2016年に入って、70年代80年代から活躍してきたアーティストが
天に召されるというニュースがたて続いていると、
前回のグレン・フライの記事のときにも書きましたが、

その記事の後からも、本当に今年はどうしたことかと
ジェファーソン・エアプレインのポール・カントナー、
アース・ウィンド&ファイアーのモーリス・ホワイトと
相次ぐ訃報に、ただただ呆然としております。

ブログでもこういったアーティストの曲の思い出、
そしてまだ紹介できていない来日コンサートライブ報告など、
あまりゆっくりしている暇はないはずなのですが、
なかなか記事のほうが遅々として進まず、もどかしい思いでいます。

そんな中、今年もグラミー賞授賞式が、日本時間で明日の午前からに
迫ってきています。

ぎりぎりになってしまったのですが、昨年のグラミー賞の受賞結果のおさらいと、
今年のグラミー賞を予想する上での参考として、
2015年のBillboard Hot100年間チャートを紹介し、
今年のグラミー賞主要4部門ノミネーションと受賞予想をしたいと思います。


まずは、昨年2015年第57回グラミー賞の主要4部門について、
昨年の予想記事(⇒こちらをご参照ください)に基づいて、受賞結果を紹介します。

(◎:本命、○:対抗、▲:穴)

☆最優秀レコード賞(Record Of The Year)
WIN!◎・サム・スミス「ステイ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい」
     Sam Smith "Stay With Me"


 ・イギー・アゼリア「ファンシー feat. チャーリーXCX」
 Iggy Azalea featuring Charli XCX "Fancy"
▲・シーア「シャンデリア」
 Sia "Chandelier"
 ・テイラー・スウィフト「シェイク・イット・オフ~気にしてなんかいられないっ!!」
 Taylor Swift "Shake It Off"
○・メーガン・トレイナー「オール・アバウト・ザット・ベース~私のぽちゃティブ宣言!」
 Meghan Trainor "All About That Base"


☆最優秀アルバム賞(Album Of The Year)
WIN! ・ベック「モーニング・フェイズ」
     Beck "Morning Phase"


 ・ビヨンセ「ビヨンセ」
 Daft Punk "Random Access Memories"
▲・エド・シーラン「×(マルティプライ)」
 Ed Sheelan "X"
○・サム・スミス「イン・ザ・ロンリー・アワー」
 Sam Smith "In The Lonely Hour"
◎・ファレル・ウィリアムス「ガール(G.I.R.L.)」
 Pharrell Williams "G.I.R.L."




☆最優秀楽曲賞(Song Of The Year)
WIN!◎・サム・スミス「ステイ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい」
     Sam Smith "Stay With Me"


 ・メーガン・トレイナー「オール・アバウト・ザット・ベース~私のぽちゃティブ宣言!」
 Meghan Trainor "All About That Base"
▲・シーア「シャンデリア」
 Sia "Chandelier"
 ・テイラー・スウィフト「シェイク・イット・オフ~気にしてなんかいられないっ!!」
 Taylor Swift "Shake It Off"
○・ホージア「テイク・ミー・トゥ・チャーチ」
 Hozier "Take Me To Church"


☆最優秀新人賞(Best New Artist)
WIN!◎・サム・スミス (Sam Smith)


○・イギー・アゼリア (Iggy Azalea)
▲・バスティル (Bastille)
 ・ブランディ・クラーク (Brandy Clark)
 ・ハイム (Haim)



昨年はイギリスから登場したニュースター、サム・スミスが、
主要4部門全てにノミネートされたことで大きな注目を集め、
そのうち、最優秀アルバム賞以外の3部門と、
最優秀ポップボーカルアルバムの計4部門を受賞し、
授賞式でも素敵な人柄とともに彼の魅力が大きくフィーチャーされていました。

上記、昨年のブログでの予想でも、
サム・スミスが最優秀アルバム以外の3部門で本命印をつけていて、
その意味では見事に的中という形になりました。

グラミー賞のライブステージでは、受賞曲である、
『ステイ・ウィズ・ミー(Stay With Me)』を
アルバムのボーナストラックとして収録されていた
メアリー・J・ブライジとのデュエットですばらしいパフォーマンスでした(上記動画)

残る最優秀アルバム部門では、
印をつけていなかった、ベックの『モーニング・フェイズ(Morning Phase)』が受賞。
実はこのアルバム部門が一番予想が難しく、
どのアルバムが受賞してもおかしくない予想だったのですが、

ベックはこれまでのとがった感じのイメージが、
この最新アルバムですごく落ち着いたやわらかいイメージに変わったこともあって、
印をつけもらしてしまったのですが、
昨年のグラミー賞のライブステージで、
コールドプレイのクリス・マーティンと共演し、
すばらしいパフォーマンスを繰り広げました。

ちなみにこの最優秀アルバム賞のプレゼンターとして登場したプリンス殿下が、
「皆さんアルバムって覚えてますか?・・・アルバムって大事なものなんです。」
とボソボソっと、でもインパクトの強い(最近のダウンロード単曲中心の聴き方への)
一言を添えてからの受賞者発表になったのが話題になりましたね。

