ガツガツガツガツ
 腹が減っては戦はできぬ!とばかりに少年は飯にがっついた。
 中国から日本に来て、毎日山篭りでさすがに限界に来ていた。
「よく食べるね~」
「こんだけ食べられると逆に気持ちいい」
 少年のがっつく姿を見て、顔がほころぶめえとナナミ。
 めえとナナミを襲った少年は、力を使い果たし、空腹のために倒れたのであった。
 めえがとりあえず、放っておくのも可哀想だから家に運ぼうという提案で、少年はめえの家に寝かされた。
 夕食時、食卓の匂いに引き寄せられた少年の出現によって、事情を把握。
 少年は好戦的であったが、目の前に出される料理に負け、今に至る。


「まさか妖魔に飯をもらうことになろうとは……」
 少年は文句を言いつつ食べる。
「だ~か~ら~めえ達、妖魔じゃなーい! 何度言ったらわかるの、この子……ふにゅ~」
 めえは少年に言い返す。しかし、その顔は楽しそうだった。
 本気で一戦交えたことで、何か情が芽生えたらしい。
「めえちゃん、本当にこの子、家に泊めるの?」
「んー、家がないって言うし、めえの家、部屋が空いているし」
「危ないよー」
「まあ、大丈夫だよー、飯は食わせたし」
 ひひひと恩を着せる黒めえ。
「何か困ったことがあったらすぐに知らせてね」
「ありがと、ナナミちゃん」
 かくして、少年はめえの家に居候することになった。
「まあ、妖魔がこの家の人に手を出さないか監視するのに好都合だ」
 少年は未だめえが家の人を騙していると思い込んでいる。
 めえはため息を吐いた。