里の子供達と触れ合った後、僕らは宿舎に戻った。
 宿舎にはちょうどやおよろずの全メンバーが揃っていたので、日和はメンバーに向けて霊界欠書の話をすることにした。
「みんなに聞いてもらいたい話があるんだけど」
 日和はそう言って、話を始めた。

「二週間くらい前かな。図書館で偶然、この本を見付けたの」
 日和はそう言って、霊界欠書を持ち出した。
「この本、どうも預言書みたいなの。でもね、これはあたしと同じ超能力者が書いているから、普通の人には真っ白なページにしか見えない。みんなには見えるかな?」
 日和は本を開き、ページをめくる。
 みんな、鬼文字で書かれていることをすぐに理解した。

「ミトオシサマは言ったよね。来年、私達が滅ぶって。それがね、この本にも書かれてあるの。『2012年12月23日。人類は、この星の生物は選ばれる。生き残る者と、消え去る者と。すべての者が一つになる。性も生も星も聖もすべてを超えて……』」
 いつしか、みんなは真剣な表情になっていた。
「これがどういうことを意味しているのか、具体的な事はわからない。でも、来年のクリスマスイブイブに何かが起こる。これは覚悟しておいた方がいいのかもしれない」
 日和は一呼吸を置いて続ける。
「そして、この本には未来についても記されていた。でもこれは曖昧に記されていて、具体的ではなかったわ。この先でも人は戦争を繰り返すらしいのね」
 戦争という言葉に現実味がなかった。
「どういう預言者がこれを記したのかはわからないけれど、これは西暦一万年後まで記述がある。だから、少なくとも、あたし達が生きている間には地球は滅びない。けれど、人類は滅びるの。これってどういう意味だと思う?」
 イマイチパッとしなかった。世界の終りなんて想像したことがない。
 すべて空想の範囲で終わるだけ。
 具体的に何がどうなるのかはわからない。

「偶然か必然かはわからないけれど、あたしがここでこれを見付けたことには意味があると思うの。それでね、やっぱり鍵となるのが、私達の超能力開発じゃないかなって。何故だかわからないけれど、そんな事を思ったの」
 それは天啓。オラクルと呼ぶべき思い付きかもしれない。
 しかし、これまで超能力開発を行ってきたが、日和以外に能力を開眼させられた人はいなかった。
 やり方がわからない。
「それでね、超能力の開発の仕方が、この本に書いてあったの」
「!」
 それは僕にも聞かされていなかった。
「その方法はね。気を取り込む方法とほとんど一緒。ただ違うのは、自然の中で行った方が開眼できる可能性が高くなるみたい」
 そこで日和からの提案。これから時間がある時は自然の多い所で精神修行を行うようにしようと。
 全員、釈然としない様子だったが、何となくやらなければならないことを感じたようだった。