南米大陸を舞台にした男二人の友情と当時の南米の現状を描いたロードムービー「モーターサイクル・ダイアリーズ」。何の予備知識も無く、少し前に話題になったなぁなんて思って見てみたら、なかなか良い。
何も知らずに見ていくと、南米左派のプロパガンダ映画かなとも思えてしまう。反アメリカと南米ラテン民族の結束、アイデンティティを取り戻すことを訴えるような内容に、主人公が旅を通して南米の革命に傾倒していく様を描いている。
作品の最後で主人公がキューバの革命を成功させたチェ=ゲバラであり、この旅行の後革命家になったという記述が出てくる。なんと、チェ=ゲバラの話だったのか。わぁお、本当の本当にプロパガンダだったよ。
ゲバラといえば、かのジョン=レノンが「世界一かっこいい」とその生き様を称え、なぜかうちの親父が昔彼のポスターを部屋に貼っていたという経歴を持つ人物である(浦和レッズの応援団の旗にもデザインとして彼の似顔絵が採用されている)。
後から調べたところによると、実際にゲバラはこの旅行の日記を残しており、それを元に作品に仕上げられている。しかし、モーターサイクルと銘打ってあり、作品の中でもオートバイを駆っているが、実際はモペッドと呼ばれるペダルで走行することも可能なペダルつき原動機つき自転車であったそうな。もしかしたら作品に仕上げるために原作である日記よりもドラマチックに作られているかもしれない。
監督は「セントラルステーション」のウォルター=サレス。製作にロバート=レッドフォードが携わっているというので、少し驚いた。男二人でバイクに乗り、旅行を続けるという内容であったので、ゲイを題材にした作品なのかと思っていたらどうやら違ったらしい。百聞は一見にしかずである。いろいろと考えさせてくれる一本。
ちぇけら