Amazon→でっちあげ―痴漢冤罪の発生メカニズム
著者:夏木栄司
発行:角川書店(2002年11月)
冤罪事件を扱ったものに必ず記されているのは
「絶対に認めてはいけない」ということ。
しかし取調室に連れ込まれ、密室の中で
取調官が目の前の席につくなり名を名乗りもせずタバコをふかし
開口一番「お前がやったんだろ!」
社会通念が通用しない世界なんですね。
一般社会では出入り禁止ですめばいい方です。
逆に警察に通報されるかもです。
これはホントにヒドイ事件でした。
痴漢事件なのに現行犯ではないし
証拠と言えるものは被害者女性の証言だけですし。
それでも警察は「かよわい」女性の証言を100%信じてしまうのです。
著者は決して評論家でも専門のライターでもないのですが
後半にあった<司法刑罰>と<メディア刑罰>のダブルスタンダードという一節は
非常にわかりやすく書かれていました。
「表沙汰になったらおおごとだ、けれども素直に認めれば略式起訴でスピード違反程度の罰金だぞ」
ここでもう「やっていない」という選択肢はなくなってしまっていますが、
名も知れず、タバコをふかし、初対面で「お前」呼ばわりする警官を前に
新聞に名前が載るのと罰金5万円を天秤にかければ
実際にはやっていなくても罰金5万円を選んでしまうのは
わからないではない。
明日からも満員電車ではバンザイしかない。