「次は誰やる誰やる?」
 カリンはすぐに次のプレイヤーを促す。
 まだ未プレイなのはコノハとコタロー。しかし、コタローはめえのティッシュ攻撃に遭っているのでダンスはできなさそう。となると、コノハしかいない。
「よ、よし。私がやる……」
 正直言って、ダンスは全然自信がない。
「よっしゃ、それじゃコノハのキャラを作るで~」
 と、カリンが言ったその前に、全身スキャン。カリンがパパパッとコントローラーを操作して、コノハにはケモノキャラを作っていく。
「どやっ!」
 カリンが作ったコノハのキャラは確かにコノハに似ていた。ケモノ的なイメージはネコっぽい感じだ。
「レ、レッツダンシング!」
 ちょっと恥ずかしい。
 しかし、コノハの想いと裏腹に、ゲームはスタート。
「右手上げて」
「え、右手?」
 画面から聞こえる声の指示どうりに動く。
 どう指示されるのか読めないので対策のしようがなく、指示に少し遅れる形になってしまう。
「あ、違う、左手だった」
 ぎこちない感じでコノハはプレイする。この感じだと、得点はめえとどっこいどっこいになりそうだ。
「それじゃあ、しっぽを伸ばして」
「!?」
 しっぽ?
 意味不明な指示にコノハが混乱する。
「はい、耳をピンと立てて」
「え? え?」
 要求がドンドン激しくなっていくが、全くそれに対応できない。
「ほらほらコノハ~これ見てこ~れ~~」
 横からカリンの声。何だと思ってそっちを向くと……
「ネコ……ハッ!」
 カリンがネコの写真を見せてくる。これはコノハのTFシーンを要求している。
 コノハは瞬時に目を閉じ、心を落ち着かせ、ゲームに集中した。
「ちっ……」
 カリンがわざとらしく舌打ちする声が聞こえる。
 そう毎回毎回、その手ばかりくらってたまるか!
 となると、ゲームもカリンが何かしらいじった可能性がある。普通のゲームなら、「しっぽ伸ばして」とか言わない。
 ゲームはさらに激しさを増していく。画面の中のケモノも激しく動くが、指示とは異なる動きになってしまっている。
「はい、肉球出して、マズル引っ込めて」
「……できるかあぁぁぁー!!」
 コノハ、ゲーム破棄。大きく叫ぶと、コタローがビクッとした。
「はぁ……はぁ……」
 コノハがカリンの方を向くと、カリンはいつの間にか部分獣化していた自分のしっぽで遊んでいた。
「カリン、あれはないわー」
 テンリからも批判の声。
「めえはできそう」
 めえはやや肯定的。変身が自由にコントロールできる人にしかコノハがプレイしたものはできないだろう。
「うちもできるでー」
 カリンが挑戦的な態度を取って来る。カリンは半獣化ができるから言ってくるのであろう。コノハはフルトランスしかできないので、動物姿で踊るのは難しいと思われる。
「もー、普通のやりたかったー」
 コノハが口を尖らせるが、カリンは反省した風な感じはなかった。
「ちょっとトイレ」
 コノハは気分を変えるために、トイレに行くことにした。