2009　10　11　最強後楽園　決勝戦　後楽園ホール

昨日の「リナレス・ショック」にいつまでも引きずられているわけにもいくまい…

ってことで、このトーナメントの勝者が「日本王座」への挑戦権を獲得できる…という趣旨のこの催し…

今夜の決勝戦でありますが、第一試合から全て「メインイベント」…っていう粋な興業でありますが、認知度はまだまだ…

とはいえ、マニア衆はよーく解っている。

全部観たいカード…ですものね。

ってことで、早速、観戦記をざっと起こしてみたい…

ライトフライ級決勝戦

日本3位　須田拓弥　10W2KO4L2D

×

日本4位　滝沢卓　18W8KO1L

その序盤、いきなり打って出たのは中部期待の星、滝沢…　その立ち上がりに猛然とラッシュを仕掛けて根性のあるテクニシャン、須田をたじろがせる…　須田といえば、いつかの日本タイトルマッチ、チャンピオンの嘉陽選手に挑んだ戦いを思い出す…　分の良い負傷ドロー…であり、本当にもう一歩だった…　それだけに、もう一度チャンスを掴みたい…　もう一度戦えたらきっと勝てる!!　そんな思いも強いはず…　しかし、滝沢は本来のボクサースタイルに頼らず、思い切りのよいカウンター被弾必至の「ド突き合い」戦法を選択…　この両者、なんとこの打ちつ打たれつを延々と続け、一進一退…　敗戦を糧としてきたしぶとい須田のやや優勢かなぁ…なんて僕には見えたが、強気でカウンターを狙い続けた滝沢が際どい判定をモノにした…

公式の採点　７６－７６　７７－７５　７７－７５　「２－０」で滝沢選手の勝利!!!

HIGEGE９１の採点　７６－７６のドロー…

日本チャンピオンは嘉陽選手かぁ…　滝沢選手、出入り激しくフルラウンドかく乱できる驚異のスタミナを得られたら王座交代もあり得ますねぇ…　

物凄い打ち合いでした…　拍手喝采!!!

スーパーフライ級決勝戦

日本2位　杉田純一郎　14W7KO2L

×

日本6位　佐藤洋太　16W8KO2L1D

ボクサータイプの佐藤がエンドレスファイターの杉田をほぼ捌き切った内容…　佐藤はかつて東日本新人王の準決勝で杉田に敗れていたが、今回は完ぺきとも言える内容で完封…　距離を保って打って離れる丁寧なワンツーボクシングでポイントを連取、さらに、５Rにヒッティングを重ねて杉田の瞼を切り裂くと、７Rに続行不能に追い込むリベンジ達成の勝利を勝ち取った…

７R　１：０８　TKOで勝者、佐藤洋太!!!

しかし、最終盤の佐藤選手の「研ぎ澄まされ方」はなかなか尋常ならぬものがありましたねぇ…

動きもパンチもキレまくる…っていうんでしょうか？　物凄い領域で踊るように戦っていた…

チャンピオンの中広選手ですが、こちらは日本屈指のテクニシャンにして、日本屈指のクレバーなボクサーでありますが、万全の調整を達成した暁には、十分番狂わせを起こす可能性を秘めた選手だと感じましたね…

たまげた…

ス－パーバンタム級決勝戦

日本3位　玉越強平　24W10KO5L6D

×

日本6位　田内絹人　9W6KO2L3D

ベテランの玉越としぶとく戦ってきた田内の熱戦は採点泣かせの一進一退…　田内は執念の一発を随所に抉り込むも、キャリアで上回る老獪なる玉越が主導権を譲らない…　田内は捨て身の猛アタックで玉越を追い込むもクリンチで攻撃を寸断され、距離を操られ、そして、見栄えの良いワンツーを浴びる展開…　ただし、両者どちらとも決定打を欠く接戦とも言えた…

HIGEGE91の採点　難しすぎて断念!!!

公式の採点　78－75（玉越）　77－76（田内）　割れた!!!　78－75、「２－１」のスプリットデシジョンで、勝者、玉越強平!!!

