震える舌(1980) | とし104の気ままに映画プログ2

とし104の気ままに映画プログ2

ブログの説明を入力します。B級な映画や主にホラー映画を自分の独断と主観でupさせていただきます♪そんなに投稿マメではないですが、よろしくお願いします。






新年明けましておめでとうございます。今年もこうしてブログを書けることを慶び、そんなに頻繁にはUPすることは出来ませんがボチボチと投稿していこうと思っておりますのでよろしくお願いします(*^^*ゞ





2016年第一発目は・・・・・・・・
爆弾級メガトンなトラウマ映画の代表格なんです!!






本作は長らくDVDでは出ていなくて、ビデオレンタル止まりで、海外版のリージョンコードの違うDVDは出ていたらしいのですが…ほんのチョイ前に「松竹・あの頃セレクション」として「丑三つの村」などと同時に発売されたのでDVDを即買いして、改めて再見して観ました。いやはやなんともスンゴイです。観た後は体温を2、3度下げてしまうくらいにHPを吸い取られる恐るべきシャシンなんですわ。



オープニングは芥川也寸志の音楽で、チェロの旋律とともに始まります。
東京の何処かの?団地で、その周囲にある池みたいな水溜まりのところで泥遊びに興じる少女がいる。

彼女の名は三好昌子(若命真裕子)。どこにでもいる平凡にかわいらしい少女だ。彼女は一人で元気に草むらを駆け回り虫取りをしたり、葦が茂る水溜まりで石をひっくり返して泥遊びをしていた…その時?!
小さな指先を石がささくれていたのか?何かガラス片のようなものでもさわってしまったのか?ケガをしてしまう!!!



昌子は気にせずめいいっぱい遊んで、お家の団地へと帰る。オトンポの三好昭(渡瀬恒彦)とオカンポの邦江(十朱幸代)と晩ごはんを元気いっぱいに食べるはずの昌子だが、どうも様子がおかしい???
口元がちゃんと開かなくてご飯やおかずをボロボロとこぼしてしまい、スプーンを落っことしてしまう有り様であった。

優しいオカンポ邦江は「お~よしよし(i_i)\(^_^)遊び疲れちまったんかい?」となだめてあげ、しつけに厳しいオトンポ昭は「甘やかさんと~しっかり食べなさい昌子」と2人をたしなめます。
「食べたくない…モゴモゴ」と口が半開きできちんと喋ることが出来ない昌子を病気とは気がつかなかった昭と邦江。寝床の布団へ行こうとする昌子の足どりは、生まれたばかりの小鳥のように千鳥足でヨロヨロであった。






その夜、真夜中の静寂をつんざくような昌子の「イギィィィィィィィィィィィィィ~」と泣き叫ぶ悲鳴で昭と邦江はビックリして目を覚ます。慌てて昌子の様子を見ると………昌子は舌を噛んで口元を血で真っ赤に染めていたのであった((((;゜Д゜)))



直ぐにかかりつけの小児科へと行くが…そこで診断されたのは風邪としつけが厳しいからのストレスによるもんでしょ~と判断される。
釈然としない昭と邦江は、大学病院へ行き、あらためて検査をしてもらう。
大学病院の教授(宇野重吉)が神妙な顔つきで昭に告げる。
「お父さん。これは大変な事態だ!!娘さんに可能性がある病気は…脳腫瘍、髄膜炎、破傷風のどれかかもしれない。いずれの病気も生死に関わる厄介なやつばかりだから、検査をして調べてみましょう」
と言うことで…昌子は精密検査を受け、頭部のレントゲンや、血液検査、MRIなどを受けて、昭と邦江はどうすることも出来ずにただただ娘のことを見守るだけしか出来なかった。

数時間か?経過して…再び教授から何の病気かを発表される。
「お父さんお母さん。あなたの娘さんのかかっている病気は破傷風!と診断されました。至急入院して治療にあたりたいと思っています」
「とりあえず髄膜炎や脳腫瘍ではないんですね??」と昭は訊ねるが、教授は「安心してはいけないよ!破傷風は潜伏期間が短ければ短いほど死亡率が高い恐ろしい病気なんだ!!」と言われる。


