ひーさんの書斎? -6ページ目
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人や犬には微量の生理的弁逆流があるけど、猫でもあるの?

第一回目は、

【Physiologic Valve Regurgitation (PVR) in Normal Cat】

Journal of Veterinar Cardiology 7(1): 9-13, 2005. に掲載されていた論文です。

では、日本語で

タイトル 【正常な猫の生理的弁逆流(PVR)】

人や犬には微量の生理的弁逆流があるけど、猫でもあるの?という疑問に対する論文です。

ちなみに、心臓は4つの箱から構成されており、上の2つを心房、下の2つを寝室を言います。それで、この上下を分けてる左右の弁を三尖弁(=右の心室と心房の間)および二尖弁僧帽弁=左の心室と心臓の間)と各々言います。また、左右の心室からは、肺動脈(右心室から)、大動脈(左心室から)が出ており、この心室と動脈の間に、それぞれ肺動脈弁大動脈弁があります。

犬では、身体検査(聴診)で心雑音は聞こえないけど、ドップラーエコー検査(血流が分かる)をすると、検査した子の内、75%が肺動脈弁に、15%が僧帽弁に、10%が大動脈弁に認められました。ちなみに、三尖弁には逆流は見られませんでした。他にも、エコー検査上、構造に異常はないけど、肺動脈弁逆流があるという報告もあります。

方法と結果です。

要するに、どういう子を健康とみなし、どうやって評価したの?何人にしたの?その結果は?ですね。

まず、方法に入る前に、これはフロリダ大学からの報告で、この研究は米国獣医内科(心臓)専門医がエコーガイドラインに従って評価したものです(=つまり、評価方法がある一定以上の熟練した先生によって行われていると言う事です)。

1)レトロスペクティブ

う~んと、例えば、100人来院しました。で、検査をし、後から評価したら○○だったという、評価方法。

つまり、現在から過去という感じです。

例)100人診て、後から解析したら、そのうち半分がロシアンブルーだった!

本文では、こちらの評価をプロスペクティブとして扱っていますが、逆だと思いますので、ひーさんは逆にしました。

様々な種類の58匹の平均年齢約5歳(年齢範囲 1-12歳)、平均体重5.2Kgの猫ちゃん

5%(3匹)の猫ちゃんに僧帽弁逆流、2%(1匹)の猫ちゃんに肺動脈逆流、71%(41匹)の猫ちゃんに 三尖弁逆流がありました。

2)プロスペクティブ

う~んと、今回であれば、純血種で、聴診で雑音ない子でという評価を先にし、その後、評価したらエコ ー上では逆流あるやん!という評価方法。

例)体重が~~で、身長が~~で、性別が女性で~~というのうな条件にあう子を100人診て、解析した ら結果が○○です!

つまり、現在から未来へという感じです。

純血種の46匹の平均年齢約2歳(年齢範囲 0.3-7歳)の猫ちゃん

9%(4匹)の猫ちゃんに僧帽弁逆流、2%(1匹)の猫ちゃんに肺動脈逆流、57%(27匹)の猫ちゃんに

三尖弁逆流がありました。

総合すると、104匹中、65%にあたる、68匹に生理的弁逆流が認められました。

.

結論です。

猫ちゃんにも生理的弁逆流があって、その中でも特に三尖弁が多いのよ。

だから、聴診で心雑音がなくって、ドップラーエコー検査上逆流を認めても、生理的なことが多いので、気をつけましょう、ということです。

ひーさんの感想です。

え~と~当然の結果ですね。でも、性別も知りたかった!本文にも書いてなかったような・・・

ただ、猫ちゃんでの報告はなかったので、猫ちゃんでも生理的弁逆流に関して、犬と同じかな?というのが、犬と同じである!と科学的根拠を得たのは大きいと思います。

要約すると、

心雑音なし→ドップラーエコー検査→微量の逆流→心臓病の可能性もあるが、100%心臓病があるとは言い切れなくて、生理的なものである可能性も非常に高いので、診断する人も診てもらう人も気を付けましょうね。

ではでは、この辺で・・

はじめまして。

はじめまして。ひーさんです。


このブログは、ひーさんが読んだ動物や獣医関係の本や論文(科学論文や症例報告等)を不定期に紹


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