ここはキャリアで上回った玉越選手の逃げ切り…って印象でした。　さて、日本チャンピオンは木村選手か…　最近は脂が乗り切って、もう盤石ですよねぇ…　次は変則強打の芹江選手を迎え撃ちますが、この予想も難しいし、さらに、どっちが勝ってもおかしくないですからねぇ…　

スーパーフェザー級決勝戦

日本1位　川村貢治　17W5KO1L1D

×

日本2位　岡田誠一　9W6KO無敗

個人的に、もっとも注目し、そして、激闘の期待を込めた好カードにして、今夜、もっとも熱い戦いとなった接戦…

ってことで、ラウンドごとに追ってみる…

１R　両者右構え　川村は大きな左右フックを大胆に振るう　これに対して岡田は的確なコンパクトパンチを的確に打ちぬく繊細さを発揮…　岡田のコンパクトなボディ打ちが有効か…と思いきや、筋骨隆々の川村の右スイングがまともに岡田を捕えた!!!　岡田、吹き飛ばされた!!!　いかん!!!　が、なんとか凌ぐも、岡田はいきなりダメージを負わされる苦しい立ち上がり…　川村１０－９

２R　岡田のピンポイントを打ちぬくワンツーの精度は抜群、川村の懐に潜り込めば左右ボディーフックをねじ込み、そして、固めたガードの隙間目掛けて鋭いアッパーカットを突き上げる…　川村は岡田の繊細さに太刀打ちできない…と思いきや、その最終盤、大きな左スイングが岡田の頭部を跳ね飛ばす!!　バコーン!!!　川村の左フックカウンターで形勢は一気に逆転…　それまで優位に進めていた岡田だったが、ポイントは奪われた…　川村10－9

３R　岡田は丁寧なワンツーでコツコツと有効打を重ねるも、川村は見栄えの良い大きなボディーフックをバカスカと放ち、岡田の攻勢を消し飛ばしてしまう…　見栄えとクリーンヒット数で上回ったのは川村か？　しかし、ポイントは失うも、大きな被弾にめげることなく、的確なショートブローを打ちこみ続けた岡田、川村のスタミナを徐々に削り取ってゆく…　川村１０－９

４R　やや劣勢の岡田だが、その丁寧にして的確なショートブローをねじ込み続けてきたわけであるが、徐々に、川村の背中が丸みを帯びるまでになｔってきた…　その鋭いボディーショットに川村は腰が折れ、下がり始めた…

効いてる!!!　岡田１０－９

５R　やや挽回しつつある岡田であったが、川村のフルスイング、その右フックをいきなり喰って大きくバランスを失った…　岡田、効いた!!!　危ない!!!　岡田はロープに縋りつきながらダウンを回避するも、これに続く川村の猛攻撃にさらされる!!!　倒されちまう!!!　危ない!!!　が、その猛攻の最中、岡田のショートボディー、あるいは、鋭いアッパーカットに川村の攻撃が寸断され、逆に、下がり始めたのだ…!!!　川村、効いてる!!!　岡田が息を吹き返し、執念の右ブローを川村の顎先に打ち下ろす!!!　さらに、追撃のボディー打ちを連発!!!　川村の腰が折れる!!!　効いたぁ!!!　岡田１０－９

６R　川村、苦しい…　ガードを固め、我慢の戦いが続く…　腹部への被弾の度、どうしても背中が丸くなってしまう…　相当に効いている…　岡田はそんな川村のガードを割るアッパーを一発、二発、三発…と連打してロープを背負わせた!!!　川村、執念のボディーを大胆に打ち返すも、これにカウンターの右フックを合わせる!!!　岡田、倒せる!!!　岡田10－9

７R　岡田の右!!!　川村は力をため込むようにガードを固めて一発一発執念のボディー打ちで反撃!!!　が、岡田は怯まない、そして、的確なるショートアッパーを随所にねじ込み、左ボディー!!!　岡田10－9

