救急車に乗せられたことはありますか?




救急車に乗せられる場合、
意識が無ければ乗った記憶がなくてもおかしくないですが、

意識はしっかりしていて、自分の足で乗り込んだのに乗った記憶が無く、
搬送された病院で受けたMRIやCTの検査の記憶もない。
自分で受診料を支払ったのに、その記憶もない。

異常がないからとその日のうちに帰されて、
自宅まで電車を乗り継いで帰ってきたのに、
どうやって帰ってきたのか全く覚えがない。

・・・

こんなことが、あるんですね。


 

 

 

 




彼は、会社で業務時間中に自分の異変に気づきます。


今、少し前にしていたことが思い出せない。
目の前のパソコンに自分で打ち込んだ文字を見ても、
自分が打ったことに間違いはないはずなのに、
全く思い出せない。

おかしい。

咄嗟に、携帯を掴んで妻の携帯に電話をかけます。

電話に出た妻に、症状を訴えます。
妻も、夫の異変に気づきます。


妻は夫に、近くの同僚に電話を変わるように言います。
夫は言われた通りに上司に自分の携帯を渡します。

妻は、
夫の記憶が途切れ途切れなこと、
軽い脳梗塞を起こしているかもしれないこと、
至急近くの病院に連れて行って検査を受けて貰いたいことを伝えます。

上司は電話を切って、
夫と話を交わしてから救急車を呼びます。


 

 

 



搬送された病院で受けたMRIとCTの検査結果はシロ。異常なし。

医師の診断は「一過性の健忘症」。
自然に回復するまで様子を見るしかありません、
このまま帰宅するように、との指示。

妻は、病院に向かう電車の中で、
夫に付き添った上司からこの診断結果をメールで知らされます。

手術の必要はなかったこと、脳梗塞ではなかったこと、
ホッと一安心して間も無く病院に到着。


時間は夜の9時半。
暗い待合室で夫と上司の二人だけが椅子に座っています。

挨拶を交わして、夫の最初の一言は、
「なんでここにいるのか分からない」


精算をして、病院から駅まで歩いて、
自宅までの電車を乗り継いで帰宅。

その間、約一時間半。
夫が繰り返す同じ質問に、妻は同じ答えを繰り返します。

「どうやって病院に来たのかな」
「救急車に乗ったんだよ」
「救急車で来たんだ、全然覚えてない」

・・・

「検査受けたの?」
「MRIとCTの検査をして、異常はなかったって」
「MRIとCT受けたんだ…覚えてないな」

・・・

「どうして救急車に乗ることになったの」
「あなたがおかしい、って私に電話くれたの」
「そうなの?覚えてない」

・・・

「何時ころ電話したの?」
「6時半頃かな」
「そうなんだ」

・・・

「明日はどうするの?」
「明日は会社休んで近所の病院でもう一度検査してみたらどうかと」
「そうか、明日は病院に行ったほうがいいんだね」

・・・

「明日は何曜日?」
「金曜日だよ」
「金曜日か」

・・・

このやり取りが、自宅までの一時間半の間、
数分おきに同じパターンで何度も何度も繰り返されます。

妻は「明日は金曜日だよ」という言葉を
何度繰り返したかわかりません。


家に着いてからも、
この繰り返しは止まりませんでした。


ようやく落ち着いたのが、
お風呂に入って出てきた頃。

それでもやはり、しばらくは
手帳と携帯電話の履歴を見ながら
思い出せないことに不安そうにしています。


寝入ったのは午前3時。


 

 



翌日、翌々日と、時間が経つにつれて、
夫は少しずつ事態をのみ込み始めました。
取り戻した記憶もありました。

質問を繰り返すこともなくなり、
妻がする自分のした質問の繰り返しの話を
大笑いしながら聞くこともできました。

ただやはり、ぽっかりと失った記憶の時間は
不安で仕方がないようです。

また同じようなことが起きるかもしれないと思うと
恐ろしい気もするようです。


「一過性の健忘症」…

長くなりましたので、つづきは別記事にします。


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