19日に、インテリアコーディネータークラブ(icc)TOYAMAの26回目になる総会があり、記念講演として池貝知子さんの「空間とアート」というお話がありました。
池貝さんは、あの「代官山T-SITE(通称、「代官山のツタヤ」)のクリエイティブディレクターを務めた人物。
クライアントのために、建築家をさえクビにするお立場ですよ。
→参考サイト
いま行政で話題の「武雄市図書館」も、この代官山のTUTAYAを訪れた樋渡市長が、CCCさんと掛け合って実現したものです。
若い時には、金沢駅前の日航ホテルの内装も担当してる。あそこの感性には驚かされたものです。彼女だったんだ。

もう、予想をひっくり返すような、優しくて控えめな声と話し方。ホントにこの人なの?って感じ。
でも、すぐにわかりました。世界の美意識の伝統を踏まえた上で、実務経験を重ねて身につけた、圧倒的な感性の持ち主。
池貝さんの仕事は、その感性を信じ、周囲の力を信じ、既成概念を壊してきた道のりで、
それはそれは、私なんかが評価できることではないのですが、
Tサイトの本丸といえるツタヤの、「ショップコンセプト」だけでも、目からウロコ、でした。

ネットで(特にアマゾンで)、読者レビューが読め、ワンクリックで家に本もDVDも届く状況で、書店の役割は何か。
人は何を求めて街に出るのか。
それを徹底的に考えてあるのです。

大人の男性が、足繁く通う、というだけでも、今までにない目論見です。
キーワードは「雑誌」、というふうに、私は読み解きました。
いや、自分が雑誌好きだからということもあるのですが。
3つの建物を貫く「マガジンストリート」は、人間というものがいかに「雑誌的」であるかを見通した、自信に溢れたコンセプトが形になったものだろうと思うのです。

音楽やDVDの販売も、中心につくられたカフェ「anjin(アンジン)」が、その性格を象徴してる。
日本を代表するような雑誌が創刊号から揃っていて、現代史や自分の道のりを確かめながら、新しいものを選ぶことができるのです。
もちろん、ジャズやクラッシック、スタンダードな作品が堂々とその位置を占めている。

さて、
ここからが今日のブログの本題なのですが。
(あー、別稿にすればよかった・・・)

音楽の世界。
昨年の紅白が「AKB」「ジャニーズ」「エクザイル」のグループに乗っ取られていたという話は、どこかに書いたかと思います。
私の好きなパフュームも含めて、最近の音楽はビジュアル、特にダンスと切り離すことができなくなっています。
すでに「振り付け」なんてレベルじゃない、逆に、ダンスを活かすために音楽がある、といってもいいんじゃないかと思うのです。

おじさんたちにとっては、楽しむこともしつつ、自分たちの音楽体験を思えば、違和感もはなはだしい、というところなのです。

で、この、ダンスミュージックに対抗して、「タンスミュージック」を提唱しようかと。
タンス預金のようなもので、すでにあるレコードやらカセットやら、オリジナルを大事にする。
若い日に聴きこんだ音楽は、その人の一部として血肉になっているから。

この週末、久々に、ビートルズやスピッツを聴きました。

時代は、成熟してしまったのです。メディアに踊らされて、新しいものを追いかける必要なんて、さらさらない。
おばあちゃんの嫁入りタンスに、彼女の永遠の夢が詰まっているように、
おじさんたちのタンスミュージックには、人生を最後まで駆け抜けるための「栄養」が詰まっているのです。