きのう2月29日、
富山のサンフォルテで、松尾匡氏の講演があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

知る人ぞ知る金融緩和、反緊縮派の経済学者で、

この経済政策が民主主義を救う」という本とか、

「ばらまく」をもじった「薔薇マークキャンペーン」など、ご存知の方も多いかと思う。

 

ちなみに上の本は自分でも買って読んだが、
2016年の参院選に向けて野党の政策転換を呼び掛けたもので、

今は絶版になっているらしく、Amazonでは、とんでもないプレミアム価格になっていた。

 

反緊縮ということでは、森永卓郎や三橋貴明と同じ立場で、
私も全面的に賛同である。
詳細は、各人で勉強してもらえばいいが、

簡単にいえば、財政均衡やプライマリーバランスなどというのは、古い経済・財政の枠組みにとらわれた「悪しき幻想・迷信」だということである。

カネというものを知れば知るほど、資本のあるなしにかかわらず、利息さえ払うことができれば(利息も借りることができる)、カネというものは「使い放題」なのであることがわかる。

◇ ◇ ◇

偉そうに「大人の社会科カフェ」というものをやってきたが、
社会のことを語るに、二つの矛盾があると思っている。
「個人」と「公共」と、どちらを重視するかというジレンマと

「理想」に重点を置くか、「現実」を先行させるかというジレンマである。

理想と現実というのは、「原則」を守るのか、目の前の「カネ」をとるのか、というとわかりいいだろう。

 

この二つの矛盾は、ともに、
一方が立てば一方が立たない、という「トレードオフ」に限るものではなく、

たとえば「個人」と「公共」が、ともに栄えたのが「近代」という時代であろう。

 

どちらが大事か、という議論にはあまり興味がない。

ともに並び立つような第3の道を探ることを続けていきたいと思っている。

反緊縮は、社会の二つの矛盾をともに溶かしてしまうような、希望の政策ではなかろうか。

 

◇ ◇ ◇

 

今回の講演で、おっ、と思ったことを列記しておく。

 

1.若い世代が自民党に投票しているのは、「景気」が実際によくなったから

 (高度成長やバブルを知らない世代にとっては、今が最高)

 

2.経済政策は、いつの選挙でも、有権者が最優先で興味を持って見ていた

 (上の二つの矛盾「理想と現実」のうち、左派は現実=カネを軽視、支持を失った)

 

3.同じような経済政策を掲げていても、「ニューケインジアン左派」と、「MMT理論派」と、「信用創造廃止・ヘリマネ派・ポジティブマネー派」とは、違いがある

 

4.世界の左派の政策は、反緊縮と公的債務の恒久化、雇用保障を組み合わせて、いわば「カネの民主主義」を掲げている

 

5.現在の経済状況は、「コロナ前」でも相当悪い。総選挙は秋になるだろう。今が野党側経済政策の変革のチャンス

 

というところであろうか。

 

主張には全面的に賛同するが、一つ「いただけない」と思ったのは

松尾さん、グレーのパーカーに黒文字で「反緊縮」とプリントされたパーカーをお召しであった。

 

ぱっと見が、暗い。暗すぎる。

 

三つの文字がすべて、「ネガティブ」である。

私なら、「円解放」と書く。

 

 

(続く)