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ブータンよりクズザンポー

「クズザンポー」は、ブータンの国語であるゾンカ語で、「こんにちは」の意味です。ブータンでの暮らしの中で日々感じたことを、ありのままに綴っていきたいと思います。

ターキン

ブータンの国獣、『ターキン』。

聖人、ドゥクパ・キンレイにより創造され、


上半身は山羊、下半身は牛から成る、


神聖な生き物とされています。


本来は、標高4000m以上にしか生息しないのですが、


ティンプー市内モティタン地区にある「ターキン動物園」では、誰でも手軽に観察することができます。


第4代国王の時代、王様が、ターキンはじめ、様々な野生動物を、


保護の目的のもと(?)ティンプーに連れてきて、市内を放し飼いにしていたが、


人家のゴミをあらしたりと、手に負えなくなったため、現在のように動物園内で管理することになった・・・


と、今日ブータン人ガイドが説明していました。


ホントかな!?(笑)


いずれにせよ、なんとも言えないフォルムをしたこのターキン。


なかなか憎めないキャラです。


いかにもブータンの国獣らしく、ゆっくり、のっそりと動きます。


意外と、ターキンがツボにはまる外国人のお客様も多いんですよ(笑)

石焼風呂

ブータンでのおススメ体験のひとつが、

石焼風呂 (Hot Stone Bath)

