81城目 No.92島原城（2009年11月22日登城）

　元和2年（1616）に大和五条から転封された松倉重政は、旧領主・有馬氏の日野江城に入るが、戦国期城郭の要素が強かったため、元和4年（1618）から森岳に島原城の築城に着手し、寛永2年（1625）に完成した。しかし、築城のための課役やキリシタンの弾圧、過酷な年貢などが要因となり、寛永14年（1637）、農民たちが天草・島原の一揆を起こす。翌15年（1638）、一揆勢は鎮圧されるが、一揆を押さえられなかった責任をとらされ、松倉氏は改易となる。

　代わって高力忠房が遠江浜松から入封。高力氏も2代で改易となると、寛文9年（1669）に松平（深溝）忠房が丹波福知山から入る。その後、寛延2年（1749）には戸田忠盈が下野宇都宮から入封。安永3年（1774）に再び松平（深溝）氏が入封し、明治に至った。

　明治になって城郭はすべて破却されたが、昭和35年（1960）に西の櫓が復興され、昭和39年（1964）に天守が外観復元され、その後、巽櫓、丑寅櫓も復興された。

　宿泊していた熊本市内のホテルを早朝にチェックアウトし、交通センターからバスで熊本港へ移動。そこからは高速フェリー「オーシャンアロー」で島原外港へ、約30分で到着。港から島原外港駅へ行き、島原鉄道に乗って島原駅で下車。島原駅の駅舎も、どこか城郭建築風。

　既に駅から見えている天守を目指し、真っ直ぐ西へ延びる七万石坂を歩いていくと、水堀に突き当たる。右に目をやると復興された丑寅櫓。

　左を向くと、同じく復興された巽櫓。

　堀に沿って周囲を時計回りに歩いていく。本丸南面の高石垣には、死角をなくすための多重の折れが見られる。堀には酔妃蓮という蓮が巡らされている。明治期に食用として植えられたという。

　さらに進んで南西から本丸跡を望む。

　西側の本丸正面入口から中へ入る。この入口は、天守再建にあわせ、本丸跡へ直接出入りする道路として付けられたもので、本来はなかったものである。

　登城路を歩いて本丸跡へ入っていく。

　坂を登りきると目の前に白色総塗籠めの天守がそびえる。五層五階地下一階の層塔型天守。昭和39年（1964）に外観復元された。

　早速、天守の中へ入る。内部には、キリシタン関係の史料や藩主や島原城関係の文物などが展示されている。また、最上階は展望所となっている。

　天守を出て、本丸跡東南隅の巽櫓へ行く。昭和47年（1972）に復興されたもので、郷土出身、日本彫塑界の巨匠の作品を展示する、北村西望記念館となっている。

　そこから北の方へ歩いていく。

　その先に建つのは丑寅櫓。昭和55年（1980）に復興され、内部は民具資料館となっている。

　今度は本丸跡の西側へ回る。西南隅に建つのは西の櫓。城内の一番高い所に建っている。昭和35年（1960）、最初に復興された櫓。

　ここから振り返ってみる天守の姿も美しいが、天守のすぐ周りが駐車場となっているのはどうか。

　この後、本丸跡に建つ観光復興記念館にも入場し、普賢岳噴火災害の歴史などの展示を見学してから、城外へ出る。本丸跡西側の堀沿いを歩いて北の方へ進む。

　島原城は本丸、二の丸、三の丸を連郭式に連ねた縄張となっている。現在、二の丸跡には文化会館などが建っている。

　本丸跡と二の丸跡の間の堀。かつては本丸と二の丸の間に廊下橋が架けられ、敵が攻めよせたとき、橋を切って落とし、独立した本丸に籠城する仕組みであったという。本丸へは、ここを通るほかに橋はなかった。

　この後、城の西にある武家屋敷通りへ行く。道の中央には幅70ｃｍほどの水路が流れ、両側には石垣がつづく。

　通りには、篠塚邸、山本邸、島田邸と3軒の武家屋敷が現存し、それぞれ見学することができる。

　武家屋敷を見学後、歩いて駅の方へ向かう。途中、二の丸跡の北西、島原商業高校のそばに時鐘楼がある。松平忠房のときに作られた青銅の時鐘が、昭和55年（1980）に地元の協力により復元されたという。

　この後、島原駅へ戻る。