っている。


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 懐柔櫓の前から北の方を見上げると、同じく復興された二層の見奏櫓が高石垣の上に建つ。


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 本丸跡の開場時間となったので、北虎口門のところまで戻り、入場券を購入して門の手前を右の方へ上っていく。


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 北虎口門のすぐ上にあるのが現存の狸櫓。天保元年(1830)頃、修理のためこの櫓の床板が全部はがされた。櫓に住みついていた狸が困り果て、城主に「これからも櫓に住まわせてください。末永く城を守ります」と嘆願した。すると、城主もこれに応え、櫓の床を元通りにしてやったという言い伝えがあるのだという。そのため、本来は「多聞櫓」であるが、「狸櫓」と呼ばれているとのこと。


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 本丸前門をくぐって上って行く。


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 枡形となった石段を登って本丸跡へ入る。


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 本丸跡には昭和37年(1962)に三重五階の模擬天守が建てられた。本来、平戸城に天守はなく、この場所には二層の沖見櫓が建っていたという。

 模擬天守の中へ入る。内部は資料館となっており、松浦家代々の豪奢な調度品や遺品などが展示されている。


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 模擬天守から見奏櫓を眺める。見奏櫓は狭い平戸瀬戸を見守り、見下ろすようにして建っている。


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 模擬天守から懐柔櫓を眺める。遠くには赤い平戸大橋も見える。


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 模擬天守を出て裏へ回り、見奏櫓の方へ向かう。


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 見奏櫓の前から模擬天守を見上げる。


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 この後、北虎口門から外へ出て駐車場へ戻り、車で松浦史料博物館へ行く。この場所は、平戸松浦氏発祥の地といい、古くは松浦氏の居館があり、藩庁としても利用されたが、平戸城築城後は別邸となったという。


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 現博物館は、松浦氏の邸宅として明治26年(1893)に再建されたもの。旧平戸藩主・松浦家に伝来する貴重な資料や秘蔵品などが展示されている。


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 松浦史料博物館の前から平戸城を遠望する。


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