1日中かけて、たき火の中で熱した石で、お湯を温めるお風呂です。

石からでるミネラルや、お湯に直接入れるヨモギなどが、身体に良いそうです。

ブータンの普通の生活では、お湯はとても貴重なため、

特別な時だけ、石焼風呂や天然温泉に入ります。

でも、観光客向けには、写真のように優雅なHot Stone Bathの設備も設けられています。

こちらは、ロイヤルファミリー、第4代国王の第一夫人が経営する、

テルマリンカ リゾート&スパの石焼風呂。

とってもおしゃれで、ゆったりとしていて、川のせせらぎを聴きながら、お風呂を楽しむことができます。

こちらのホテルはティンプー郊外にあり、

町の中心部からは車で10分ほどですが、とっても静かな環境です。

収益金の一部は、同じく第4代国王の第一夫人が設立した、

障害者支援NGO、タラヤナ財団に寄付されています。

観光関連施設も、まだまだ開発途上のブータンですが、

なかなか素敵なホテル、増えてきているんです。

仕事柄、視察で訪れることも多いので、

このブログでも、随時ご紹介していこうと思います。

秋桜

日本は、台風の影響で悪天候のようですね。

皆さん、どうか無理してお出かけにならないよう、お気を付け下さい。

ブータンも、2週間ほど前は、サイクロンの影響で、

ちょうど収穫の時期だった田んぼが、被害を受けてしまいました。

ここ最近は、幸い晴天の日が続いています。

こんな、秋桜と田んぼの風景、

ティンプーの、タシチョ・ゾン近くで撮ったのですが、

これだけだと、まるで日本の田舎の風景のようですよね。



今日は、日本人の方々と、ブータンの素朴な伝統料理を楽しみました。

手前から、

赤米、そば粉クレープ、鶏肉煮、

ゼンマイ煮、きゅうりとレタスの山椒サラダ、

唐辛子のチーズ煮、じゃがいも、豚肉の脂身。

どれも、季節の野菜を使った、典型的な、素朴なブータン料理。

綺麗な木の器に盛られると、より美味しく見えますね。

ごちそうさまでした

ちなみに、日本でブータン料理を食べたい!と思ったら、

代々木上原の『ガテモタブン』へお越しください。

http://www.gatemotabum.com/

シェフこだわりの、本格的なブータン料理が体験できます。



オフィス近くのRAPA Hall (王立民族舞踊団の事務所)から、

タシチョ・ゾンの入口まで、

この写真に表現できている長さの、おそらく5倍近い人々の列が、

17日から昨日まで、絶えることなく続いていました。

というのも、インドのブッダガヤの大仏胎内に納められる予定の、

数々の宝物が、約2年間の世界巡礼を経て、

とうとうブータンにも廻ってきたため、

宝物を一目見て、その祝福を受けようと、

人々が殺到したのです。

宝物の内容は、これまでに存在した偉大な高僧たちの

身体の一部(毛髪など)や、衣服の一部。

それらが、綺麗な装飾を施した容器に入れられ、展示されました。


行列沿いには、果物や飲み物、お菓子などの売り子さんたちも集まる次第で、

ちょっとしたお祭騒ぎ。

昨日で、ティンプーでの展示は無事に終了し、

これから、タシガン、トンサと、ブータン東部、中央部を廻ります。


詳細は、こちらのクエンセル記事(英語)をご覧ください。




ティンプーの夜を過ごす、穴場スポット。

街東部の山肌に建つ、

「ジャンベヤン・リゾート」 または 「リバービュー・ホテル」 からは、

あっと驚くほど美しい夜景を眺めることができます。

この写真は、2週間ほど前に、ジャンベヤン・リゾートのレストランにあるテラスから撮影しました。

ティンプーは、東西を山に囲まれた谷あいの街なので、

ちょっと山沿いに車を走らせるだけで、こんな素敵なビューポイントに到達します。

空気の澄んだ秋~冬は、夜景もまた一段と綺麗です。

小さな首都、ティンプーが、宝石箱のように、キラキラと輝いています。



昨日、土曜の夜は、

ブータン人の若い友達カップルと一緒に、

ブータン映画を観てきました。

ゾンカ語、字幕なしのため、

両サイドから必死に同時通訳してくれた、友達に感謝。

『My Teacher My World』というこの映画、

主演のヒロインは、2008年の”ミス・ブータン”にも選ばれた、

Tsokye Tsomo Karchungさん。

美しい容姿と演技力、親しみやすさから、

幅広く支持を得ている女優さんです。

ストーリーはというと、

できちゃった婚、旦那の浮気・暴力、義母からのいじめ、

都市部と農村部の価値観の違い、障害者への偏見・・・

等々、現実のブータンさながらの(!?)、様々な困難に見まわれ、

これでもかというくらい悲惨な目に合う主人公の女性が、

それでも自分の人生を受け入れ、良心を持ち続け、

最後には、本当に愛する人と来世での幸せを願いつつ、この世を去る・・・

という、ブータン映画らしい内容。

個人的な感想としては、

ヒドイ旦那さんや義母、その他の悪役たちの、

あまりの意地悪さにやりきれない気持ちになりつつ、

天国のように美しいブムタン地方(おそらく松茸の産地、ウラ村)のロケ地で、

民族衣装をまとって舞う主人公たちの美しさに、見入らずにはいられませんでした。

また、障害者への理解を深めるための啓蒙的な要素も含まれていたのが、とても良かったです。

映画館の客席も、8割程度埋まっており、上々の様子。

携帯電話を持った若いお坊さんがたくさん観に来ていたのも、印象的でした。

ブータン映画は、若者の間で乱れ、また失われつつある、

国語の『ゾンカ語』保護の目的もあり、

制作・上映されています。

美男美女の役者さんたちが、美しい民族衣装をまとい、

美しいブータンの大自然を背景に歌い・踊るシーンが必ず含まれているのも、

自国の伝統と自然を保護するための政策の一環と言えます。

が、内容は決して固いものではなく、むしろかなり激しいヒューマンドラマが繰り広げられ、

コメディ的要素も多く含まれています。

なので、若者一般には広く受け入れられています。

日本でも最近は、時代の流れに合ったドラマが大きく話題になっているようですね。

自分がいま生きるナマの社会が、スクリーンに客観的に映し出され、

だからこそ多くの人が主人公に共感し、彼らと共に物語を疑似体験することができる。

ブータンに1年半住んだ日本人の私は、

映画の中の世界に完全に入りこ入り込む時間が半分。

観客を含め、映画館という空間すべてを客観視している時間が半分。

色んな意味で、なかなか面白い体験ができました。

現在、ブータンには5カ所強の映画館があります。

今回行ったのは、最も新しい、モダンな映画館でしたが、

今後、チャンスがあれば、別の映画館にも行って、見比べてみようかな、と思います。


※追記:ゾンカ開発委員会(Dzongkha Development Center)による
映画制作支援プログラムは、現在はすでに終了しているそうです。

秋のタシチョ・ゾン

大変ご無沙汰してしまいました。

まだ、ちゃんとブータンに住んで、働いております。

昨年の7月以降、スタートダッシュしすぎて、すぐに力尽きてしまいました(笑)

その後、契約を1年延長し、来年2014年5月頭までは、ブータンで働く予定です。

そろそろ、ブータン生活も残り200日。

このまま日々何となく過ぎて行ってしまったら、絶対にもったいない・・・。

と、一念発起して、このタイミングで、ブログを再開することにしました。

以前とはスタイルを変えて、

「1日1枚」

その日撮った新鮮な写真だったり、過去に撮った写真だったり、

アップしていこうと思います。

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この写真は、今日、ついさっき撮れたての1枚です。

急速な建設ラッシュの首都ティンプー。

田畑がどんどん潰され、住居などが建てられる中、

この、タシチョ・ゾン周辺の一角だけは、

景観保護のため、田んぼが残されているそうです。

つい数十年前のティンプーは、

この季節、

街中こんな黄金色に輝いていたのかなぁ・・・と思いをはせるのでした。


ではでは、今日はこれから友達と、

映画館にブータン映画を観に行ってきます!

