<艶が~る、妄想小説>
今回も、てふてふあげはさんの絵をお借りして、1シーンを考えてみましたかなり、切ない感じになっちゃった
土方さんと主人公ちゃんの切ない表情が素敵です
艶がの土方さんなんだけど、ちいとばかし、「新選組血風録」の永井土方も意識しちゃいました
今回も、駄文ではありますが…良かったら
【貴方のかわりに…】
絵:てふてふあげはさん
作:小春
「……会いに来ました」
屯所内を探し回り、辿り着いたのは稽古場だった。
竹刀を横に置き、背に日差しを浴びながら座る彼の瞳は、憂いを宿しているように見えた。
文久三年、二月二十七日。
幕府によって結成された壬生浪士組は、『八月十八日の政変』の後、その活動が認められ、芹沢鴨の死後間もなくして、「新選組」が誕生した。
これにより、幕末最強と言われた剣客集団の鉄の結束が確立されたのだった。
それからの土方さんは、今まで以上に新選組での活動を強化するようになり……
局中法度を破ったものは切腹。
……局中法度は絶対なり。
そんな彼の鬼のようなやり方に非難の声が上がる中、それでもなお、その言葉に耳を傾けることはなかった。
己を信じて突き進むのみ。
彼の心は、常にたった一つの事柄だけに注がれていた…。
「俺達は、京の都を守りたい…いや、守らねばならない」
その細められた瞳は、とても真剣で…
常に、新選組の明日を見つめているように思えた。
そんな中起こった、洛陽動乱(池田屋事件)。
ここでの捕り物の末、尊皇攘夷派に狙われていた京都守護職の松平容保(まつだいらかたもり)様や、天子様の命を守ると同時に、京の町をも守ることが出来た。
またも、新選組の活躍が認められると同時に、その後も続いていった彼らの戦いは、月日を重ねるごとに危機迫ったものとなっていき、幾度もその尊い命が脅かされることになった。
そして……
一人、二人と同志達が、彼の許を離れてゆき、
……永遠の別れも訪れた。
「もう、泣いてもいいじゃないですか…」
「…………」
彼の乱れ髪に触れながらそっと寄り添うと、やがて、彼の優しい手が私を抱きしめると同時に、吐息が襟元を擽った。
「涙なんざ、とっくに涸れ果てた」
「本当に、頑固ですね…」
「…………」
「って、沖田さんがいたら…そう言っていたでしょう…」
震える唇から漏れる小さな嗚咽と共に、いつの間にか私の頬を伝っていた涙が、彼の乱れた前髪を濡らしていた…。
あなたの哀しみを、ほんの少しでいいから分けて欲しい…
「…私だけは、あなたの傍を…離れないっ……」
「……………」
彼の吐息と、私を抱きしめる手が震えだした。
「こんな俺の傍にいるつもりなのか…」
「……駄目ですか?」
「いや……」
……傍にいてくれ。
掠れた声と共に、痛いくらいの抱擁が私を包み込む。
どれほどの想いを抱え、どれほどの痛みを感じてきたのか…
その一部分だけでもいいから受け止めたい。
そんな風に思っていた時…
しばらくの沈黙を経て、彼の想いが溢れ出した。
「……俺は一人になったわけじゃない」
囁いた声は、とても穏かで、今まで合わさることが無かった視線が重なり合うと、彼の無骨で大きな手が、私の濡れた頬に触れた。
「俺にはまだ、守らなければならない女がいる…」
「土方…さん…」
「だから……」
そう言って、また私を強く抱きしめると、「ずっと俺の傍にいろ」と、言ってくれたのだった。
初めて欲した抱擁。
初めて目にした涙。
その全てが、愛し過ぎて……
気がつけば、彼の端整な唇にそっと唇を重ねていた。
これまでも、そして…これからも。
温もりを分け合いながら、時許すかぎり彼と共に生きる……。
【 E N D 】
~あとがき~
今回も、てふてふあげはさんの素敵な主人公ちゃんと、土方さんとの1シーンをお借りして、物語を作ってみました慶喜さんに引き続き、切ないシーンではありますが…少し違った描き方をさせていただきました
もう、主人公ちゃんの泣き声が聴こえてきそうですよね
他にも、楽しそうに遊ぶ彼らの絵とか、沢山あるので、随時、書けたらUPしたいと思っています
今回も、遊びに来てくださってありがとうございました
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素敵な旦那はん達に会えますよ