そんなプリンスも、2014年に2枚のアルバムを同時リリースし、
さらに昨年2015年も2枚のアルバムをリリースと、
相変わらずの殿下の創作意欲ぶりにただ感心させられるばかりです。


さて、第58回グラミー賞は、昨年同様ロサンゼルスのステープルセンターで、
現地2月15日午後(日本時間2月16日午前)に開催されます。

予想に先立って、こちらも例年通り、
昨年2015年のBillboard Hot100年間チャートを動画で紹介します。



2015年は年間で全米No.1を獲得した曲がたった9曲。
しかも7月までで10週以上のNo.1を獲得した2曲が年間の1位と3位。
そしてその期間も含め全米No.1にはならなかったものの、
ほぼ1年間チャートインし続けた曲が年間2位となり、
この3曲が、この後紹介するグラミー賞にも大いに関連してくると思われるので、
ここで紹介しておきます。


◎年間第3位 ウィズ・カリファ『シー・ユー・アゲイン feat. チャーリー・プース』



☆Wiz Khalifa featuring Charlie Puth "See You Again"
from the soundtrack album "Furious 7"
2015年Billboard Hot100 最高位1位(4/25~5/30,6/13~7/18付の計12週間)

日本でも大ヒットを記録したカーアクション映画シリーズ、
『ワイルド・スピード(Fast & Furious)』の第7作、
『ワイルド・スピード・スカイミッション(Furious 7)』の劇中で使用されたナンバー。
この映画の主要キャラクターであるブライアン・オコナー役のポール・ウォーカーが
この作品のクランクアップ前に自動車事故で急死したことから、
映画のラストで彼の映像とともにこの曲が流れ、感動を呼んで大ヒットとなりました。
アメリカのラッパー、ウィズ・カリファにとっては2011年のメジャーデビュー時の
『ブラック&イエロー(Black & Yellow)』以来2曲目の全米No.1となりましたが、
なんといってもこの曲でフィーチャーされているイギリス人ボーカリスト、
チャーリー・プースのせつない歌声によるところが大きいですね。
2015年にデビューしたチャーリーは先日、初のソロアルバムもリリースし、
日本でも人気急上昇中の期待のボーカリストです。


◎年間第2位 エド・シーラン『シンキング・アウト・ラウド』



☆Ed Sheelan "Thinking Out Loud" from the album "x(multiply)"
 2015年Billboard Hot100 最高位2位

2014年リリースのセカンドアルバム、『x(マルティプライ)』からのシングル。
ファーストシングルの『シング(Sing)』がファレル・ウィリアムスのプロデュースで、
ファンキーなナンバーであったのに対し、
彼らしい言葉を聴かせる優しくも力強いアコースティックバラード。
全米No.1にはならなかったにもかかわらず、1年通しての上位ランクインで、
年間2位の快挙となりました。

今回のグラミー賞でもノミネートアーティストとしてだけでなく、
プレゼンターとしても登場の予定です。


◎年間第1位 マーク・ロンソン『アップタウン・ファンク feat. ブルーノ・マーズ』



☆Mark Ronson featuring Bruno Mars "Uptown Funk"
 from the album "Uptown Special"
 2015年Billboard Hot100 最高位1位(1/17~4/18付の14週間)


昨年の洋楽といえば、何と言ってもファンキーなこの曲だったと思います。
エイミー・ワインハウスやデュラン・デュランなどのプロデューサーとしても知られる
人気DJマーク・ロンソンの自分名義でのニューアルバム、
『アップタウン・スペシャル(Uptown Special)』からの先行トラックで、
こちらも人気シンガーのブルーノ・マーズのファンキーなボーカルとともに、
80'sファンクのダイナミックさとポップさでぐいぐいとのらせてくれる
本当にかっこいいナンバーでした。
年初めから約4か月間、14週間のNo.1で、ほぼ1年間のチャートインでもあって、
ダントツの年間No.1だったと思います。

昨年3月にアルバムの日本盤リリース時に、
マーク・ロンソンが代官山のクラブで一夜限りのDJプレイをしたことでも
話題になりました。


今回のグラミー賞ではこれらの曲とともに、
年間チャートで常連のテイラー・スウィフトや、
昨年話題になったR&Bボーカリストのザ・ウィークエンドなどが
多くノミネートを記録する中、
人気ラッパー、ケンドリック・ラマーが最多9部門11ノミネートで注目されています。


では、第58回主要4部門のノミネートを、例年通り予想と共にご紹介します。
(◎:本命、○:対抗、▲:穴)

☆最優秀レコード賞(Record Of The Year)
 ・ディアンジェロ&ザ・ヴァンガード「リアリー・ラヴ」
 D'Angelo & The Vanguard "Really Love"
◎・マーク・ロンソン「アップタウン・ファンク feat. ブルーノ・マーズ」
 Mark Ronson featuring Bruno Mars "Uptown Funk"
○・エド・シーラン「シンキング・アウト・ラウド」
 Ed Sheelan "Thinking Out Loud"
 ・テイラー・スウィフト「ブランク・スペース」
 Taylor Swift "Brank Space"
▲・ザ・ウィークエンド「キャント・フィール・マイ・フェイス」
 The Weeknd "Can't Feel My Face"


