「ねぇねぇ、コノハー、めえにもなってよぉー」
「フェネック?」
 めえがもじもじしながらコクンと頷く。
「いいけど……今、変身の状態が不安定だからうまく変身できるかわからないで」
「うん」
 コノハはめえの要望をのんでフェネックのケモノに変身を試みる。
 フェネックを頭の中でイメージ。強く強くイメージする。
「! いけるかも」
「本当!?」
 体中が熱くなってきた。体の熱はすぐに変身に反映された。鏡を見ると、自分の体が変化していることがよくわかる。
ぺたんと垂れ下がった耳が急激に元気を取り戻したみたいにピンと立った。その後、むくむくと巨大化を始める。
「あぁー、めえより耳、おっきくなちゃったね」
「うん……はぁ……はぁ……ごめん、変身の調節……できない……」
「うんうん、いいよぉー、めえがコノハに合わせる」
 めえはそう言うと、コノハの変身に合わせて、自分の耳も大きくさせ始めた。コノハが体のなるように変身を任せるのに対し、めえはコノハのシークエンスする姿を追って、TFする。何だか不思議な変身光景だった。
 コノハの耳が頭と同じくらいの大きなサイズになった。一方、めえも自然なケモノ姿になるよう、耳を大きくした。
「んふぅ」
 くるんとまるまったしっぽがさらに大きくボリュームを増す。すごいふさふさして気持ち良さそうだ。全身の毛の色が茶色からクリーム色に変わり、マズルが少し引っ込んだ。肉球の色がまた変わり、その形も変化している。肉球が変化する時は手の内がこしょばゆい。
「わあぁぁー……」
 めえはコノハの変身に合わせて、自分も同じ姿に近付ける。コノハは柴犬のケモノ姿からめえの姿に近付いていく……
「はぁ……はぁ……どうかな?」
「おぉー! めえと一緒! めえみたい!」
 鏡を見ると、コノハの姿はフェネックの姿に変身していた。ぴょこっとめえが覗いて来ると、まるで双子みたいな感じだった。後ろ姿はどっちがどっちが見分けが付かない。
「わーい! 何か嬉しいっ!」
 めえがきゃっきゃ喜ぶ。
「きゅん! めえと双子みたいやね」
「わーい、双子双子! コノハー!」
「わぁ!」
 めえがコノハに飛びついた。コノハはめえに飛びつかれてそのまま床に倒される。めえが顔をスリスリしてくる。ロリなケモノ二匹がじゃれ合っているようにしか見えない。
「んはあぁぁぁぁぁぁー! かわええ、かわええよぉー!」
 カリンが劇的に吠える。もうただのおっさんにしか見えない……
「……かわいい……悪いけど、わたしも一枚もらっておこうかな」
 テンリもパシャっと一枚写メを撮った。
「ねぇねぇ、コノハ、こっち来て」
「うん?」
 めえがトトトと二足で歩いて行く。コノハはその後を追う。
「コタロー! どっちがめえでしょう!」
 コタローの前にめえとコノハは後ろ姿になって、めえが問い掛ける。
「え?」
「当てて当てて!」
 そっくりな二人のしっぽがもふもふ揺れる。
「ん……それじゃ、こっち」
「正解ー! コタロー大好き」
「/////」
 甘い。スイートだ。コノハは少しむずかゆいような感情を抱いた。コタローが照れまくる。
「コノハもおいでよ」
「う、うん」
 めえがそう言って、コタローの膝の上に上っていく。コノハは遠慮したかったが、めえが誘うので流されて、二人でコタローの膝の上に乗った。めえが体を丸めて二人でぬくぬく。
「……あ、また鼻血……」
 コタローの体がブルブル震える。緊張しているようだった。
「きゅぅ?」
 コタローの膝に乗っていると、下から突き上げてくるものがあった。コノハはそれが何なのかすぐに察しが付き、少し恥ずかしくなった。しかし、女の子にこんなことをしてもらって興奮しない方がおかしいとも思って、気付かなかった振り。
「ふにゅ~」
 しかし、めえはそれに気付いていないのか、普通に盛り上がった部分を足で蹴ったりする。コタローは蹴られるたびに、ビクッと体を反応させる。
 めえは女帝。コタローは尻に惹かれるタイプだ。
 少し気まずさを感じながら、コノハもめえと同じように丸まろうとしたその時、体がまた発熱してきた。
「また……変身……?」
 大きな耳が小さくなり始めた。
「何で今日は……はぁはぁ……」
 こんなにも変身を繰り返すのか?
 もふっとしたしっぽの形が少しずつ丸みを帯びてきた。
「むにゃむにゃ……ん?」
 うたかたの間、めえは寝ていたらしい。
「あぁ! コノハぁ……もうやめちゃうの?」
 めえは少しショックを受けたようだった。
「はぁ……ごめ……はぁ……」
 しかし、コノハの苦しそうな表情を見て、それ以上何も言わなかった。
 マズルがもう少し小さくなり、肉球の色や形がまた変わる。体の毛の色がこげ茶色に変化し、耳が丸く小さくなった。目の周りに隈のような模様ができて、これは……
「あー! タヌキだ!」
 そう、コノハはコタローの膝の上でタヌキ娘になった。