こうして昌子は大学病院の小児病棟に緊急入院することになる。三好家の長い長い絶望的に暗い恐ろしい無間地獄のような((((;゜Д゜)))闘病生活が始まる事となるのであった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



大学病院の病室でも昌子には一切の刺激や騒音を排除して、光をあてない写真の現像する暗室のような暗い暗い部屋で血清と抗生物質による破傷風菌への抗毒治療を行うことにする。昌子の主治医として若い女医さんの能勢先生(中野良子)はキビキビと冷静に着実に昌子のことを診てくれる。

しかしながら破傷風の病魔は容赦なく幼き昌子の身体の中で毒素を撒き散らし猛威を奮っていくのである!!!
何せちょっとの刺激でもダメなので三好家の両親は息を潜め忍者のように昌子の手を握り見守っているのだが………
隣の大部屋の少し元気になったガキどもが騒ぎだしただけで、昌子の身体がピクッピクッと痙攣し出し・・・・
「イギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ~」と身体を弓のようにくの字に折り曲げ激しく痙攣を起こしてしまい、またもや舌を噛んでしまうのであった。
昭は大慌てで隣の大部屋へ走り、「静かにして!静かにして!」と絶叫するのであった。








昭は最初に昌子が舌を噛んだ時に、口をこじ開けようとして、昌子に噛みつかれいて、その傷が化膿したため能勢先生に傷口を診てもらう。やはり心配なのは自分もリアルに破傷風に感染していないか?であった。能勢先生からは「唾液で感染する症例は無い。破傷風菌は酸素を嫌うから。でも化膿がひどいから、処置はすぐしましょう」と診断される。昭は先生に念のため予防注射もお願いする。そして机に置いてある医学書を読む。
『破傷風による直接死因は第一に呼吸器筋の痙攣、または声紋痙攣による窒息死。次いで心臓麻痺、肺炎の併発。激しい痙攣により脊椎を骨折することもある。その死亡率は日本脳炎の40~50%をはるかに越えている。潜伏期間5日以内の場合は全例死亡。10日以内で70%……』と書かれているのを見て愕然とする。
邦江も紙おむつを換えたり下着を換えたりする際に昌子をさわっているので自分も伝染ってないかを心配する。

医者がソッコー駆けつけて血清の注射を施す。「破傷風菌の毒素が中枢神経にまで入り込んで、痙攣を引き起こすのです」と説明する。


チェロの旋律とともに、病院の入院◯日目、●時と時間系列とともに話が進んで行くのですが………重い!観ていて絶望と暗鬱感が募ってきます…昌子役の子役の若命真裕子の熱演にも尽きるとも思いますが、とても彼女が病気が治るとは思えないくらい絶望的だし、口元を鮮血で真っ赤に染めて身体をくの字にねじ曲げのけ反る姿は「エクソシスト」の悪魔パズズが取り憑いたリーガンの姿にも酷似しております。そして何より悪魔やお化けなどではなくリアルに誰しも起こりうる厄災、ひょっとしたら自分も現実に罹患するかもしれない恐怖がヘタなホラー映画よりも怖いトラウマになる要因なのかもしれません。

昼食が終わった小児病棟の配膳が下げられている。パンパンに積んだ食器類に慌てて食べ終えた子供が片づけようと勢いよく押し込んだため、床に食器がガッシャ~ンと落下する!!
すると昌子はまたしても口を閉じて舌を噛んでしまい「ウギィィィィィィィィィィィ~」と口を血で真っ赤に染め激しく痙攣を起こす。その度に昭はダッシュで先生方を呼びに行き、邦江は苦しみ悶絶する昌子を抑えつけるしか出来なかった……………


