第3回 「最悪の家族旅行を考える」


(注)このブログは、NHKのスタンフォード白熱教室の内容について、①を中心に以下の目的でまとめています。
①視聴した人の復習用の記録として(そのため基本的に事実ベース)
②見ていない人には、どんなことをやっているかの概要の参考になるように
③調べものをしている人には、ティナ先生がどんな方法をどう使っているか

また、基本的に講義の流れや発言順に沿って記録していますが、一部流れを編集したり、

私のコメントは 「→」を使ってフォントサイズを落としています。


<私の感想>

ブレストにも、アイデアの飛ばし方でいろいろなやり方のバリエーションが

あるんだなと、勉強になりました。工夫されてますね。

日本では、教育関係の学部で研究されているのでしょうか。もっと研究成果を

実業界にアピールし、実際の現場で取り入れられるようにしていってほしいです。

KJ法のような日本初の技法を、スタンフォード大学の講義で使わせたいものです。





テーマ:「常識を打ち破る手法について学ぶ」


・学生にテーマを与えて、その常識を挙げさせて根底からひっくり返し、 全く新しいものに創り上げてもらう


ポイント:

・新しいツールや手法を駆使して、どんな創造性のあるアイデアが飛び出すか。


■準備


・まずはチェックイン。今日はどんな1日だったか?
→アイスブレイク


・ウォーミングアップ
みんなで自動寿司マシーンを作る

まずはサブ講師がデモンストレーション。
動きと音で、寿司マシーンの動きから、次の人がつないでいく。動きを遅くしたり、速くしたり。
→ウォーミングアップは前回もしたが、インプロワークの手法のひとつといえる


<これまでの振り返り>


1回目:
アイデアの発想の仕方について。

ブレストのルールと、アイデアを効率よく捕まえられるマインドマップ
2回目:
設計プロセスの全体の流れ


・今回は、革新的なアイデアを生み出すにはブレストだけでは不十分

なことを学ぶ。どうすれば自分たちの考え以上の、思いつかないような

革新的なアイデアを出せるか。


■演習


課題:ブレストのテーマ「最高の家族旅行」

公平に、番号によってグループ分けをする。まず7分
各グループ、マインドマップで書き出す。


(ブレスト中)
楽しいことって何?、交通手段のはなし、
親子喧嘩なしでみんなが参加できるようなもの ⇒アクションとつながるね
ハワイの火山から宇宙、火星旅行へ、少し現実的に戻ってテーマパークへつながる


・出し合ったアイデアの中で、よいのを一つ選んで「タイトルをつける」
ポストイットにタイトルを書き、ホワイトボードに貼る



課題:「最悪の家族旅行」のブレスト


1)史上最低最悪の家族旅行を考える。7分間


(ブレスト中)
初めは、車の旅行やホテルの環境や旅先の悪いイメージから出発したが、旅行の本質について話し出すあるグループ。
また、予め先が読める旅。リラックス、非日常なのにストレスを感じる旅行。

家族が来ない、家族が離婚などで分裂、また親族が悪さをしにやって来る
別のチームは宿題が出る旅行。

黒板を爪でひっかく音がするなど、五感的に嫌悪すること


2)2分で、最悪なアイデアを一つ選んで 「タイトルを付ける」 

(先生)細かいプランまではポストイットに書き込まないように注意を受ける。
→文章にせず、タイトルだけを決めることで、発想の縛りをなくしたと思われる。


(タイトルの例)
汚いものにつかまって抜け出せない感じ ⇒混沌の中に閉じ込められる旅
ユニークなフライト ⇒試作された電気旅客機が故障する旅


3)最高の家族旅行のアイデアの棄却?
グループのキャプテンを決める

最高の家族旅行のアイデアのポストイットをはがして持ってきて、切り刻んで捨てる
→最初のアイデアに囚われないためか



課題:「想像し得る最高の家族旅行」


・最悪の家族旅行のアイデアのタイトルを隣のグループに渡す
それをなにか素晴らしい家族旅行のアイデアに作り変える。
・そして、1分間のCMにして、売り込むつもりで寸劇として発表。
→アクティングアウトと同じ。HCD業界ではプロトタイピングのインタラクションの確認で使うが、