こんにちは!
前回に引き続き、7月9、10日に開催された「ハ・サマーフェスティバル」の様子をお伝えしたいと思います。

地域活性化のために政府観光局が昨年より始めたこの催し物。
今年は連日素晴らしい晴天に恵まれ、合計で90名以上の観光客が訪れ、約60名の地元住民が祭に携わりました。
カラっとした暑さで、おそらく気温は30度近くあったのではないかと思われます。

 

ハの街はリスム・ギュムという神聖な三連山に囲まれており、
それぞれの山は、金剛手菩薩、観音菩薩、文殊菩薩を表しているとされています。
フェスティバルは、そんな山々に囲まれた、街の入口にある学校の校庭で催されました。

 

主に地元から集まった踊り子たちが、生演奏に合わせて伝統的なダンスを次々と披露していきます。

  
左から、マスクダンス、ハの伝統的なダンス、ブータンの国旗を掲げる青年。


ブータン北西部、ガサ県の遊牧民、ラヤッパによるダンス。
このダンスは「アム・ジョモ」という地元で信仰される神を讃えて踊られるもので、
パワーと協調性、幸福の象徴とされています。

 
こちらは「ジャ」と呼ばれるラヤッパの住居を紹介するコーナー。
油分を多く含み、水にも強く丈夫なヤクの毛皮で作られています。
一部の遊牧民の方々は、現在でもこのような住居で暮らしていらっしゃいます。

 
地元の方々による、工芸品や食べ物を売る露店、高山植物を紹介する露店などが並びます。
右は、ハの名産物、ヒュンテと呼ばれる餃子。乾燥したカブの葉やエゴマの実が入っています。

    
食事用の器や地酒のアラを入れる容器等も販売されていました。
子どもたちは、「写真を撮って!」とおねだり。

 
まさに「夏祭り」にふさわしい晴天。ブータンでも縁起の良いとされる、
太陽の周りに光の輪ができる"日暈(ひがさ)"という現象を見ることもできました。

 
学校には美しい花々が植えられており、疲れたら木陰でほっと一息。

 
「クル」と呼ばれるブータン式ダーツを楽しむ、メキシコからのお客様ご一行。
的までの距離は約15m、的の大きさは約30cm。とても難しいです・・・。
私が観た限りでは、ブータン人の方を含め、的を射た方は一人もいらっしゃいませんでした・・・。笑

 
この日は、バイクレースも開催されました。チュゾムから、標高3988mのチェレ・ラ峠を越えて、ハまで、
約84kmを、56名のレーサーたちが駆け抜けました。
左は、3時間7分で見事1位を勝ち取ったソナムさんです。右の子どもたちも、見事レースを走りきしました。

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こうして、ハ・サマーフェスティバルはブータンらしくのんびりと行われ、
無事に終了しました。今年は諸事情により月・火の開催となってしまい、
また同時期にジェー・ケンポによる祈祷がハにて執り行われたため、地元のお客さんが
少なかったことがやや残念でしたが、この教訓を踏まえ、
来年は観光客、地元客、出展者含め、必ずやより賑わいを見せてくれることと信じています。

帰り道は、またチェレ・ラ峠を越え、同僚の運転する車で約3時間かけ、ティンプーまで戻りました。

 
チェレ・ラを越え、パロを通り過ぎた時、晴れ渡る空に何とも美しい二重の虹がかかりました・・・。

旅の目的地はもちろん、道中のドライブでも、このように息をのむような美しい景色に出会えるのが、
ブータン旅行の大きな魅力のひとつであるということに、改めて気付かされた2日間でした。


ブログを読んでくださっている皆様・・・
前回6月18日の投稿から約1か月間、更新が滞ってしまいまして、
本当に申し訳ありません!

”平和でのどかな週末”以降、本当に本当に、のどかな日々が続いておりまして・・・
ブータンの時間の流れに身を任せていたら、あっという間に1か月が経ってしまいました・・・。
というのは言い訳ですが(焦)
とにかく、更新を待っていて下さった皆様、本当にごめんなさい・・・。

もうすぐ、ブータンで暮らし始めてから2か月になりますが、
これまでの「東京時間」から、今の「ブータン時間」に、心身共に順応させていくなかで、
この1か月は、自分の立ち位置を探っているような、そんな期間だったように思います・・・。

例えば、東京の会社で働いていた時は、
当然ながら出社時間・退社時間がきちんと定められていて、
出勤状況等がタイムカードですべて管理されていました。
誰がいつどんなミーティングに出ているのか、どこに外出しているのか、
だいたいの人が把握をしていました。

