『――続きまして、緊急速報です。昨年、人々に甚大な被害を与えた、生体チップを介して人体に影響を与えるコンピューターウィルス――通称〝モフモフ〟を製作したと見られるドイツの16歳の少年の身柄を、ドイツ警察が確保したとのことです。警察は少年の所持していた電子機器をすべて徴収。現在、中身を調べているとのことです――』


 今日はウキウキ気分なのです。テレビの速報も見えているようで見えていません。今は庄助様のことで頭がいっぱいなのです。
「んふふ♪ んふふ♪ 今日は瑞穂様がご友人様と旅行に出かけられています! これは私がしょーすけ様を魅了して、お嫁さんして頂く絶好のチャンスなのですっ!! なのです!」
「おい、タヌキ。瑞穂が出かけているから、俺もどっかダチんとこ行ってくるわ。留守番頼む」
「え……ふええぇぇぇ!? そんなー! そんなのあんまりですよ、びえぇぇぇー!」
「お、おいこらヤメロ! そんな大声で泣くな。隣に聞こえるだろ」
「びええぇぇー! だって、せっかく瑞穂様がいなくて、しょーすけ様と一緒にあまーい一夜を過ごせるチャンスだと思ったのに……びええぇぇー!
「遠慮無く自分の欲望丸出しだな……これだからケモノは……」


 ピンポーン ピンポーン ピンポンピンポンピンポン


「ゲッ! やべぇ、この押し方は隣のおばちゃんに違いない。また女の子泣かせたって説教される。おばちゃんの説教長いんだよー、つか、こいつはそもそも人間じゃないけど、その、説明が難しい……つか、おい、タヌキ、泣くのをヤメロ!!」
びええぇぇー……泣きやんだら、くすん、しょーすけ様、一緒にあまーい一夜を過ごして頂けますか?」
「あまーい一夜は置いといて、わかった、わかった。家にいてやるから、とにかく泣き止め。お前が泣きやむことが俺にとっての幸せだ」
「はぅ!? 私が泣き止むことでしょーすけ様を幸せにできるのですか! それなら今すぐにでも泣き止みます」
 私はすぐに泣き止みました。


「全く、このタヌキは疲れる……」
「何か仰いましたか?」
「何もねーよ。それじゃあ、夕飯作ってくれ」
「はあぁぅぅ! まさかのしょーすけ様からのリクエスト!」
「いや、飯作るの、お前しかいないから」
「腕に海苔を掛けてお料理致しますよ!」
「おい、何か言ってることおかしいぞ……あ、おばちゃん帰ったようだな、あっぶねぇー、もう少しで突入してくるところだった……」
「おい、タヌキ。何が作れるだっけ?」
リサとお呼び下さい。」


「いや、タヌ――「リサとお呼び下さい」
「……わ、わかったよ。リサ、お前は何の料理が作れたのかって」
「はわわ……しょーすけ様が私をついにリサと呼んで下さいました……」
 嬉しくて涙がちょちょぎれそうです。


「いや、お前が呼べって言うから……」
「しょーすけ様はその……裸エプロンにきょにゅーの子が好きなんですよね?」
「バッ! お前、イキナリ何言っ……っておいおいおいおい! 胸が……ちょっ、おい、また膨らませて……あー、それ以上膨らませると服が破れるって、おいやめろおぉぉぉー!
「エプロン着て……リサ、脱いじゃいます☆」
「もうヤダ、このタヌキ、誰か助けてくれえぇぇぇぇー!」
 そんなこと言っちゃって、ちゃんと見るとこ見てるんだから、もう、庄助様の助平! かわいい、うふふ♪