53城目  No.69鬼ノ城(2009年6月13日登城) | 城めぐりん

53城目  No.69鬼ノ城(2009年6月13日登城)

 鬼ノ城は、標高約400mの鬼城山に築かれた神籠石系の古代山城。660年に唐・新羅連合軍が百済を滅ぼしたのを契機に、朝鮮半島へ進出していた大和政権は、663年の白村江の戦いで唐・新羅に大敗する。その進攻に備えるため、大野城をはじめとする朝鮮式山城を西日本の要所に築城したことが日本書紀に記されているという。記録には表れないものの、朝鮮式山城と同種遺跡の神籠石系山城が16城あり、鬼ノ城もその一つと考えられている。

 鬼城山の尾根筋に沿って全長2.8kmの城壁がめぐらされ、城門4ヵ所、水門6ヵ所、角楼1ヵ所、高石垣などから構成される。平成13年(2001)から史跡整備が行われ、西門や角楼、版築土塁などの復元が行われている。


 初の古代山城への登城。

 砂川公園のところから、途中車1台がやっとのところがある狭い山道を登って鬼城山ビジターセンターへ向かう。駐車場に車を停め、まずはビジターセンターで、展示パネルや地形模型、西門の復元模型などを見て、散策前に学習をする。


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 ビジターセンターで案内リーフレットをもらって散策開始。整備された遊歩道を登っていく。途中、右手の方へ分かれる道があり、そちらへ進むと学習広場という展望台に出る。ここからは、復元整備された西門のあたりが一望できる。


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 学習広場からもう一度本道へ戻り、西門を目指す。しばらく行くと復元された角楼が見えてくる。角楼は鬼ノ城に近づきやすい尾根を警戒して築かれ、城壁から凸字形に張り出し、正面と側面から攻撃できる形になっている。


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 角楼の横をさらに登っていくと復元整備された西門が現れる。西門は鬼ノ城最大の城門で、角楼を近くに築いて、搦手の防御力を高めている。復元された西門は3階建で、1階は門扉のある石敷きの通路、2階は城壁の連絡路、3階は見張りと戦闘の場に想定しているという。


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 西門をくぐり、反時計回りに散策することにする。


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 西門から続く版築土塁の外側を歩いていく。版築工法とは、壁となる位置に型枠をつくり、内部に土を入れて一層ごとにつき固める工法のことで、たいへんな労力を費やす作業ではあるが、その盛土は非常に硬くなるという。


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 城壁に付属して、外側と内側にびっしりと敷石が敷き詰められている。敷石の役割は、流水により城壁が洗われて崩壊しないよう保護するための施設と考えられるとのこと。


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 ところどころ石垣が残る道を歩いていく。


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 第二水門跡。水門は排水機能を持つ城壁で、鬼ノ城では6ヵ所に築かれているという。


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 第二水門跡からさらに250mほど進むと南門。細部での違いはあるが、南門と西門は形状や規模が類似しているため、同じ設計の下で構築されたと考えられるという。


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 南門から進んでいくと、途中、第三水門と第四水門の中間あたりの遊歩道沿いの巨岩に千手観音像が刻まれている。この像は鬼ノ城よりもずっと後の、江戸時代のものだという。


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 このあたりから、遠くに突出部の屏風折れの石垣が見える。


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 第四水門の先にあるのが東門。城門の中では最も規模が小さく、門柱には丸柱が使用されていたという。


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 鍛冶工房跡を通り、屏風折れの石垣のある突出部の方へ向かう。


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 屏風折れの石垣は、城外へ鋭く張り出した城壁の一部。見事な石垣積みとなっている。


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 広い視界を活かし多方面への監視が効く。守りの要といえる。


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 突出部からはそのまま先へ進まず、一旦100mほど来た道を戻り、そこから城域の中心部の方へと入っていく。城内には、総柱建物の倉庫4棟をはじめ、現在7棟の礎石建物が発見されている。


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 そのまま城内を横断し北側へ出る。突き当りを右の方へ進むと北門へ出る。北門は鬼ノ城の背面に築かれた堅い守りの門。門道の床面は石敷きになっており、中央部分には石組みの排水溝が併設されていたという。


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 北門のところで折り返し、500mほど歩いていくと最初の角楼のところへと戻ることとなる。


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 この後散策を終え、ビジターセンターで総社市教育委員会が発行している展示ガイドを購入し、車へ戻る。



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