しかしブータンでは、9時~17時の定時はあるものの、
例えば8時50分にでも出社しようものならオフィスは閉まっており、
9時ちょうどでも出勤しているのは1~2人、9時半をすぎると、
なんとなくみんな出勤している様子なのですが、誰がどこで何をしているのかは、
さっぱりわからない、といった状態です。

でも、かといって仕事していないのかというと、そういう訳ではなく、
皆さんやるときはちゃんとやる。でもやりすぎない。ブータン式の「力のかけ方」というものが、
ちゃんとあるような気がしています。もちろん、人によって差異もありますが、
それでもちゃんと物事は進んでいて、それでいてストレスが無い。

それから日本と最も異なる点は、常に自発的な行動が求められるということ。
でも、助けを求めれば、周囲のみなさんはかなり親切に、自分の時間を割いてでも助けてくれます。

すみません、なかなかうまく説明ができませんが、そんな中、
日本人として、日本の方々と常にやりとりをさせていただいている私としては、
「ブータン式」と「日本式」の仕事の進め方の間で、いかに中間点を取るか、
今はなかなか難しい局面に立たされています。

いずれにせよ、自分の精神を強く持ち、自分で自分を律していくことの重要性を、
改めて感じています。あと1か月ほどで、ちょうどいい塩梅を見つけられるのかな・・・
と、おぼろげに考えているので、とりあえずは日々模索しながら頑張ろうと思います

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さて、抽象的な前置きが長くなり申し訳ありません!
今回は、先週末の8日~9日にかけて、「ハ」という街で開催された、
政府観光局主催の「ハ・サマーフェスティバル」の様子について、ご紹介したいと思います。

「ハ」は首都ティンプーから車で約3時間の小さな街。
2001年に観光客に開かれたばかりで、昔のパロを思わせるような手つかずの街並みが残されています。
夏祭りは、地元の方々も巻き込んで地域を活性化するために、
政府観光局が2011年より始めた取り組みで、
今年は3日間の合計で90名以上の観光客が訪れ、約60名の地元住民が祭に携わりました。

というわけで、私も一応オフィシャルな立場で参加したのですが、
祭が開催される前日からハに入り、職場の同僚たちとキャンプをしたりと、
またまたとても平和でのどかな時間を過ごしましたので、とりあえず今回の記事では、
フェスティバル以外の<キャンプ編>をお届けしたいと思います。

  
まずこちらは、ティンプーからパロを抜け、峠に向かう途中の山道にて。
「聖なる水」と、たくさんの木苺。ブータン人の方と一緒にいただきました。
甘酸っぱくて美味しかったですが、食べ過ぎるとお腹を壊してしまうので注意が必要とのことです。

 
そして、標高約3800mのチェレ・ラ峠にてランチタイム。
同僚が持ってきてくれたお弁当を、素手で豪快にいただきました。
メニューはご飯とチキン、ケワ・ダツィ(トウガラシとジャガイモとチーズの煮込み料理)。
広がる青空のもと、風に揺れる経文旗の中でいただくランチは最高でした・・・。

 
そして、ハに到着。
神聖な三連山の谷あいに伝統様式の建物が綺麗に建ち並ぶ、小さくて美しい街です。
この日は偶然にも、大僧正であるジェ・ケンポが、人々に恵みを与える「プジャ」の儀式が行われており、
多くの周辺住民が着飾り、街に集まっていました。
そんなプジャの会場から、美しい虹を垣間見た時には、言葉にならない感動を覚えました…。

 
街を一通り散策したところで、街のふもとにあるキャンプ場に、テントを張りました。
ここは、駐留しているインド軍のヘリポートでもあり、また建設現場で働くネパール系移民の
住居がある場所でもありました。
フェスティバルに合わせ、ティンプーからここを訪れていた別のグループと一緒にキャンプサイトを作りました。

 
ネパール系の子どもたちが手伝ってくれます。周りには放し飼いの牛や馬たち。のどかです・・・。

 
ちなみに、ハではこのような立派な農家にホームステイをすることもできます。
こちらではお湯のシャワーもあり、快適です。

 
さて翌朝、テントをたたみ始めると、どこからともなく子どもたちが集まってきて、
みんな楽しそうに手伝ってくれました・・・!キャンプ素人の私は、写真撮影に徹するのみ・・・。

 
「子どもたちはみんな親切に手伝ってくれたから・・・」と、ブータン人の同僚は子どもたちに、
ポケットマネーでちゃんとお礼をしていました。
スペイン人の同僚が子どもたちの写真を撮ると、「見せて見せて!」と、皆が集まってきます。
あまりに微笑ましい風景に、思わず笑顔がこぼれます。

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そんなこんなで、またもや平和でのどかな週末となり、
キャンプをした翌朝、この日、ハ・サマーフェスティバルに向かったのでした。

フェスティバルの様子は、次の記事でご紹介いたします!