前回は、オランダのベテランロックバンドの数少ないアメリカでのヒットシングルとして、
ゴールデン・イヤリングを取り上げました。

今回は、バンドとしての活動期は短く、やはりアメリカでのヒットシングルは、
今回紹介する曲のみなのですが、
このバンドのギタリストが、80年代から90年代にかけて、美形の天才ギタリストとして、
大いに人気を博したことで知られるバンドのデビュースマッシュヒットとなります。


ヴァンデンバーグ「バーニング・ハート」


オランダ・ハーグ出身のギタリストでソングライターのエイドリアン・ヴァンデンバーグを
中心に結成された4人組ハードロックバンド。

1982年のデビューアルバム「ネザーランドの神話(Vandenberg)」から、
ファーストシングルとして、Top40ぎりぎりの39位まで上昇した、
エイドリアンの哀愁のギターの響く、せつないラブバラードです。


①オフィシャルにはこれがPVということになるのでしょうね。
 特に飾り立てはなくとも、メンバーの魅力の伝わるオリジナル音源でのライブ映像。




②こちらが実際のライブからのものになりますが、さすがにここでは
 ギターの魅力満載な映像です。



☆Vandenberg "Burning Heart" from the album "Vandenberg"
 1982年Billboard Hot100 最高位39位


Does it feel the same
When he calls your name
And does it feel the same
When you play the game
Of love

>> 同じように感じてるのかい?
>> 彼が君の名を呼んでいるとき
>> そして、同じように感じてるのかい?
>> 君がこの愛を
>> もてあそんでいるとき

When he holds you tight
Does it feel alright
Just like it used to do
When I was with you
Making love to you

>> 彼が君を強く抱いているとき
>> すばらしいと感じてるのかい?
>> 前は同じようにしていたじゃないか
>> 僕が君といたときは
>> 君に恋をしていたときは

This burning heart of mine
It still hurts after all this time
This burning heart in me
Won't let me be

>> ボクのこの燃える心は
>> それ以来ずっとボクを傷つけてきている
>> ボクの中のこの燃える心に
>> そんな風にしてほしくなかったのに

After all this time
You still haunt my mind
I just can't seem to find
The peace of mind
I need so bad

>> それ以来ずっと
>> 君はボクの心の中にとりついたまま
>> ボクには探すことができないよ
>> 心の平和を
>> ボクがそれを拒絶してるのだから

Does it feel the same
When he calls your name
And does it feel the same
When you play the game
Of love

>> 同じように感じてるのかい?
>> 彼が君の名を呼んでいるとき
>> そして、同じように感じてるのかい?
>> 君がこの愛を
>> もてあそんでいるとき

This burning heart of mine
It still hurts after all this time
This burning heart in me
Won't let me be
Won't let me be

>> ボクのこの燃える心は
>> それ以来ずっとボクを傷つけてきている
>> ボクの中のこの燃える心に
>> そんな風にしてほしくなかったのに
>> そんな風にしてほしくなかったのに

This burning heart of mine
It still hurts after all this time
This burning heart in me
Won't let me be

>> ボクのこの燃える心は
>> それ以来ずっとボクを傷つけてきている
>> ボクの中のこの燃える心に
>> そんな風にしてほしくなかったのに

This burning heart of mine
It still hurts after all this time
This burning heart in me
Won't let me be
Won't let me be

>> ボクのこの燃える心は
>> それ以来ずっとボクを傷つけてきている
>> ボクの中のこの燃える心に
>> そんな風にしてほしくなかったのに
>> そんな風にしてほしくなかったのに

This burning heart of mine
It still hurts after all this time
This burning heart in me
Won't let me be

>> ボクのこの燃える心は
>> それ以来ずっとボクを傷つけてきている
>> ボクの中のこの燃える心に
>> そんな風にしてほしくなかったのに

Oooh, won't you let me be

>> ああ、君にそんな風にしてほしくはなかった


この曲が、当時のBillboard Hot100での最高位39位
(Top40内には、この39位に2週間いたのみでした)という、
あまり高くなかった順位以上に大きく評価されているのには、
いくつか理由があるかと思います。

