北野勇作『どろんころんど』が星雲賞の候補になったという情報が流れてきた。
いかにも北野勇作らしい人間の出てこないSFなのでぜひ受賞してもらいたい。

どろんころんど (ボクラノSFシリーズ)/北野勇作

¥1,785

しかし、この本はてっきり早川か東京創元社から出ていると思っていたら、実は福音館書店の〈ボクラノSF〉というシリーズの一冊なのだった。大人になって自分で福音館の本を買ったのは初めてだと思う。
出版社のサイトには「中学生から」と書いてあって、確かにこの本は福音館のメイン・ユーザーには無理だと思う。
絵本・児童書でトップブランドの福音館でも、もっと上の年齢向けの本を開拓しなければならない状況ということなのか。

児童書と言えば、佐野洋子が西原理恵子・リリー・フランキーとそれぞれ対談しているこの本も、読者葉書の宛先によれば講談社の「児童図書出版部」が編集しているらしい。

佐野洋子対談集 人生のきほん/佐野 洋子

¥1,470

おそらく佐野洋子を担当していた編集者が「児童図書出版部」に所属しているのでそういうことになるのだろうが、この本を読む児童(小学生)はいない。たぶん。
この本は親子の関係のホンネを語っているので、実はよい子のみんなにこそ読んでほしいのだが、残念ながらそうはなっていないのだろう。残念なり。

あと、最近読者の年齢との関連で、へーと思ったのは、メディアワークス文庫が電撃文庫と同じ、電撃大賞で小説を募集しているという点だ。
電撃文庫の読者が〈ライトノベル〉を「卒業」した後に読むレーベルとして設定されているメディアワークス文庫なのだが、投稿については同じ窓口になっている。
これは、逆に電撃大賞に投稿してきたけれども、中高生向けの〈ライトノベル〉としてはカテエラを起こしているものが多かったということかもしれない。それらの受け皿としてのメディアワークス文庫、というのはけっこう納得の行く経緯である。
ここでも、より上の年齢層の読者を開拓しようという動きが見られるのであった。
この動き自体は既にポプラ社のポプラ文庫が先行しているのだが、今後はどういう出版社が読者の新規開拓を目指すのだろうか?

メイド・ロード・リロード (メディアワークス文庫)/北野 勇作

¥620

Twitterによると北野勇作の次回作は上のに続いてメディアワークス文庫からの発売で、タイトルは「かめ刑事K」だそうな……