【書評】「次に来るメディアは何か」 | PR革命 -PR業界から離れたオトコのアタマの中-

【書評】「次に来るメディアは何か」


最近、自分の中で“メディア論”がアツい。

やっぱり、僕らの仕事はメディアを介すことが重要。

となると、そもそものベースとなるメディア自体がどうなるか
真剣に考えないと、時代の波に乗り遅れる。

というわけで、

「次に来るメディアは何か」(ちくま新書)


を読みました。



最近、「アタマにスッと入る」系の本が多かっただけに、
ちょっと読むのに手間取った。。

読書力が落ちてるってことか? なんて懸念を抱きつつ、読了。


全体的には、アメリカのメディアコングロマリットや新聞危機
みたいなところから、日本メディアの今後を推測していく、という流れ。

PRに関わるような人であれば、前半部分もきっちりと読み込んだ方が
いいかも。普通に勉強になる。


著者が新聞出身の方なので、視点は新聞中心。
そこにテレビが加わってる感じかな。

簡潔に、「新聞・テレビの危機と今後」、っていうタイトルの方が
しっくりくる。



みんながこの本を読んだうえで勉強会に参加したら
もっと活発化したかも。

そう考えると、勉強会の前に、お題となる本を設定して読んでおく
っていうのは大事なプロセスだな。うん。



脱線・・・。



この本は、後半3分の1が本質。

大筋の意見にはagreeできる。


やっぱり、新聞はこのままの形で生き残ることはない。

そして、テレビも総地デジ化で大きく揺らぐ。コンテンツ勝負の時代になる。
誰でもアクセスできる環境。コンテンツさえよければ、戦える。
コンテンツの大元を握ったところが勝つ。

webは、一メディアではなくなる。
webは、情報のプラットフォーム。テレビ・新聞・雑誌・ラジオと同じ土俵で比べるものではない。



そんな自分の見解を再確認できるような内容でした。

もしかしたら、前半がややしんどいかもしれないけど、知見は貯まります。
PR業界の人に読んでもらいたい。


あと、アメリカのパブリックジャーナリズムに関しての記載があったのが
個人的に嬉しかった。ブログメディア立ち上げの参考になった。




以下、本文の気になったところをメモ書き。

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・今日、新聞界が直面しているのは、経済史の上では何度も経験してきた創造的破壊の
 一つに際会しているにすぎない

・新聞人の過ちの一つは、「newsとpaperは不可分」という固定観念から抜け出すまでに、
 あまりに多くの時間がかかってしまったこと。

・「ニュースを発掘して確証をとり、編集し、送り出す」という作業と、
 「原料紙を買ってきて印刷し、配送して読者に送り届ける」という仕事は全く別。

・個々の番組視聴率は否応なく下がっていくことになる。多チャンネル化が、既存局にとって
 不利に働くことは避けられない。

・日本のメディア企業が、メディアコングロマリット形成に進むとしたら、アメリカの
 先例から学ぶこと
 ①子会社間で共通する管理部門の一元化など、非情なまでの合理化
  事業目的に合わせて柔軟に「液状化」させる企業統治
 ②一つのコンテンツをシームレスに拡大再生産させてゆく「ワンコンテンツ、マルチユース」
 
・テレビと新聞、通信社が一体となってコンテンツ機能を融合させ、ソフト専門会社を
 作ってもいい

・メディアはどう再編されるか(P.215~220) ※横着しました(笑)

・再編成が進む過程で、現在の新聞企業は限りなくペーパーレス化せざるを得ない。
 どうしても紙で読みたい読者には、電子端末からプリントアウトしてもらうようになる。
 その結果、新聞社に残される機能は、現在の通信社と極めて似たものになる。

・制作プロダクション、芸能プロといった下請け部分がテレビ局との上下構造を抜け出し、
 「コンテンツを作り、プログラミングして売る」メディア企業に発展する。
 そのコンテンツが日本中、世界中のテレビ局でオンエアされる。

・「新聞に代わるジャーナリズム」が力を付けて社会的に機能するまでには、
 未だ多少の時間がかかる

・「印刷企業体・新聞社」が単独で生き残ることは不可能

・放送と通信の融合が進んでいく社会にあって、日本にも欧米型のメディアコングロマリット
 が形成される日が近いのではないか。
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