第二十七談
メガネ 最近の演劇界の“ハヤリ”に「イケメン芝居」があります。とにかくカッコいい男子を主役にして、内容はしょーもなくてもとりあえずお客さんだけは集めようという…レッドシアターの上谷プロデューサーなんかは、それが世にはびこっているのを、ずいぶん憂慮してますね。
ヒゲ うーん、難しいよね。
メガネ 何がですか。
ヒゲ 僕は一概に悪い、とも言えないと思うんだよ。
メガネ ほうほう。
ヒゲ だって、「お金は大事」だからねえ。例えば、二か月イケメンで稼いで、一か月好きなものを作る、なんてのもあっていいじゃない。
メガネ 営業政策的にはね。
ヒゲ そう割り切ることもアリだと思うんだよ。まあ、どこかの劇団みたいに、そればっかりになっちゃったら困るけど…。それに、思わぬ結果が出ることもあるだろ。
メガネ 何ですか。
ヒゲ 例えば、ジャニーズみたいに、芝居をやらせていたら、そっちの方に本気になるって人間も出てくるじゃない。
メガネ ああ。オカケン(岡本健一)とかアッくん(佐藤アツヒロ)とか、ですね。
ヒゲ 男ってのは不思議なもんで、そういう事をやっているうちに「ハマる」ヤツらが出てくるんだよ。女、特に美人は「ワタシが一番」になりがちだから少ないけどね。「ハマった」イケメンは、集団で芝居を作る魅力を覚えちゃう。
メガネ そうすると、そういう人間が舞台での戦力になっていくわけですね。
ヒゲ そう。蜷川(幸雄)さんの「タイタス・アンドロニカス」のオカケンなんかいい例だろ。森山未来なんかも、ずいぶん貢献している。そういう成果もあるから、一概にイケメン芝居がいけない、ともいいずらい。
メガネ まあ、芸能プロダクション側からしても、将来的に映画や舞台で本格的に演技力が問われる状況になった時、ちゃんと実力があるタレントを育てておきたい、という思惑もありますよね。もちろん彼らは金銭的にはシビアに計算するから、「お勉強」の芝居で良しとはしない。着地点が「イケメン芝居」的になったりもする。
ヒゲ 内容があまりにも薄いのは確かに困るけどね。そういう所は回りが厳しく見るべきだ、と思う。…思い出すのは博品館劇場だね。宝塚歌劇団をやめた子たちの芝居ばかりになって、内容的にも今ひとつ、という時期があった。そうすると、劇場のイメージにも影響してくるから。誰が演出するのか。どういう作品を取り上げるのか。劇場サイドでも、ただ小屋を貸すのではなく、そういう所まで踏み込んでチェックしていく必要はあるかもね。
メガネ まあ、売り物買い物の商売だから、あまりうるさく言い過ぎるのもどうか、って所はあるんでしょうけどね。…思い出したんですけど、一時期「声優芝居」がはやりましたよね。
ヒゲ そうね。
メガネ やっぱり、ちょっと色眼鏡で見られていたけど、中にはいい作品もあった。差しさわりがあるかもしれないから、具体例はあげませんけど。「テニスの王子様」にしても「セーラームーン」にしても、そこから出発して、より大きな舞台のミュージカルに出ている若手もいる。単純に一般論では片づけられないのかもしれない。…それで思い出したんですけど。
ヒゲ 何?
メガネ 逆に「アイドル芝居」「イケメン芝居」とみられて、損をしていることもあると思うんですよ。
ヒゲ へえ。
メガネ 例えばきだつよしがジャニーズの大野智くんに書いた「プ―」シリーズなんかそうですね。内容的には、「バクマツバンプー」とか「テンセイクンプー」とかはずいぶん面白かったのに、あまり評論家筋には評価してもらえなかった。もっとも、ジャニーズとかホリプロの芝居は、一般的にいう「イケメン芝居」とは一線を画しているのかもしれませんが。
ヒゲ 「面白いもの」を作って、「役者を育てよう」という姿勢はあるからね。そういう志のあるなしを見極めることが重要だね。
メガネ 大体、日本の俳優陣はレパートリーに乏しい嫌いがありましてねえ。
ヒゲ なんかいきなり、論じはじめたね(笑)
メガネ 例えば、「欲望という名の電車」のスタンレーなんて、「今なら、この人」みたいなのがいないでしょう。
ヒゲ ああ、あれは難しい役柄だね。
メガネ ポーランド人で肉体派で、っていうイメージからすると、日本人の二枚目ではどうも華奢だし、例えば篠井(英介)さんの舞台の加勢大周みたいに、見た目はいいな、と思ったら、今度は演技力がついてこない。
ヒゲ マーロン・ブランドが鮮烈だからねえ。
メガネ …だから、プロレス界から引っ張ればいい、と思うんですよ。
ヒゲ へ?
