<艶が~る、妄想小説>


【相思】 第2話 *慶喜×俊太郎編*


慶喜さんと枡屋さんと主人公との三角関係も、第2話目音譜前回で、枡屋さんからの告白めいた言葉を受けて、二人の間で心を揺れ動かす主人公。


その後の展開は?

相変わらずの駄文ではありますが…少しでも慶喜さんを感じて貰えたら嬉しいどすしゃきんっ


【相思】第1話




【相思】 第2話 



次の日の朝。


私は、激しい悪寒を感じ布団から出られずにいた。


寝返りをうつ度に身体中の節々が痛み、額に触れる手の甲は火傷しそうなほど熱い。


(でも、行かなきゃ…)


息苦しさと激しい頭痛に襲われながらも、ゆっくりと上半身を起こす。


「痛っ……」


(どうしよう…これが精一杯だぁ……)


それでも無理に立ち上がり、布団をそのままに着替えなどを済ませ部屋を後にした。


(あ、足に力が入らない…)


階下へと続く階段を下り始めて間もなく……


数段残したところで足を踏み外し、つんのめるような形で身体が浮き上がった次の瞬間、大きな衝撃を受けると同時に、支えられるようにしてその場に倒れこんだ。


「……大丈夫か?!」
「あ、秋斉さん…」
「……熱いな」


彼は、ゆっくりと上半身を起こし、私の身体を抱き起こしながら額に触れると、ぐったりする私の身体をそっと抱き上げた。


「また無理しはって…」
「…すみません」


しかし…と言うと、彼は階段をゆっくりと上り始める。


「ほんまに無理しなや…あんさんが倒られはったら、慶喜はんが心配するさかい」
「秋斉さん…」


穏やかな笑顔をすぐ傍に感じ、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。秋斉さんには、いつも助けられてばかりだから…。


やがて、部屋に辿りつくと、敷かれたままの布団にそっと下ろされた。


「今、薬を持って来るから」
「すみません、ありがとうございます」


静かに部屋を出て行く彼を見送りながら、ぼんやりとした頭で考えることは……あの人のこと。



『お前の笑顔が見たくてね…今日も、会いにきてしまったよ』



いつもふらっと現れては、甘い言葉を囁いてくれて…


温もりを分けて貰う度に、幸せな気持ちになる。


慶喜さんに会いたい……。


でも……特別な存在として見てくれているわけではなく、私が勝手に舞い上がっているだけなのかもしれない。


*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~



遊女に愛を囁くなんてことは、よくあることだと聞いたし…


はっきりと、告白された訳ではないから。


……大人の駆け引きについていけないだけなのかもしれない。



「待たせたな…」
「ありがとうございます…」


彼は、白湯と小さめの盥を持って戻ってくると、それらを枕元に置いて、胸元から薬を取り出すと同時にこちらに差し出した。


痛みを堪えながらゆっくりと身体を起こし、すぐに薬を受け取って口に含み白湯で流し込む。


「これで、少しは楽になるやろ」
「本当にすみません…」
「謝らんでもええ…」


薬はとても苦くて、口の中がピリピリとした感覚が残ると共に、喉の奥に残ったままの薬が堪らなく気持ち悪かった。


「…うっ……」
「不味い薬ほど効くもんや。後のことはええから、今日は大人しく寝てなはれ」
「……はい」


そして、また横になる私の額に布巾を乗せ、また後で様子を看に来ると言い残すと、彼は部屋を静かに出て行った。


(……早く…治さなきゃ……今夜、慶喜さんがお座敷に来てくれるかもしれないんだから…)


外からは、「おはようさん」と、言う声が聞こえる中、薬の効果も手伝っていつの間にか深い眠りに誘われていった。




どれくらい経っただろうか?


ぼんやりとした意識の中で、聞こえてきた会話に耳を傾ける。



「医者に診せなくて大丈夫なのか?」


「薬が効いとるようやから、大丈夫やろ…」


「そうか。ま、俺が来たからにはもう心配ないけどね」



この声は……慶喜さんと、秋斉さん?


