看護師・国家試験に合格したフェルナンデスさんインタビュー　その2

前回のインタビューは、下記をご覧ください。

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■「この勉強法を実践すれば、合格できる」

　しかし、モチベーションだけで乗り切れるほど、国家試験合格の道は容易ではない。

今回受験した外国人看護師候補生２５７人中、フェルナンデスさんを含むたった３人しか合格者が出ていない、という結果がそれを証明している。

では彼は、どのような勉強法を実践することで、難関を突破したのだろうか？

「みんなに合うかどうかは分からないけど……」と前置きしたうえで、「でもこの勉強法を実践すれば、きっと合格できるよ！」と、フェルナンデスさんは自信を持って教えてくれた。

　まず、国家試験の過去問題を5～7年間くらいさかのぼってチェックし、よく出題されている問題ばかりをピックアップする。問題のなかで使われている漢字を書き出し、意味を調べ、覚えるまで繰り返し問題を解く。そしてもうひとつは、小児科や産婦人科といった科目ごとに、日本語の病名や医療用語を丸暗記する。

「ポイントは、よけいな問題に気をとられすぎず、よく出題されている問題に集中して繰り返し覚えることです」

これが、彼がこの一年間かけて「もっとも効果的だ」と判断した国家試験攻略法だと言う。

彼は昨年も国家試験を受けているが、そのときは問題すら読めず惨敗だった。
そこから一年で合格を勝ち取ったのだから、かなり説得力がある。

いっぽう日常会話の習得でも、彼は自分に合った勉強法を見つけていた。

「私は何時間も教科書に向き合っているのが苦手なので、とにかく病院のスタッフや患者さんたちと会話しました。分からない言葉が出てきたら、すぐにメモして後で調べるんです」

　フェルナンデスさんが、“肩の荷がおりた”とか“秋の空”とか、日本人らしい比喩表現をうまく使うことができるのは、たくさんの日本人とコミュニケーションをとってきたからこそ、なのだろう。

　また彼は、日本のポップスが大好きで、歌詞の意味を考えながらたくさんの曲を聴いていると言う。

好きな日本人アーティストをたずねると、「たくさんいますよ！レミオロメンとか、平井堅やミスターチルドレン……、それにBUMP OF CHICKEN！」

と、次々に名前をあげてくれた。
友人と飲み会などがあるときには、これらの曲をカラオケで歌うこともあるそうだ。

■ 「病院のみなさんが、いっしょうけんめい勉強を教えてくれたからこそ」

　　もちろん彼は、自分のがんばりだけで合格できたと思っているわけではない。

「病院のみなさんが、いっしょうけんめい勉強を教えてくれたからこそ合格できた」と、フェルナンデスさんはふり返る。

　彼の受け入れ先となっている新潟県三条市の三之町病院には、フェルナンデスさんのほかに、もうひとり、同じくEPAにより来日したインドネシア人女性、リア・アグスティナさん（26歳）がいる。

驚くべきことに、彼女も国家試験に合格したのだ。

　何度も言うが、２５７人の外国人受験者のうち、合格者はたった３人だ。なんとそのうち２人が三之町病院に勤めているということは、決して偶然ではないだろう。

なぜなら、候補生たちの教育はすべて受け入れ先の病院に一任されているため、本人たちの努力はもちろんのこと、病院側の手厚いサポートも、国家試験合格のために欠かせない条件だからだ。

　三之町病院は、いったいどんな支援をしていたのだろうか？

「勉強時間を長くとってくれたのが、ありがたかったです。また、指導者をつけて、毎日勉強を教えてくれました」

とフェルナンデスさんは言う。

　彼らふたりは、午前中だけ看護助手の仕事を手伝い、午後からは、病院側が用意してくれた勉強部屋で、4時間ほど日本語と国家試験の勉強を続けていた。4時間のうち２時間は、看護部長や総務部長、また先輩看護師などが交代で勉強を教えてくれたと言う。

　「良い環境をつくってくださったことに、本当に感謝しています」

とフェルナンデスさんが言うように、病院側の理解と強力なサポートが、彼らを合格へ導いたことは言うまでもない。

＜画像：asahi.com 「国家試験に合格したインドネシア人看護師候補生　左：フェルナンデスさん（26歳）、右：リアさん（26歳）ともに新潟県三之町病院に勤務＞

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