昭と邦江も我が子の苦しむ姿に、家に帰ってゆっくり寝ることも出来ず付きっきりで昌子の看病をして、一向に注射をしてもおさまらない痙攣と、ひょっとしたら自分達も破傷風に感染しているかもしれない不安から、段々と心が憔悴しきって壊れてくる。





昭はうとうとする夢の中で、元気に遊ぶ昌子を見る。昌子は虫取りを元気にやっていて…そして泥遊びをしようとしている!
昭は懸命に呼びかける!!!!
「泥遊びはダメだ!危ないから止めなさい!昌子ヲ~言うことをききなさい昌子!!!!」
気がつくと…昌子は口元を血で真っ赤に染めて倒れてグッタリしている?!
昭は昌子を抱き抱えてダッシュで運ぼうと湿地みたいな埋め立て地の池っぺりをどこまでも駆けていく!しかしどこまで走っても病院に着かない!!一体どうなってんだ??
終わりなき悪夢から目を覚ます昭。あたかも自分たちの闘病生活を物語っているかのようでもある。




能勢先生も泊まり込み状態で病院に常駐し、ろくに休む暇もなく、治療に携わるが…昭と邦江に「正直言って………何とも申しがたい状況です…」と悪戦苦闘する治療に答えが出せず、確固たる治しちゃる良くなるとは言えない状況であった。
痙攣が止まらない昌子に手にもう注射をする場所が無くなってきて太ももに注射をしたり、直腸から直に麻酔を送り込んだり、と様々な処方をするが一向に容態が安定する気配がない!!おむつを湿らせたおもらしの刺激だけでも痙攣をしてしまう昌子に、堪りかねた男性医師が「この子の前歯はまだ?全部乳歯だよね??また生えてくるからいいよね…」と舌を噛み切らないようにするために麻酔なしで前歯を抜歯する(;つД`)


解りづらくてスンマセン。昌子の乳歯を麻酔なしで抜歯する「イタタタタタタ」な恐いシーンなんです!!




断続的な昌子の痙攣や発作に、とうとう邦江の方が心が参ってきて「子供なんか産むんじゃなかった・・・・そもそもあんたと一緒になったのが間違いだったのよ~」とご乱心してしまい、病室で果物ナイフを振り回すにまで至ってしまう(´・ω・`)
だからと言って昭も誰も彼女を責めたりすることは出来ない。み~んな神経も極限状態にまでテンパっていたのであった!!

能勢先生は昭に「呼吸器筋の筋肉が痙攣すると肺炎や窒息をするので気管を切開しましょう。そうすれば患者さんの呼吸は少し楽に促されるようになります」と言われ、昭は「この子にそこまでしなきゃいけないんですか?」とがっくり首をうなだれていた。


病室で果物ナイフを振り回してご乱心の邦江に代わって昭のおっかさんのばあさんが代わりに看病に来てくれたり、昭の同僚(蟹江敬三)が見舞金を持ってきてくれたり、心身が不安定な邦江を泊めてくれたりと協力してくれるが、肝心の昌子は一向に回復する兆しをみせぬまま4日が経ってしまう。
その間、絶えず痙攣や発作を起こし、その度に身体を折り曲げ、マジに背骨や脊椎を骨折してしまいそうな勢いである。どんどんと衰弱していく昌子はとうとう心拍数や血圧が下がってきて……いよいよ幼き命も風前の灯となってくる!!
弱ってくる心臓の鼓動に…能勢先生は懸命に心臓マッサージをして蘇生させようとする。傍らで見守る昭と邦江の顔からみるみる血の気がひいていく………

今まさに心臓の鼓動を示す計器が、ピーっと波打っていたのが、直線だけになってしまい…昌子の心音が聴こえなくなる!!
能勢先生が胸元をグーパンでグイグイ押しまくり、執念の治療を施す。傍らで祈る夫婦に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昌子の身体が微かにピクッと動き、同時に心臓の動きを示す計器が再び波打ち始める!!
昌子は死の淵から、すんでのところで逃れ助かることが出来たのであった!!



