「カリン。馬鹿な冗談はええから、鍵を開けぇ!」
「うち、前から思っててんけど、コノハって美味しそう……」
「はぁ?」
「食べ……ちゃい……たくな……るわー……」
「カリン、正気か?」
「うちはいつでも正気やないでー」
「否定するんかっ!」
 カリンはそう言って、コノハの腕を掴んで押し倒した。
「ちょっ、ちょっと、カリン」
 カリンに倒された場所は幸いにもマットがあったが、カリンの腕の力がだんだん強くなってくる。暗くてヒトの気配だけしかわからない。コノハはポケットからケータイを取り出してライトを光らせ、カリンに向けた。
「ゲッ……」
 すると、カリンは獣化し始めていた。腕は茶色い毛がもさもさと生え、爪が鋭くなっている。耳が著しく長くなり、鼻先が突き出てマズルが伸びていた。
「ホワイトライガーやない……」
 カリンがTFするのなら、この前、取り込んだホワイトライガーだと思ったが全くの予想外。カリンはイヌ科の姿に変化していっている。きっと近所のイヌとかをまた取り込んだに違いない。カリンのカオス体は非常に厄介だ。