★マスメディアに広告2.4兆円 朝日新聞「検証記事」でも動かない国民の体質 | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

こういう記事が時々出てくるから、新聞記者のセンスはやはり人によるのだなと思う。朝日新聞夕刊1面の記事に僕は感心した。


原発保有9社、広告2.4兆円
稼働後42年間 米事故後に急増



見出しの横には「◆電力9社の普及開発関係」の数字が出ている。
普及開発関係とはつまり、新聞・テレビなどメディア各社に投じた広告費だね。
東電がダントツで多く、6445億円とある。
42で割るとこの間、毎年平均153億4500万円強ということになる。
気前よくバラまいたものだね。
2位関西電、4830億円。年平均115億円だ。

hidekidos かく語り記


朝日新聞はこの数字をどうしてつかんだかというと、電力9社の有価証券報告書の数字を丹念に拾ったのだ。公表されている情報。
意識して見なければ、そこからなんの真実も浮かんでこない。
今回は「原発とメディア」というテーマで調べたようだ。
10・11面に特集している。
そちらの見出しも「原発 直視してきたか」「政府の情報、うのみにした」などが載っており、自戒の念を踏まえた上での特集であることがわかる。


さて、その中で以前からいわれている「マスメディアは電力各社からの広告費でズブズフにされている」といわれる事象について、本当にそうなのかと検証したのだろう。
結果は「事実」だった
電力9社でこの42年間で年平均571億円の普及開発費を支出している、ということは、巷間いわれている「新聞・テレビで電力関係の広告費は800億円」と見事に符合している。


問題はエサをまかれて、天下の大メディア(もちろん地方紙も含む)が電力関係の記事に手心を加えているかどうかだ。
朝日1面はこの点に関し、砂川浩慶・立教大準教授に「否定的な報道に目光らす意図か」といわせている。
原発に否定的な記事を書けば広告止めちゃうよ、といったかどうか。
それでビビってそっち方面のことは知ってても書かない? 
新聞社にいた者としていわせてもらえば、「それはないだろう」と思う。
ただし、こと原発についてはナーバスな雰囲気はあった。


素朴に考えて、「地域独占の電力会社がなぜ広告なんて出すかな」(それも朝日の調査によれば自動車や家電のトップメーカーと並ぶほど広告費を出してくれている)とは思っていた。
メディアにとって安定的なスポンサーは確かにありがたい。
やはり「ムラの一員」といわれても仕方ないのだと思う。


事実として、福島第一原発の事故が起こるまで危険性を指摘できなかったのだし、事故発生から今日に至るまでの報道においてもマスメディアは、『ノー モア フクシマ』を腹の髄からいえる日本人を過半数生むことに失敗しているのだから。
あれほどの事故を見ているのに、国民世論が「ノー原発」に傾かない国なぞ世界中にあるものか。
そういう世論形成をいまだにできていないマスメディアは全員敗北している


〈やはり永年のハナ薬はこういうときに利くんだね〉などと電力幹部が談笑している姿を想像すると、悔しくてならない。
魂をもった記事を単発ではなく、連日のように読みたい。
またこの記事は、発行部数の少ない夕刊ではなく、朝刊に堂々とぶつけてほしかった


朝日新聞の労作記事を読んで、僕はそんな感想をもった。



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【筆者から】
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ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしていますが、ジャーナリストであり続けたいと思っています。また、61歳で行政書士の資格を取り今年8月に開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」として熱く語り続けています。
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