ピスコラを作曲に使っていると同じくPixel氏開発の過去作品「洞窟物語 」の評判がよく耳に入る。Wikipediaやファンサイトでの評価から、小粒ながらもよく作りこまれた魅力ある作品であることが伺える。もとよりこうした昔ながらのオーソドックスな横スクロールアクションとドット絵の整然美に飢えていたこともあり、ためしに少し遊んでみることにした。


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個人製作のゲームは所詮あちらを立てればこちらが立たず、絵・音・話を兼ね備えた完全作などハナから期待していない。しかしこの作品はそんな偏見を見事に打ち砕いてくれた。しばしば「ファミコンのような」と評されるシンプルなグラフィックには少ない色数ながらオブジェクトの立体感がしっかりと感じられ、むしろ意図的に階調数を減らしてアニメ風に処理したポスタリゼーション的効果を狙ったものに思える。音源のチープさは否定できないものの、そこはピスコラやその前身である「オルガーニャ」、「PiyoPiyo」の製作者。ファミコンの4音をはるかに超える音数と作曲センスで音色をカバーし十分な迫力と奥行きを表現している。ストーリー面では世界観や主人公自身についての情報を小出しにしてプレーヤーを徐々に物語に引き込む演出が巧い。登場キャラも奇を衒ったようなカブキモノはおらず、「さして目立たないが印象に残る」という絶妙な塩加減。外見のファンシーさに似合わぬシビアなシナリオは好みの分かれるところだろうが、この媚びない感じが個人的には好印象だったりする。


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しかし何より評価すべきは「ゲームのゲームとしての楽しさ」が凝縮されている点だろう。ジャンプアクション、シューティングアクションとしての操作性はもちろん、シナリオの進行に伴い獲得する様々な「銃」はそのどれもが個性的な性能を持ち、使い分けが楽しい。またブースター入手以降のアクションの自由性はなかなか心地良い。これを没収(一時的なものだったが)された際は大変なショックを受けたものだ。アクションゲームとしての難易度は中の上、これまた絶妙な難易度設定。製作者はゲーマーのツボをよく理解しているように思える。世界中の有志達によりMacやLinux、DSやPSPにも移植され、Wiiウェアにまで昇格したというのにも納得ができるというものだ。


なにぶんアクションゲームなので2日目にして既に終盤(推測)だが、本作はマルチエンディングに加えてクリア後の要素もいくつか存在するらしい。飽きの来ないゲーム性も相俟ってちょっとのつもりが長い付き合いになりそうだ。アクションゲームを他人に薦めるなら「迷宮組曲」か本作かって感じですなぁ。