滋賀県琵琶湖一周木造校舎巡り(2013/12/15) | haiko-riderのブログ

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2010年春から現在まで、趣味で廃校休校巡りをしてます。
これまでに訪れた校舎や思い出を記事にしてます。
無分別な廃墟探索とは全く異なりますので、誤解無きように。



今回は、琵琶湖一周木造校舎巡りですが、

具体的には、地域別に湖西、湖北、湖東を時計周りに走り、

訪れた市町は、高島市(湖西)、長浜市(湖北)、近江八幡市、東近江市、蒲生郡日野町(湖東)と

多岐に亘りました。冬場で日照時間が短く、各地ほぼ一校の早巡りとなりました。

延べ356kmは、いつもより少なめの走行距離ですが、

生憎の天気で、冷たい雨に打たれながらバイクを走らせた体は

いつもより疲労と寒さを感じました。

特に湖西、湖北地域は、この時期(12月から3月)は時雨易く、

昼間でも気温も3度~5度と寒い気候です。山間部では沿道に雪が残っていました。

途中で合羽を羽織ることになりましたが、それまで気にせずに走り続けたため、

シャツや肌着まで濡れてしまいました。

このままでは風邪を引いてしまうことは必至、慌てて長浜市内のコインランドリーで

乾燥機にかけ窮地を脱出しました。。


湖西(こせい)地域は、畿内と若狭湾・北陸地方を結ぶ街道筋で、

湖南地方とともに京都との繋がりが強い地域です。

近代に幹線交通網から外れたため、開発から取り残されていました。

他の地域に比べて平野部が少なく、琵琶湖近くまで山地が迫る自然豊かな地方です。


湖北(こほく)地域は、京阪から最も遠い地方であり、関西文化圏の東端であるとともに

北陸地方や東海地方との緩衝地帯です。

近代には養蚕業が盛んでしたが、現在では湖南地方や湖東地方に比べて宅地やオフィスの

開発や工場進出が遅れていると言われています。(いわゆる「南北格差」)。

しかし、そのために伝統的な文化や景観が保たれています。


湖東(ことう)地域は、湖南地方とともに平野部が大きく開けており、

穀倉地帯や交通の要衝として栄え、肉牛の飼育も盛んです。

近江商人を最も多く輩出した地域でもあります。


旧武曽学校2


旧武曽学校3

旧武曽学校4

武曽 大木

旧武曽学校1
旧武曽(むそ)学校(1878年築、登録文化財)
今回は廃校休校の中でも、登録文化財となっっているものを中心に訪れました。

湖西地域へは、専ら国道161号(湖西道路)を利用しておりますが、

信号も少なく快適に走れること、琵琶湖を右手に眺めることができるので

お気に入りのルートです。

校舎は高島市武曽横山地区にあります。

明治の建築物ですが、瓦屋根の和風の外観です。

特に正面玄関は、威厳に満ちたアーチ屋根で中央に「學校」の文字が刻まれています。

地元の方に訊いたところ、2階は集会所として利用されているそうです。

そして、真っ先に案内されたのは、校舎ではなく脇に聳える大木でしたが、

名前は判りませんが、たくさんの枝葉を大きく広げた神木が神社の鳥居の後方にありました。

古来より由緒ある木だそうです。


旧長浜開知学校1


旧長浜開知学校2

旧長浜開知学校3
旧長浜開知学校(1874年築、1936年移設、登録文化財)

国道161号から国道303号、国道8号へと進み、湖北を時計方向に迂回します。

長浜市駅前の通りに瀟洒な建物が目を引きます。

八角塔屋付の擬洋風建築の木造3階建て校舎です。

窓は緑の木枠で縁取られて、真っ白な壁に程よいアクセントを与えています。

エントランスに「KAICHI GAKKO」とあり、すぐに判りましたが

ヨーロッパの街並みに出てきそうな建物です。

3階のバルコニーから独国、英国の国旗が掲げられていました。

屋内には、パブやレストラン等が入っているそうです。


旧西押立国民学校2


旧西押立国民学校1

錬成館(旧西押立国民学校講堂)


押立2

旧西押立国民学校4


旧西押立国民学校5

旧西押立国民学校3
旧西押立(おしたて)国民学校(1943年築、1981年閉校、登録文化財)
彦根市街から国道306号、307号と南下し、東近江市北菩提寺町にあります。