まずなんといっても、この曲のシンプルで美しく切ないメロディと、
このメロディを支えるギターアレンジのすばらしさ。

こういったタイプのメロディ重視のハードロックバラードで、
80年代半ば以降、LAメタルの多くのバンドや、デフ・レパード、
ボン・ジョヴィ、ナイト・レンジャーといった人気バンド、
もちろん、エイドリアンが後に加入するバンドにおいても、
数多くのヒット曲を生んでいく、そのきっかけとなった曲と
いえるのかもしれません。

これまでハードロック、ヘヴィメタルをほとんど聴かなかった
女性ファンや、幅広いロックファンから支持を受けたというのも
大きかったかもしれません。


ヴァンデンバーグは、オランダ国内のロックバンドでギターを
弾いていた、エイドリアン・ヴァンデンバーグが、
シン・リジィやホワイトスネイクのギタリストオーディションを
受け、落選するものの、そのソングライターセンスを買われ、
地元オランダで、よりワールドワイドに活躍できるバンドをと、
ヴォーカルのバート・ヒーリンク、ベースのディック・ケンパー、
ドラムスのヨス・ズーマーといった国内の実力者を集め、
1982年に結成されました。

同年すぐにレコード契約を結び、セルフプロデュースによる、
ファーストアルバム「ネザーランドの神話」をリリースし、
翌年にシングルカットしたこの曲でTop40入りを果たす、
新人としてはまずまずの成功を収めます。

1984年のセカンドアルバム「誘惑の炎(Heading For The Storm)」から、
ファーストの成功を受けて、外部のプロデューサーを起用し、
より売れ線に乗った形で作品をリリースするものの、
裏目に出てしまい、アメリカではセールスが伸びませんでした。
ただし、日本ではエイドリアンのプロモーション効果もあって、
すっかり人気バンドの仲間入りをしていました。

彼らの場合、エイドリアンのルックスの良さも人気の一つでは
ありましたね。

バンドとしては、続く3枚目のアルバム「アリバイ(Alibi)」リリース後、
ヴォーカルのバートが脱退し、バンドの存続が難しくなったこと、
また、エイドリアンがかつてオーディションを受けたホワイトスネイクに、
デヴィッド・カヴァデールから参加の打診があったことから、
バンドは1986年に解散してしまいます。

エイドリアンは、デビカバ(そう略されてましたね^^)の誘いを受け、
ジョン・サイクスに変わってギタリストとしてバンドに加わりました。

すでにレコーディング済みだった、ホワイトスネイクの1987年のアルバム、
「サーペンスアルバム(白蛇の紋章)(Whitesnake)」からの曲、
「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン(Here I Go Again)」のシングルバージョンに、
新たにギターソロを加え、全米No.1となるきっかけをつくっていきました。
その後のツアーも、彼やヴィヴィアン・キャンベル(元DIO)など、
レコーディングメンバーと大きく異なる、元人気バンドのメンバーを集めて、
これがアルバムの爆発的ヒットの要因となったようです。

続く「スリップ・オブ・ザ・タング(Slip Of The Tongue)」には、
ソングライターとしても力を発揮したものの、腱鞘炎を患ってレコーディングには
参加せず、ツアーでスティーヴ・ヴァイと共演する形で再び活躍します。

のちにホワイトスネイク活動休止中、一時同じようにホワイトスネイクに在籍した、
トミー・アルドリッジ、ルディ・サーゾらと、マニック・エデンというバンドを結成し、
アルバムを発売。

また、90年代後半にも、デビカバとの共同制作でのアルバム製作などを行っていた
エイドリアンでしたが、体調を崩すなどし、近年は音楽活動を大幅に控え、
エアブラシアーティストとして作品を残すなどの活動をしているそうです。

ヴァンデンバーグの3枚のオリジナルアルバムのカバーデザインは、
すべてエイドリアンのものだったそうで、デザイナーとしての才能でも
知られた芸術家だったのですね。

ところで、エイドリアン以外の他のヴァンデンバーグのメンバーは、
その後の動静がほとんど情報として残っていないようなのですが、
ヴォーカルのバートは、オランダ国内のバンドメンバーとして、
活躍しているとのことです。



さて、オランダのバンドが続きましたが、次回もオランダ人アーティスト。
しかし、非常に特殊な形で全米大ヒットを放った、異色のシンガーによる、
オールディーズ名曲カバーを紹介します。


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