ここではアイデアを伝えるための寸劇。


(最悪タイトルからブレストでの変化)
「タイタニック号2等船室の旅」

 ⇒テーマパークに
「汗っかきの大男が降ってきて奴隷にされる旅」

 ⇒対戦型RPGができる島で、敵を蹴散らして家族と再会するのが目的の旅
「嵐の中で赤ちゃんが泣きやまない独りぼっちの危険な旅」

 ⇒赤ん坊のために、家族がひとつになる未開の地の探検ツアー
「不眠地獄で過ごす旅」

 ⇒不眠地獄がクラブの名称に
「混沌の中に閉じ込められる旅」

 ⇒カオスアドベンチャーランド。家族対抗で最初に脱出すると大金ゲットで、家族のきずな、思い出の共有
「試作された電気旅客機が故障する旅」

 ⇒VRで電気旅客機に乗れる


<振り返り>
・最悪と最高の両極の家族旅行のアイデアを出したが、
最高のアイデアは、

リラックスやゴージャスの従来の延長線上のアイデアになりがち

⇒ビーチでのんびり等
逆に最悪は?と考えると従来と反対なことで、

ばかげたこと、奇抜なアイデアが出やすい

価値あるコンセプトが出てくる可能性がある。


・すぐに、アイデアを飛ばした発想ができた。(メリット)
⇒(先生)眼鏡によって最悪なアイデアでも、良くしようと思えば

良いアイデアが見えてくる。
ゆえに最悪に思えるアイデアを捨てるな。

従来の考え方から脱する一つの方法


【奇抜なアイデアを出やすくする手法】


多くの組織でも使われているやり方の紹介


1)まず、「常識」と思っていることをすべてあげる

例として、ファストフード店の「常識」
・商品や客、店内環境など、発現させる領域を広げながら引き出している。


2)書き出した常識を、各々「誇張」してポストイットに書いて横に貼る
ex. 不健康→身体に毒。座りづらい椅子⇒椅子がない


3)次は、常識の「反対」を書き出す
ex. ドライブスルー⇒ドライブイン、ハイキングで行く。不健康→がんを治す。

座りづらい椅子⇒ベッドの中でくつろぐ
→この順番が大切ですね。反対から誇張にもっていくと、前のに引きずられて考えづらくありません?


課題:「新しいレストランのコンセプトを考える」


・誇張と反対から、適当にひとつづつポストイットを選び、組み合わせてブレスト。

そして寸劇で発表


(組み合わせ例)
マスコットがサービス/予約に何年もかかる
考えただけで料理が出る/ハイキングして入る
店が料金を払う/招待客だけ
体に毒な食べ物/とんでもなく高い 等


実施後>
・アイデアの実現にあたっての出発点はあったか。

実現に向かってどんなシナリオがあるか。


・こうした発想の転換のやり方は多くの企業に取り入れられている。
例えば、シルク・ド・ソレイユ。
サーカス業界は低迷していたが、

サーカスの常識をひっくりかえして新しいサーカスに作り替えた。
子供から大人へ、競合は遊園地ではなくオペラや劇場、価格も高く


・(先生)同じ例として他にないか
⇒ネットゲーム、DVDのオンラインレンタル店、カーシェアリング、YouTubeが有名人の定義を変えた、無料インターネット電話のスカイプ 等


■まとめ


最高の家族旅行についてのブレスト→最悪の家族旅行→クールな旅行のアイデア→誇張や反対
今回実施したことをなぞる。


<学んだことは?>
・ブレストで悪いアイデアはない!最悪なアイデアの方が可能性があると実感
⇒(先生)いつも最悪アイデアをひっくり返してやれとはいわないが、アイデアを飛ばすためのひとつの手法として


・アイデアを評価する時間があるなら、アイデアを考えた方が効率的


・最悪のアイデアの方がイメージしやすいので、そちらから考えた方が

よいアイデアを考えやすいと思う。ビジュアルにしやすい。


・変なアイデアを考えている方が楽しい。笑わずにいられない。
⇒(先生)ふざけていたり、心が軽い方がアイデアが生まれやすい
→会議でのブレストでは、そうした雰囲気になりにくいことが問題ですね


・体系だった手法の組み合わせ方が良かった。

一つ一つステップを踏んで想像することが楽しかった。
→学習という立場では、一つ一つのステップを踏んで、変化を自覚させることが学びにつながる。

・(先生)新たなものを作りだす力を発揮させるためには、

組み立て方があることがわかった。
子供のころに教わった科学的な手法は、すでに存在しているものを発見する手法。

しかし、何かを作り出す、創造する力を教わることはなかった。
モノを発見することと、ものを作り出すことでは全く違う。
今回学んだことは、創造力を発揮させるには有効なプロセス。


・(先生)今回は寸劇で発表したが、他のやり方もあり、ストーリーとして話すだけでもよい。
→ストーリーボードも使えるということですね。


・(サブ講師)最高のいアイデア、最悪からのアイデア、それをひっくり返すといった

プロセスは全部しなくても、一部だけを取り入れてブレストの流れを変えることができる。
例えば閉塞感が漂う時など。

考えの方向性や、阻害しているものが見えてくる。


・いいアイデアを出そうとすると、それが本当に良いアイデアか考えてしまい、

気にして修正してしまうが、最悪だとそれでいいのかと枠をはめて考えない。
最悪のアイデアを考えるということは、分別を取り払い自分を解放するということ。
→ブレストでは個人的によいアイデアをどう出すかという気持ちでのぞんでいましたが、構えず発想した方がよいことがわかりました



■今日学んだ言葉


「最悪のアイデアこそ、最高のアイデア」


アイデアの種をまいて、育てて、花を咲かせてから、

それを実行すべきか決めた方がよい。

変なアイデアが、驚くような結果をもたらすことがあるから。
→イノベーションを求めるなら、なおさら奇抜なアイデアを初めから排除しないことが重要ですね。



以上です。


第1回「ブレインストーミングで可能性を探れ!」http://amba.to/jUMrRU
第2回「名札をめぐる冒険」http://amba.to/iphjYQ
第4回「6色の考える帽子」http://amba.to/jTvmQg
第5回「30分で新製品を作る」http://amba.to/kNiduO
第6回「トランプで創造性を学ぶ1」心理・行動編 http://amba.to/lT2tV4
第6回「トランプで創造性を学ぶ2」振返り編 http://amba.to/m82p0l
第7回「あこがれの起業家に学ぶ」http://amba.to/qBB4FX
第8回「コーヒーの新しい飲み方を考える1」発表編 http://amba.to/rrHIWY
第8回「コーヒーの新しい飲み方を考える2」振返り編 http://amba.to/poh4aQ