2193号「説教ばかりしている人は、劣等感のかたまり」
砂辺光次郎
講義録2193号
(2010/7/20)
ご訪問、心より感謝申し上げます。
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ある男性よりの質問です。
「私の知人で、他人に、説教ばかりしている人がいるんです。
説教ばかりしているので、その人、ずいぶん偉いのかな、と思ったら、
たいしたことないんです。
こういう人は、何で、説教ばかりしているのでしょうか。
実は、私も、いつも説教されて、もう、本当に、参っているんです。」
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(私の返事)
私も人間長くやっていて、いろいろな人間を観察してきたのですが、
わかったことがあります。それは、
人に説教する人間というのは、たいしたことないんだ、ということです。
他人に説教する人というのは、二流以下の人間なんです。
第一級の人間は、他人に説教などしないものなのです。
そして、さらに、知っておくといいことがありますが、それは、
人に説教ばかりしている人というのは、
本当は、自分自身が、今、苦しいんです。
たとえば、あなたに、今、説教ばかりしている人がいるんですよね。
そういう人は、だいだい、数年で、元気なくしていますよ。
本当は、自分自身が、今、苦しいんです。
そして、そういう人は、実は、すごく弱いんです。
弱いし、かなり、つぶれる寸前まで来ているんです。
だから、人に説教なんてするんです。
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(ここまでで、結論は、言いました。)
(以下は、読まなくてもけっこうです。)
例を挙げましょう。
(例1) Y氏は、周囲の後輩たちに、いつも説教していました。
「ああしなくてはいけない。」
「こうしなくちゃ、いけないんでしょ。」
といつも、説教していました。
数年後、Y氏の周囲の人たちが、次々結婚したんです。(Y氏は、独身でした。)
Y氏ひとり、独身として残されたんです。
そうしたら、Y氏、急にがっくりきてしまったんです。
このY氏の心の中は、こうだと思います。
「自分は結婚する自信がない。
それで、周りが結婚しそうなのを、止めていた。」
これは、心の中の話ですよ。Y氏自身、自覚はしていなかったと思います。
要するに、Y氏は、自分に自信がなくて、周りの恋愛をじゃましたい、だから、説教ばかりしていた、ということなのです。
こういう人も、いるんです。
(例2) F夫人は、いつも周りに強くきつく、「~~ねばならない。」を連発していました。
あるとき、F夫人の長男が、お母さん(つまり、F夫人)に反発して、海外に行ってしまったのです。
F夫人は、それで、一気にしょげてしまいました。
F夫人は、実は、「ものすごく自信のない人」だったのです。
だから、自分が崩れるのを、防ぐため、そのために、
周囲に、高圧的に、いろいろなことを押し付けて、自分を維持してきたのです。
しかし、今回、長男に反発されて、もともと弱い心が、ポキっと折れてしまったのです。
(例3) M氏は、いつも誰かをバカにしている人です。
たとえば、たまたま知識がない人をバカにしたり、信仰宗教に入っている人をバカにしたりしていました。
また、M氏は、貴族的趣味の人にも、ものすごく反発していました。
M氏の心の中を探求すると、こういうことがわかってきました。
「M氏は、本当は、貴族趣味であり、自分こそ、貴族趣味的な生き方をして、周りを見下したかった。
自分が、貴族になって、周りを見下したかった。
その第一歩目は、慶応大学に入ることだった。
しかし、慶応大学に受からなかった。
それで、気持ちが暗くなり、嫉妬心が充満し、
金持ちを憎み、左翼活動家になった。
社会人になって、会社に勤めても、社長など、いい生活をしている人たちを、憎んでいた。そして、反発していた。
その結果、上司の受けがよくなく、出世せず、ずっと、貧乏暮らしだった。
そのため、ますます、反発心が強くなっていった。」
M氏の心の中は、こんなふうでした。M氏自身は、自覚していなかったと思います。
M氏は、今は、後輩を説教することによって、鬱憤(うっぷん)を晴らしながら、生きています。
周りの人間は、彼の人間性を嫌がっているのですが、それに、気づくこともありません。
M氏は、五十代になった今でも、ちょっと成功している人を嫉妬し、悪口を言っています。
もう、それだけで、自分の心を支え、生きているのです。
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以上、例に挙げた人たちも、解決策はあります。
解決策は、反省して、自分は本当は、嫉妬しているだけなんだ、ということに早く気づくことです。
それによって、人生は、いくらでも、やり直しできるはずです。
(今日は、ここまでとさせてください。)