昌子には呼吸するための管を肺に直接差し込む状態にしてあるため、喋ることが出来ないく、ダース・ベイダーのように「シューホーシューホーシューホー」と微かな弱々しい呼吸をしているだけであった。そんな昌子に昭は語りかける………

「もし、おまいが死んでしまうようなことがあったら…おまいは何も悪いことなんかしてないのに…こんなにも辛い苦しい目に遭い続けなければならないで死んでしまうようなことがあったら、ワシはおまいだけを愛してあげるからな。もう他に子供は作らないで、一生おまい1人だけを愛してあげる。おまいを助けられなかったワシのせめてもの報いはそれぐらいしか出来ない………だからね・・・・・・・・」と力弱き娘の手を握りしめる(´;ω;`)




それからまた1ヶ月近くが経ち、能勢先生ら医師団の根気よく尽力した治療と、昭と邦江らみんなの願いと祈りが通じたのか??それより何より昌子の強靭な生命力の賜物か??発作や痙攣の回数が徐々に徐々に減ってくるのである。
ささやかな奇跡が起こるI

致死率が極めて高いと言われている破傷風に罹ってしまった昌子だが、破傷風の毒素を治癒させる事が出来てきたのか?口を開いて開口一番?!

「チョコパンが食べたいよ~」とハッキリとした声を振り絞ることが出来るまでに回復してきたのであった。
昭と邦江、能勢先生も思わず顔がほころんでしまう………



「さすがにチョコパンはムリだからジュースとか消化のいいものにしましょう」と能勢先生に言われて…昭はダッシュで販売機にジュースを買いに走る。そしてまた病室に戻るのにダッシュで走ろうとすると…嬉しさのあまりつんのめってズッこける?!
もしかして破傷風の前段階の症状でる歩行困難なのか???と思わせつつも、それ以上のことは幸いに起こらない。

昌子はその後も血清治療による副作用のための高熱と、音に対する恐怖症から入院と治療は継続され、1ヶ月経ちようやく暗室のような暗い暗い病室から他の子供たちが
一緒に入院している大部屋へと移るにまで回復した。


初めて昌子が大部屋で1人で寝ることになった夜、三好夫婦も幸いに破傷風が伝染るようなこともなく、心に余裕が出来て…「久しぶりに飯でも食って帰るか?」と2人仲良く手を取って都会の雑踏へと病院を後にするのであった………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………




原作は三木卓の実娘が破傷風に罹患したときの体験を小説にした実録医療モノなんだが………手法は完全にホラーな本作です。
映画の宣伝に書かれたキャッチコピーも
「おいで、おいで、おさないむすめ。かのじょはその日、悪魔と旅だって行った…」
とまあ完全に「エクソシスト」や「ローズマリーの赤ちゃん」のようにキリスト教の悪魔祓いモノかと勘違いしそうな宣伝文句になっています。

監督は「砂の器」「八つ墓村」など有名作から、わたくしの個人的トラウマ映画ナンバーワンの「鬼畜」「影の車」など多数の作を撮り続けた巨匠の野村芳太郎で、おどろおどろしい演出は多分お手のものだったのではないか?と思います。


昨年の一発目も邦画でも屈指のグロバイオレンスなマジキチホラーな「鬼畜大宴会」だったような気がします。が………
この「震える舌」は直接的にスプラッターな映像は無いですし、ゾンビや殺人鬼の類いも出てきませんが、とっても怖ェェ~ッス!パネ~ッス!でも子を持つ親ならきっと感動すると?思います。
ネット等で散々とレビューは書かれていて、多くの人がもうすでに知っているとは思いますが…今さら観ても遅くはありません。是非ご鑑賞ください。きっと泥遊びはマジヤベェ~危険だ!!!とゼッタイしたくなくなりますよ。


今年もいろんなジャンルの個人的嗜好のオモローな映画を少しでも多くレビューしていきたいと思っておりますので、皆さまどうぞお付きあいお願いします(*^^*)