※最優秀レコード賞は、マーク・ロンソンvs.エド・シーランなのかなと思っていますが、
 マイケル・ジャクソン張りのかっこいいナンバー、ザ・ウィークエンドと、
 昨年久しぶりのアルバムリリースで日本でも話題になったファンクソウルシンガー、
 ディアンジェロにも注目したいですね。


☆最優秀アルバム賞(Album Of The Year)
 ・アラバマ・シェイクス「サウンド・アンド・カラー」
 Alabama Shakes "Sound & Color"
◎・ケンドリック・ラマー「トゥ・ピンプ・ア・バタフライ」
 Kendrick Lamar "To Pimp A Butterfly"
 ・クリス・ステープルトン「トラベラー」
 Chris Stapleton "Traveller"
▲・テイラー・スウィフト「1989」
 Taylor Swift "1989"
○・ザ・ウィークエンド「ビューティ・ビハインド・ザ・マッドネス」
 The Weeknd "Beauty Behind The Madness"

※昨年に続いて、この最優秀アルバムが一番悩むところですが、
 今回最多ノミネートのケンドリック・ラマーのアルバムが、
 人気もさることながら、社会問題などにも切り込んだ内容で、
 かなりこの部門では有利なのかなと思います。
 先行トラックの『アイ(i)』がすでに前回のグラミー賞で2部門受賞しています。
 他に、ザ・ウィークエンドの多彩な曲にも注目するほか、
 年間No.1アルバムのテイラー・スウィフト、
 アラバマ・シェイクスの作品も前作以上のかっこよさで期待されます。


☆最優秀楽曲賞(Song Of The Year)
 ・ケンドリック・ラマー「オールライト」
 Kendrick Lamar "Alright"
▲・テイラー・スウィフト「ブランク・スペース」
 Taylor Swift "Blank Space"
 ・リトル・ビッグ・タウン「ガール・クラッシュ」
 Little Big Town "Girl Crush"
◎・ウィズ・カリファ「シー・ユー・アゲイン feat. チャーリー・プース」
 Wiz Khalifa featuring Chalie Puth "See You Again"
○・エド・シーラン「シンキング・アウト・ラウド」
 Ed Sheelan "Thinking Out Loud"

※この部門は曲の素晴らしさでウィズ・カリファvs.エド・シーランの一騎打ちなのかな
 という感じがしています。


☆最優秀新人賞(Best New Artist)
 ・コートニー・バーネット (Courtney Barnett)
▲・ジェイムス・ベイ (James Bay)
○・サム・ハント (Sam Hunt)
 ・トリー・ケリー (Tori Kelly)
◎・メーガン・トレイナー (Meghan Trainor)

昨年主要2部門に全米No.1ヒット、
『オール・アバウト・ザット・ベース(All About That Base)』をノミネートさせた、
ぽちゃかわ歌姫、メーガン・トレーナーが、
デビューアルバムのリリースが今回の期間だったことで新人賞にノミネートされています。
実績だけなら今年度もソロでのTop10ヒットやジョン・レジェンドとのデュエットのヒットで、
ダントツだと思います。
ただ、他の4アーティストの追い上げも急で、
カントリーニュースターとしてアメリカでの人気がすごいサム・ハントや、
イギリスのロックの新星、ジェイムス・ベイは特に注目。
二人の女性ギタリスト、コートニー・バーネットとトリー・ケリーも
かなりの人気を集めそうです。


昨年のサム・スミス一色といった雰囲気と違って、
かなりの接戦が予想され、今回の予想はあまり自信がありませんが、
いずれにしてもかなり楽しい授賞式になりそうです。

その授賞式を盛り上げる数々のアーティストパフォーマンスの中でも、
ここしばらく続いている、レジェンドアーティストの訃報に関連した
受賞関係やトリビュートなどが注目されます。

レディ・ガガが1月12日に亡くなったデヴィッド・ボウイのトリビュートステージを、
イーグルスがジャクソン・ブラウンと元メンバーのバーニー・レドンを加えて、
グレン・フライのトリビュートのステージを、
また昨年他界したブルースレジェンド、BBキングのトリビュートステージも行われる予定です。

また、訃報の前からすでに今回のグラミー賞の功労者賞の受賞の決まっている、
アース・ウィンド&ファイアーは最優秀レコード賞のプレゼンターとして登場し、
モーリス・ホワイトへの追悼を行うことになりそうですし、
同じく功労者賞のジェファーソン・エアプレインも授賞式でポール・カントナーの
追悼を行うことになりそうです。

多彩なステージで楽しめそうな第58回グラミー賞は、
日本では今年もWOWOWで生中継されるほか、
ラジオでもInterFMなどでオンエアされる予定です。


2016 GRAMMY ノミニーズ/オムニバス

¥2,700
Amazon.co.jp