町内の教育の発展を願い、実業家であった松居泰次郎(まついたいじろう)、

房治郎(ふさじろう)兄弟の寄付によって、

西押立国民学校の校舎として建てられた校舎です。

平板な建物ですが、白い下見板の壁と、赤い桟瓦の屋根の対比が特徴的で、

2階建の堂々とした木造建築です。

校章は、奥にある西押立神社を象徴しております。

現在は、湖東歴史民俗資料館となっており、館内には、町内にある平柳古墳群や

勝堂の古墳などから出土した品々のほか生活民具などが展示されています。

なお、神社に隣接する和風の建築物は、付属して建築された講堂で「錬成館」という柔道場として

利用されています。

こちらも劣らず品格のある美しい建物です。


旧西押立国民学校6

旧西押立国民学校8


旧西押立国民学校7

押立神社

田園の中にある押立郷(おしたてごう)の総氏神(そううじがみ)で、

「大宮さん」の名で親しまれています。

木々がうっそうと茂る静かな境内には、南北朝時代に建立された大門と

本殿が落ち着いた構えを見せ、どちらも国指定の重要文化財になっています。

普通、本殿は拝殿より高い位置にあるとされていますが、この押立神社は、

本殿と拝殿が同じ高さにあることが珍しいです。

旧八幡東学校2

旧八幡東学校5


旧八幡東学校4


旧八幡東学校1
旧八幡東小学校(1877年築、登録文化財)

近江八幡市街にある洒落た木造校舎です。

旧八幡東小学校は「白雲館」と呼ばれておりますが、、当時のお金6千円で設立されたもので、

貴重な擬洋風建造物です。

近江商人が子どもの教育充実を図るため,その費用の殆どが寄付で賄われました。

現在は観光案内所が設けられ観光情報の提供や、お土産や特産品も展示販売されています。

また、2階フリースペースでは、市民ギャラリーとして各種催しが開催されています。

見応えのあるお城のような美しい建物です。


旧柳原学校3


旧柳原学校4

旧柳原学校1

旧柳原学校2
旧柳原(りゅうげん)学校(1876年築、指定文化財)

近江八幡市内、近江風土記の丘敷地内にあります。

滋賀県下で現存する学校建築物で最も古いものです。

屋根から突き出した水色の鼓楼とベランダの柱が異国情緒を醸し出しています。

正面玄関の屋根頭部には「學校」の文字が刻まれています。

しっとりと時雨に濡れた鼓楼と白壁に何とも言えない趣きが伝わってきました。


旧鎌掛小学校1


旧鎌掛小学校3

旧鎌掛小学校5

旧鎌掛小学校7


旧鎌掛小学校8


旧鎌掛小学校11


旧鎌掛小学校6


旧鎌掛小学校9


旧鎌掛小学校2


旧鎌掛小学校18


旧鎌掛小学校4


旧鎌掛小学校15


旧鎌掛小学校14

旧鎌掛小学校12

旧鎌掛小学校10
旧鎌掛(かいがけ)小学校(2001年廃校)

再び国道307号に戻り南下してきます。

蒲生郡日野町鎌掛地区にある味わい深い木造校舎です。

テレビアニメ「中二病でも恋がしたい!」で主人公が通う高校のモデルになったことで、

その実在する舞台を一目見ようと、県内外から多くのアニメファンが詰めかけ話題を呼んでいるそうです。また、NHKの朝ドラや終戦ドラマのロケ地にもなったことがあるそうです。

現在、里山体験や地域交流の活動拠点施設「しゃくなげ學校」として、利用されています。

アニメでは、主人公が通う高校との設定で、校舎・講堂・プール・中庭などが、忠実に描かれているそうです。

訪れた日にも、雨模様の天気でしたが、アニメファンの車が数台ほど中庭に停まっていました。

土日祝日は無料公開しているとのことです。










甲良東小学校旧校舎(1933年築、町指定文化財)

長閑な田園の広がる犬上郡甲良町に立派な木造校舎があります。

前日寄ることができずに翌日に訪れました。

やはり、雨天の生憎の天気でしたが、見応えのある美しい校舎です。

玄関ポーチはコンクリートの重厚な造りです。

柱は古代ギリシャ風のエンタシス法を用いて、表札のある赤茶色の

レンガの柱と2本立てです。

本建造物は、東甲良尋常小学校の本館部分です。

全国でも類をみない総檜造りで当初その豪勢さは日本一とも言われました。
当時の村長が陣頭指揮をとり、村民や児童が一丸となり8年の歳月をかけて

県下随一のモダンな校舎が完成しました。

現校舎と向かい合うかたちで移転、旧校舎は今なお威風堂々とした雰囲気を

そのままに留めています。