メガネ プロレス界。新日本プロレスの棚橋弘至とか、大日本プロレスの伊東竜二とかね。ハッスルの「小池(栄子)のダンナ」こと坂田亘なんかもいいと思いますけどねえ。
ヒゲ いやあ…プロレスラーねえ…。まあ、陸上の室伏広治なら、感じはあるかもしれないけどねえ。
(基本的に敬称略です)
ヒゲ うーん、難しいよね。
メガネ 何がですか。
ヒゲ 僕は一概に悪い、とも言えないと思うんだよ。
メガネ ほうほう。
ヒゲ だって、「お金は大事」だからねえ。例えば、二か月イケメンで稼いで、一か月好きなものを作る、なんてのもあっていいじゃない。
メガネ 営業政策的にはね。
ヒゲ そう割り切ることもアリだと思うんだよ。まあ、どこかの劇団みたいに、そればっかりになっちゃったら困るけど…。それに、思わぬ結果が出ることもあるだろ。
メガネ 何ですか。
ヒゲ 例えば、ジャニーズみたいに、芝居をやらせていたら、そっちの方に本気になるって人間も出てくるじゃない。
メガネ ああ。オカケン(岡本健一)とかアッくん(佐藤アツヒロ)とか、ですね。
ヒゲ 男ってのは不思議なもんで、そういう事をやっているうちに「ハマる」ヤツらが出てくるんだよ。女、特に美人は「ワタシが一番」になりがちだから少ないけどね。「ハマった」イケメンは、集団で芝居を作る魅力を覚えちゃう。
メガネ そうすると、そういう人間が舞台での戦力になっていくわけですね。
ヒゲ そう。蜷川(幸雄)さんの「タイタス・アンドロニカス」のオカケンなんかいい例だろ。森山未来なんかも、ずいぶん貢献している。そういう成果もあるから、一概にイケメン芝居がいけない、ともいいずらい。
メガネ まあ、芸能プロダクション側からしても、将来的に映画や舞台で本格的に演技力が問われる状況になった時、ちゃんと実力があるタレントを育てておきたい、という思惑もありますよね。もちろん彼らは金銭的にはシビアに計算するから、「お勉強」の芝居で良しとはしない。着地点が「イケメン芝居」的になったりもする。
ヒゲ 内容があまりにも薄いのは確かに困るけどね。そういう所は回りが厳しく見るべきだ、と思う。…思い出すのは博品館劇場だね。宝塚歌劇団をやめた子たちの芝居ばかりになって、内容的にも今ひとつ、という時期があった。そうすると、劇場のイメージにも影響してくるから。誰が演出するのか。どういう作品を取り上げるのか。劇場サイドでも、ただ小屋を貸すのではなく、そういう所まで踏み込んでチェックしていく必要はあるかもね。
メガネ まあ、売り物買い物の商売だから、あまりうるさく言い過ぎるのもどうか、って所はあるんでしょうけどね。…思い出したんですけど、一時期「声優芝居」がはやりましたよね。
ヒゲ そうね。
メガネ やっぱり、ちょっと色眼鏡で見られていたけど、中にはいい作品もあった。差しさわりがあるかもしれないから、具体例はあげませんけど。「テニスの王子様」にしても「セーラームーン」にしても、そこから出発して、より大きな舞台のミュージカルに出ている若手もいる。単純に一般論では片づけられないのかもしれない。…それで思い出したんですけど。
ヒゲ 何?
メガネ 逆に「アイドル芝居」「イケメン芝居」とみられて、損をしていることもあると思うんですよ。
ヒゲ へえ。
メガネ 例えばきだつよしがジャニーズの大野智くんに書いた「プ―」シリーズなんかそうですね。内容的には、「バクマツバンプー」とか「テンセイクンプー」とかはずいぶん面白かったのに、あまり評論家筋には評価してもらえなかった。もっとも、ジャニーズとかホリプロの芝居は、一般的にいう「イケメン芝居」とは一線を画しているのかもしれませんが。
ヒゲ 「面白いもの」を作って、「役者を育てよう」という姿勢はあるからね。そういう志のあるなしを見極めることが重要だね。
メガネ 大体、日本の俳優陣はレパートリーに乏しい嫌いがありましてねえ。
ヒゲ なんかいきなり、論じはじめたね(笑)
メガネ 例えば、「欲望という名の電車」のスタンレーなんて、「今なら、この人」みたいなのがいないでしょう。
ヒゲ ああ、あれは難しい役柄だね。
メガネ ポーランド人で肉体派で、っていうイメージからすると、日本人の二枚目ではどうも華奢だし、例えば篠井(英介)さんの舞台の加勢大周みたいに、見た目はいいな、と思ったら、今度は演技力がついてこない。
ヒゲ マーロン・ブランドが鮮烈だからねえ。
メガネ …だから、プロレス界から引っ張ればいい、と思うんですよ。
ヒゲ へ?
メガネ プロレス界。新日本プロレスの棚橋弘至とか、大日本プロレスの伊東竜二とかね。ハッスルの「小池(栄子)のダンナ」こと坂田亘なんかもいいと思いますけどねえ。
ヒゲ いやあ…プロレスラーねえ…。まあ、陸上の室伏広治なら、感じはあるかもしれないけどねえ。
(基本的に敬称略です)