28城目  No.38岩村城(2009年3月12日登城) | 城めぐりん

28城目  No.38岩村城(2009年3月12日登城)

 戦国期、遠山氏歴代の居城となっており、遠山景任のとき、武田信玄に対抗する必要上、織田信長と手を結び、信長の叔母を妻に迎えた。元亀2年(1571)、景任が没し、子がなかったため、信長の五男御坊丸を養子に迎えたが、まだ幼かったため、信長の叔母が実質上の城主となり、「女城主」といわれる。

 元亀3年(1572)、信玄の武将・秋山信友に城を攻められ降伏、信長の叔母は信友の妻となり、御坊丸は人質として甲斐へ送られた。これに怒った信長は、天正3年(1575)、長男・信忠に城を攻めさせ、信友夫妻は捕らえられ長良川畔で逆さ磔にされたという。

 その後は、河尻秀隆や森長可・忠政らが城主となり、現在見る近世城郭に改修されたという。関ヶ原の戦い後は、徳川譜代の松平(大給)氏が岩村藩の祖となり、丹羽氏を挟んで、元禄15年(1702)に入封した大給分家松平氏が明治まで続いた。城の建築物は、明治6年(1873)には、すべて取り壊されたという。高取城、備中松山城と並んで、近世の三大山城に挙げられる。


 JR中央本線で恵那駅まで行き、そこで明智鉄道に乗り換えて岩村駅で下車。そこから岩村の城下町を歩いて城跡を目指す。この岩村本通りは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、古い街並みが続いている。


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 勝川家は、幕末に台頭した商家。敷地内には、岩村城郭の払い下げと思われる四戸前土蔵、長屋門蔵が残されているという。


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 古い街並みを15分ほど歩くと、藩主邸が建っていた城の山麓部に到着。居館群は明治14年(1881)に焼失。現在は、平成2年(1990)に復元された太鼓櫓、表御門、平重門、移築された藩校知新館の門が建っている。


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 山麓の藩主邸脇から登城する。道は整備されているので歩きやすい。この坂は藤坂と呼ばれる急坂で、岩村城守備の前衛の役を持つ。戦時には坂の途中に初門をはじめ何箇所も陣を作って防御したという。


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 藤坂を登ると、かつては山上城域の境であったことから多聞櫓と番所が備えられていた一の門跡。かつては一の門は二階門となっていて、城下町と城の西南側の監視が24時間体制で行われていたという。


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 一の門を過ぎると土岐坂となる。これを登ると二の門である土岐門跡に到る。遠山軍が土岐氏を破り、その城門をここに移したという伝説から土岐門の名があるという。


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 土岐門跡からさらに進むと、追手門、三重櫓、畳橋跡。かつては追手門へ行くには空堀にかかる畳橋を渡らなければならず、敵が攻めて来ると橋板を取り外し、堀にすることから、畳橋と呼ばれた。追手門の前には枡形があり、空掘りにのぞんで三重櫓が建っていたという。


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 追手門を過ぎ、真っ直ぐ進んでいくと左手に八幡曲輪が広がる。右手には霧ヶ井戸。敵が城を急襲したとき、この井戸に蛇骨を投入すると霧が湧き出してたちまち城を覆い隠し、敵の攻撃を阻んだという伝説から、岩村城は別名・霧ヶ城ともいう。

 搦手にあたる俄坂門跡を過ぎ、緩やかに屈曲しながら進んでいくと、二の丸東側の菱櫓台下へと出る。地形に合わせて石垣を積んだため菱形になっており、その上の建物も菱形だったため菱櫓と呼ばれたという。


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 ここを過ぎると眼前には、本丸東の六段の石垣がそびえている。まさに岩村城のシンボルともいえる見事な石垣で、岩盤の上に構築された石垣は、背面の高石垣を補強するために階段状になっている。


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 本丸の東側は長局と東曲輪。長局は本丸東下段の帯曲輪で、埋門を通じて東曲輪と接続している。長局と東曲輪で、本丸に対する外枡形的機能をもっていたという。


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 本丸表門跡から本丸跡へと登る。


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 本丸は標高717mで、日本の山城の中で最も高地にある。本丸には二重櫓と納戸櫓、多聞櫓2基、門が3ヵ所置かれたが、内部施設は設けられなかったという。


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 二の丸側、本丸北口にあるのが本丸埋門跡。埋門の石垣は、野面積み、打込ハギ、切込ハギの3種類の積み方を一度に見ることができる非常に珍しい場所とのことである。


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 本丸南側に張り出した尾根を削平して作った曲輪が出丸。本丸南部の防御の役目を果たした。現在は、山上の駐車場となっている。


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 本丸跡から二の丸跡、出丸跡と見て回ってから、もう一度山麓へと下りて、藩主邸跡のところに建つ岩村町歴史資料館へ行き、岩村藩関係の歴史資料等の展示を見学する。その後、再び城下町を歩いて駅へと戻る。



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