今朝の朝日新聞の識者による、稲田発言に対するコメントは、

「北朝鮮や中国は『党の軍隊』だが、まるでそれと同じような感覚で、党派的な利用と言える」とあった

稲田大臣が、自衛隊を自民党の軍隊として利用しているという趣旨のようだが、かなり飛躍がある

稲田大臣が自衛隊を自民党の為に使ったり、使おうとしている訳でもなく、何故、議論がこんなに飛躍するのか

まして、北朝鮮や中国のように、民主主義がなく、選挙もなく、言論の自由もない国の、「党」の軍隊と、我が国の自衛隊を同列に喩え、稲田氏を非難することに違和感を禁じ得ない

自衛隊員は、二次大戦の経緯もあり、政治的中立については、十分教育されている

余り、自衛隊を巻き込んで非難したりされるのは、自衛隊にとって迷惑であろう

また、自衛隊を憲法改正のための材料にしているというような批判もなされていたが、現状において、憲法改正の議論が提起されるのは必要なことである

中国の弾道ミサイル増強により戦略環境はパラダイムシフトしている

憲法のパラダイムシフトが必要な状況にある

それにも拘わらず、立憲主義をかざし、現実を踏まえた議論を妨げることは、戦前、東条首相が日米国力差の議論を精神主義を以て封殺したことに変わらない

神話は自らを守るためにはバーフォーマンスを揚げ、その「絶対性」を発露させる

戦前の「鬼畜米英」の叫びと、「党の軍隊」という非難は、何か似たものを感ずる

いずれにせよ、自衛隊は党の軍隊になる訳もないが、むしろ、今、自衛隊に必要な、政治からの働きかけは、本来必要であるシビリアン・コントロールを機能させることである

シビリアン・コントロールは有事の軍の行動の統制のみならず、平時からの、的確な安全保障政策の策定が重要であることは論を待たない

今必要な議論は、戦略環境のパラダイムシフトを踏まえた、安全保障の在りかた、憲法のパラダイムシフトの必要性についての議論である

我々は無意識の内に東条英機になってしまっていることを踏まえ、過去の失敗の教訓を思い起こし、現実を見つめ、神話を脱し、戦略策定の為の議論に乗り出す必要がある

さもなくば、平和神話の行く末は、常勝神話、原発の安全神話に続く、三回目の、想定外、失敗になる