おっす! 僕は更李万次郎(さらり まんじろう)。サラリーマン五年目になる男です。自分で言うのも何だけど、人一番真面目で正義感が強い。困った人がいたら放っておけない質です。今は仕事帰りで人通りのない裏道を通っています。昼間の雨は止んで夜は満月。満月の夜は犯罪が起きやすいというのを聞いたことがあります。僕の周りでそんなことは起こさないぞと思い、目に付く人々を見守ってきましたがここまでは問題ないようでした。しかし、裏道の公園にさしかかった時、女の子が苦しんでいるのが見えたのです。その苦しみようは尋常じゃありませんでした。すごい量の汗を掻いていて、俯いていたので、僕は迷わず声を掛けました。
「だ、大丈夫ですか?」
「〝え?〟」
 意外にもその女の子は僕を見て驚いた顔をしました。
「ダメ……はぁはぁ……来ないで……」
 女の子はそう言って僕から遠ざかろうとします。
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。救急車呼びましょう……!!?」
 尋常じゃない女の子の苦しみ具合に、僕はケータイで救急車を呼ぼうとして……恐ろしいものを目にしてしまいました……