８R　さて、僕の採点では岡田の的確がついに川村に追いついたことになるが、しかし、公式の採点は解らない…　川村の大きなフックは物凄く大きな弧を描いて、物凄い音を立てて岡田に打ち込まれてもいたのだ…　しかし、精度と的確さで上回っていたのは岡田で、また、その執拗なまでのボディー打ちに背を丸めてしまったのは川村である…　が、岡田も度々意識が飛んでもおかしくない被弾も重ねていたわけで、両者の消耗は互角…とも言えた…　

川村、僅差の状況を把握してか、捨て身のアタックを仕掛けてきた!!!　背を丸めてガードを固めて大きなボディーフックを岡田に打ち続ける!!!　岡田も頭をつけた状態でしぶといボディー打ちで迎撃!!!　このラウンドを獲った方が勝ち!!!　そんな空気を両者は熟知している!!!　意地と意地、執念と執念のボディー打ち合戦!!!　会場は燃え上がる!!!　消耗戦の極致、両者、俵に足が掛った状態での凌ぎ合い!!!　しかし、ショートパンチの幅と的確さで一枚上手だったのは岡田であった…　その命中精度の高いアッパーカット、これに続く右ショートパンチ…　熱戦の終了を告げるゴングが鳴る…　岡田10－9

HIGEGE91の採点　７７－７５　勝者、岡田誠一!!!

公式の採点　７７－７６　７８－７５　７８－７６　「３－０」のユナニマスデシジョンで、勝者、岡田誠一!!!

いやぁ、岡田選手、これは強い…　川村選手の粘り強さも凄まじかったが、岡田選手はその上をゆくしぶとさを発揮しながら、さらに、的確さを秘めているのだから驚異的…　

日本チャンピオンはサウスポーの三浦選手ですが、怖い怖い最強挑戦者…という印象を植え付けたんじゃないでしょうかね？

スーパーライト級決勝戦

日本1位　亀海喜寛　12W10KO無敗

×

日本3位　小出大貴　14W6KO1L2D

今大会出場選手で、もっとも注目を集めている選手と言えば、やはり、KOマシーン、亀海選手でしょうねぇ…

そのポテンシャルに思わず「世界」の二文字を浮かべてしまう国内中量級最大のホープですよねぇ…

しかし、このKOマシーンのホープNO1に真っ向から挑んだ小出選手の頑張りは感涙モノであった…

無駄のないパンチを最短距離で打ち抜くハードパンチャーの亀海に対し、サウスポーの小出は距離を保ちながらも勇敢に打って出た…　一発喰ったら意識が飛ぶ…　そんな亀海のパンチを浴びながらも、タイトルマッチへの夢を繋ごうとパンチを伸ばす…が、亀海はカウンターを狙い続け、物凄い強烈なパンチで小出を跳ね飛ばす!!!　が、小出は怯まない…　コーナーを背負わされ、まるでハリケーンのような亀海の連打を浴びても果敢なボディー打ちを突破口に脱出、逆にクリーンヒットを奪う勇気を発揮…　これに熱くなった亀海は両手のガードを下げて挑発的な気合の入ったカウンター作戦を慣行…　かなりカッカきてる…　これ、小出にとってはチャンスでもある…　その顔面が丸腰なのだ…　小出は鼻血に顔面を染めながらも、好戦的なボクサースタイルを貫き、６Rには強烈なワンツーを亀海に浴びせるとロープを背負わせて一方的に打ち込み欠くる衝撃的な場面を作り出す!!!　亀海はこれをノーガードのボディーワークだけで約20秒ほど凌ぎ続けたわけですが、これには会場もどよめいた…

一体、どうなってんだ…？

６R終了の時点で、僕の採点は「５７－５８」で、なんと小出のリードになっていたのだ…

（コメントでご指摘をいただきましたが、小出リードは贔屓し過ぎだった、とも思いますが…）

ダメージの蓄積は小出なのだが、ラウンド全般を通じて優勢を奪ったのは小出…という風に見えたのだ…

しかし、本来、ダメージを奪った有効打を優先すべきなのだが、きっちりと反撃、凌いで後退させたリングゼネラルシップで小出の善戦が輝き、これは奇妙な採点内容とも言えた…　

が、小出の消耗は激しく、また、亀海はまだまだ余力と冷静さを残していたわけでありますね…

衝撃の滅多打ち、その亀海のハードパンチの嵐の前に、ついにレフェリーが割って入ったのは７R終了間際であった…

７R　２：４８　TKOで勝者、亀海喜寛!!!