夢の中でもいい。


慶喜さんの声が聴けるなんて…


……あっ、冷たい。布巾を変えてくれたのかな?



「もう、行っていいよ秋斉」


「……起こさへんようにな」


「……それってどういう意味?」


「そういう意味や…」



(リアルだなぁ…こんなにはっきりと二人の声が聞こえるなんて…)



「信用無いね…」


「……ほな、わては用事があるさかい、後は頼みます」


「ああ」



(なんて都合のいい夢なんだろう。慶喜さんに看病されているなんて…)


そっと握られる手から感じるこの温もりは、やっぱり慶喜さんだ。


私の心を癒し、安心感をくれる人…。


「慶喜…さん……」
「え、起こしちゃったかな…」
「……えっ…」


ゆっくりと瞼を開けると、ぼんやりとした意識の中で薄らと慶喜さんの微笑む顔が目に映りこむ。


「け、慶喜さん?」
「気分はどうだい?」


(夢じゃ…無かったんだ…)


「…どうしてここに?」
「こちらに急用が出来たから寄ってみたんだが……秋斉からお前が熱を出して寝込んだと聞いて、居ても立っても居られなくなってね」
「ずっと、看病してくれていたんですか?」
「ああ。寝顔も可愛かったよ」


悪戯っ子のような微笑みを浮かべて言う彼に、私もほんの少し微笑み返す。


いつも、こう言ってくれるけれど、本当はまた秋斉さんのところに用事があって、たまたま私のところにも顔を出してくれただけなのかもしれない…。


なぜか、素直に喜べない自分がいた。


「熱は、少し下がってきたみたいだ」


不意に彼の端整な顔が近づいて、お互いの額が合わさりあう。


「……っ…」
「うん、もう大丈夫かな」
「ち、近いです…慶喜さん。風邪がうつったら大変ですから、あまり近寄らないほうが…」


そう言うと、彼はくすっと笑いながら額を離し、私を見下ろしたまま甘い声で囁いた。


「俺にうつしたらいい…」
「えっ……」


次の瞬間、頬に手の温もりを感じると共に、彼の端整な顔がゆっくりと近づき、視界が暗くなると同時にその柔らかい唇が瞼の上に落ちた。


そして、そのまま頬へ滑って行き…


気がつけば唇を奪われていた。


(……!!)


触れるか触れないかの優しい口付け。


「こんなにも愛しく思える子は、どこを探しても見当たらないだろうな……」

「慶喜…さん…」

「お前の風邪なら、うつってもいい。その代わり、その時は逆に看病して貰うけどね」


彼は、微笑みながら私の隣りに寄り添うと、温かい手で私の頬を包み込んだ。


そのしなやかな指から伝わる熱を感じながら、彼の細められた瞳と目が合う。


「俺がついていてあげるから、もう少しおやすみ…」
「慶喜さん…」

「ん?」

「……離れないで下さいね」


上目遣いに見上げると、彼は嬉しそうに微笑みながら、「ああ」と、答えた。


その優しい声に安心し、彼の胸に寄り添いそっと瞼を閉じる。



今は余計なことを考えず、ただ、彼との限られた時間を大切にしたい。



大好きな人の温もりに包まれながら……


私はまた、深い眠りへと誘われていった。




<つづく>




~あとがき~


やっぱり、気になってしまっていた慶喜さんあせる


自分で書きながら、「慶喜さんに添い寝されたい」と、思ってしまった(笑)


これから、どうなって行くのか…。



そして、「温泉♪おんせぇぇん♪」の前半戦が、明日の11:59までとなりました♪後半戦は、誰と誰が戦うことになるのか??


今のところ、幕府・新撰組チームは、秋斉×沖田になりそうな感じで、尊皇攘夷の志士チームは、龍馬×翔太になりそうな感じです!


他の旦那様たちの巻き返しがあるのか…。


今日も、遊びに来て下さってありがとうございました!