わたしのこえがきこえますか





Voice-1
“普通”の終わり




人ならば、誰でも持っているモノ


コンプレックス


それを憎むキモチは、世の中で一番醜い――と、思う

それが、あたしの場合…無駄に多いだけで


おかしなことではない――…たぶん


「はァ!?お前馬ッ鹿じゃねェの!?」
「アンタにそんな事、言われる筋合いはないわッ」

地球の日本の東京

あたしたちの家があるところ

「だからなァ…その答えが違うっての!」
「うるさい!」
「うるさくねェ!」
「うるさいわよ!!うるさいうるさい五月蝿いッッ」
「お前の方がうぜえッッ!」

放課後の、友達の家
今日は、皆で勉強会なのだ

――皆と言っても、四人だが

「ほらほら~二人とも、手が進んでないよぉ」
「まったくだ。付き合ってやってる僕らの身にもなれ」

このほんわ~とした娘は、三崎あやめ。(みさきあやめ)
あたしの親友。
学校では、学級委員を努めている。

そして、この憎たらしい黒髪が、桐生陸。(きりうりく)
あやめと同じ学級委員で……小言がうざいくせにモテる。
でも実は、あやめの彼氏なんだよね。

そして、さっきからあたしと大喧嘩してるコイツ。
コイツの名前は浅黄信。(あさぎしん)
両親の仲が良いらしく、何かと幼い頃から一緒に居る。
会えば喧嘩ばかりで…俗に言う、喧嘩友達ってヤツ。

あたしの名前は紺之華月。(こんのかつき)
喧嘩上等、成績最悪…ってのはともかく…とりあえず、元気が取り柄の活発っ娘!!

今日はあやめの家で、皆で勉強会しようって…提案したのはあたし。

…でも…

勉強が一番進んでないのもあたし…

…頭の良いあやめと陸が羨ましい…

こんな変な関係のあたしたちだけど、実は幼稚園の頃から付き合っている。

まぁ、“友情”とか“絆”とかは堅い!!……はず。


でも


仲が良いからこそ気になってしまう


それがあたしのコンプレックス


あたしは皆みたいな…良いとこは、カケラもないし。

なんてったって馬鹿だし…


一緒に居るのは楽しい。


ケド……



たまに、あたしは本当にここに居ていいのか



解らなくなる


「…っ…」
「?あやめ?」

あやめが急に、頭を抑えた

「どしたの?」
「あ、…うん、大丈夫。ただ、ちょっと耳鳴りがね…」
「耳鳴り?」

「うん…なんかね
“わたしのこえが”…」


“きこえますか”


「「「「!!?」」」」


はっきりと、頭に響いた
優しそうな、女の人のこえ

「今の…」
「っまだ…まだ、聞こえるよ…!!」

心配した陸が、あやめの背に手をそえる



――その、瞬間




パンッ




「――は?」


視界が、ホワイトアウトした


それで、まぶしくなって――



あたしたちは、意識を手放した――



まるで夢のように




“普通”を




“日常”を




なくしてしまったのだ―――




それを知るのは、少し後の話―――





NEXT



――――――――


後書き

という訳で一話。
いかがでしたでしょうか…?
“コンプレックス”から始まるお話です…。


うっわ暗ッッ!!!!


作者がそう思っちゃ終わりっすね!!
ダメじゃんっ!!

あー…華月を書くのは楽しいですね♪
絵を描くのはあやめと陸が楽しいんですよ☆彡
信、ごめん!!!!
君は描くのも書くのも難しい!!!!

あははは…
頑張って続きも書きます…
それでは、ここまで読んで下さった貴方様に、最大の感謝を…


碧野いろは