亀海選手、カッカしていたようにも見えたし、非常に苛立ちを隠せない印象も受けたわけですが、やはり、アマチュアキャリアも抜群の天才肌…　

消耗させきって、そして、キッチリ仕留めた…

勝利後、そのインタビューは涙に濡れた…　リング禍で亡くなった同門の辻選手が浮かんだようであった…

まさに、涙の勝利であった…

そして、敗れたものの、小出選手の頑張りは壮絶を極めた…　まさに、「勇気の塊」と化したそのナイスファイトは会場の全ての人々の胸を打ったはずだ…

その名前、しかと胸に刻んだぞ…

このスーパーライト級の日本チャンピオンはガムシャラ根性のヒーロー、小野寺洋介山選手ですが、最強最大の挑戦者を迎え撃つことになりますねぇ…

亀海選手、ちょっと日本人離れしてますねぇ…

物凄い好カードになりそうですね…

スーパーウェルター級決勝戦

日本2位　チャールズ・ベラミー　11W8KO1L1D

×

日本7位　池田好治　11W9KO7L2D

長身のボクサータイプの池田、褐色の強打者、ベラミーを捌けるか？

サウスポーの利点を生かし切りたい池田、丁寧に距離を測る…　両者、探り合いの展開、腹の探り合いの時間帯が流れる…

と、中盤過ぎ、クライマックスは一気に訪れた…

ドッカーン!!!

ベラミーの左フックがまともに池田の顔面を捕えた!!!

池田、背中から倒れ込み、マットに落ちる…

もうダメだろ!?　池田、しぶとく立ち上がった…

再開!!!

ベラミー、止めを刺さんと猛然と池田を追い込んだ!!!　池田、ロープを背負いながらもなんとか堪える…

が、ガードの落ちた顔面に再びの左フックがまともに命中!!!　池田、なんと客席からもそれとわかる、完全なる「無意識状態」で、まるで人形のように顔面からマットに沈んでしまったのだ…

なんという危険なダウンシーン…

レフェリーはノーカウントで試合終了を宣言、即刻担架が運び込まれた…

大丈夫だろうか???

こんなダウンは本当に見たことがない…ってほどの無意識ダウンであった…

１R　2：24　TKOで勝者、チャールズ・ベラミー!!!

担架に載せられた池田選手、なんとか手を挙げて健在をアピール、会場からはほっため息が溢れたが、しかし、ゆっくり静養してください…

豪打爆発、凄かったなぁ…

日本＆東洋太平洋チャンピオンは２冠王の野中選手か…　こちらも最近は充実のキレキレボクサータイプと化しておりますし、倒すアウトボクシングが完成しつつありますので、興味深い組み合わせですなぁ…

さて、お疲れ様でした…

生観戦記はこの辺でお開き…

MVP　チャールズ・ベラミー選手

技能賞　亀海喜寛選手

敢闘賞　佐藤洋太選手

みなさん、おめでとうございました!!!

そして、会場で一緒に観戦させていただいた「GO↑KUN」さん、「ヒデ☆キチ」さん、ありがとうございました…

ビール、ごちそうさまでしたぁ…

血管切れそうになるくらいの、物凄い応援をされたお二人にはたまげました…

僕なんぞ、まだまだヌルイ!!!　と思いました…

お疲れ様でした…

御愛読感謝

つづく

生観戦! 最強後楽園 『決勝戦』!!!

生観戦!　最強後楽園　『決勝戦』!!!