<艶が~る、妄想小説>
Tuya girl. if you want to meet me. Ryouma #1
今回は、もしも、龍馬さんと船で航海して、霧島温泉に行ったら…。
龍馬さんといえば、やっぱり海という設定と
あと、龍馬さん本編後半に出てくる艶シーンの続きを!との声を受けて書いてみました
まだまだ下手っぴですが…
ほにほに
少しでも、感じて貰えると嬉しいです…。
今回の友情出演は、高杉様どす
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もしも、龍馬さんと航海の旅に出たら…。
「やっぱり、海はえいのう!」
太陽の日差しを手で遮るようにして、龍馬さんは海の向こうを眺めている。私はその横で、彼の眩しそうな顔を見上げていた。
「潮風が心地良いですね…」
「海を見ちゅうと、元気が出てくるちや」
そういいながら、彼はこちらを見るとニカッと微笑んだ。
忙しく日本中を駆け巡る龍馬さんだが、今日だけは私の我儘に付き合ってくれたのだった。
龍馬さんがお座敷に遊びに来てくれたあの日、航海話を聞いた私は無性に海へ行ってみたくなり…思いきって彼にお願いをしていたのだ。
「ん?海が見たいがか?」
「はい、龍馬さんと一緒に大きな海を見に行きたいです…」
「ほうか、ほなら今度一緒に海を見に行くぜよ!」
その夜から、約三週間ほど経った今日。
私は、秋斉さんに1日だけお休みをいただき、龍馬さんと一緒に神戸港へと足を運んでいた。
「おお、艦がやってきたちや」
「……うわ、あれは?」
「乙丑丸じゃ」
「えっ、乙丑丸って…まさか、あの乙丑丸ですか?」
乙丑丸は、高杉さん率いる長州藩が軍艦として使用している艦だということを、以前、龍馬さんから聞いたことがあったが、どうしてその軍艦がここに着港したのかを尋ねると、彼はにこにこしながら答えてくれた。
「おまんを連れて行きたい場所があるき、高杉に頼んで艦を貸して貰うことにしたちや」
「高杉さんに?」
この時代は、まだ徳川幕府が外国への渡航禁止令や貿易禁止令を出していた為、大型船の建造は禁止されていた。だから、龍馬さんは長州藩士である高杉さんに書状を出し、乙丑丸を出して貰うように手配してくれたのだった。
「○○、緊張しゆうがか?」
「少しだけ…こういう船に乗った経験があまりないので…」
私たちが船に近寄ったその時、甲板にいた高杉さんがこちらに声をかけてきた。
「二人とも、久しぶりだな」
龍馬さんは、それに答えるように大きく手を振る。
「おお!おんしも元気にしちょったか?」
「書状を貰って唖然としたがな…」
「すまんちや…船はこれしか思い浮かばんかったき…」
下関にいた高杉さんは、龍馬さんからの書状を受けて、快く引き受けてくれたらしい。
それから私は、高杉さんに手を差し伸べて貰いながらなんとか船に乗ると、その後から龍馬さんが乗り込んだ。
「すみません…まさか、乙丑丸で行くことになるとは思わなかったんですけど…」
「ま、お前の頼みだ。今回限りだが、使ってくれ」
そういうと、高杉さんは私に微笑んだ。
「高杉、おまんはこれからどうするんじゃ?」
「これから、京で東久世(ひがしくぜ)と会うことになっている」
「ほうか、いよいよか…」
「内乱も覚悟の上だ。ま、やってやるさ…」
そんな二人の会話を静かに聞きながら、私は船の甲板を見つめていた。この時代の船にしては、とても大きくて、しっかりと造られている。この船で龍馬さんや高杉さん達がいろんな場所へ航海したのかと思うと、感慨深いものがあった。
「それじゃ、気をつけてな」
高杉さんが船から飛び降りると、龍馬さんは、「おんしもな」と声をかけた。
「今日は波が荒いから、いつも以上に気をつけろよ」
そう言うと、高杉さんは踵を返しその場を去っていった。その彼の後ろ姿を見送ると、龍馬さんは操舵輪を握り締め、舵を取り船を動かし始める。
「それじゃ、行くぜよ!」
こうして私達は、乙丑丸でちょっとした二人旅をすることになったのだった。
「こいつの舵を取るのは久しぶりやき、わしもちくと緊張してきたちや…」
「ふふ、でも…格好いいですよ」
「ほうか、○○もやってみるか?」
彼に促され、私も少しだけ舵を取らせて貰うことにした。
彼の前に立つと、背後から龍馬さんの大きな手が私の両手を包み込む。
「……っ……」
「役得というやつじゃな。おまんの柔らかい手を握れるのやき…」
「龍馬さん…」
「この広い海の上に、おまんと二人きり…何でもし放題じゃ」
彼は、私に操舵輪を握らせたまま、背後から私の胸元をそっと抱きしめてきた。
「あ、りょ…龍馬さん!」
「……おまんは、こうされるのが嫌か?」
耳元で囁かれ、普段とは違う彼の甘い声に思わず肩を竦める。
「嫌じゃないですけど、手を離さないで下さい…」
「おお?手を握っていたほうがえいがか?」
「龍馬さん、わざと言ってます?怖いから手を離さないでくださいよぉ…」
彼は、そんな私の顔を後ろから覗きこむと、大笑いしながらまた操舵輪を回し始めた。
「ははは、すまんちや。おまんと二人きりで船旅らぁて初めてやき、はしゃぎ過ぎてしもうた」
チラッと後ろを振り返ると、彼の笑顔がそこにある。
ずっと、ずっと思い描いていた私の願いが、また一つ叶った瞬間だった。
どれくらいの時が流れただろうか…。
夕焼けが、空をオレンジ色に染め始めた頃。
私達は、とある港に辿り着いた。
「ここは、どこですか?」
「薩摩じゃ、有名な温泉があってのう」
「温泉が?」
「おお、翔太や高杉たちとも何度か訪れたことがあるが、おまんとも一緒に来たかったちや」
彼は、先に船から飛び降り係船(けいせん)させると、私に笑顔で手を差し伸べてきたが…彼の大きな手を握り締めながらも、私は怖くて躊躇ってしまう…。
(……う、着物を捲らないと無理かもしれない…)
「どうしたんじゃ?」
「龍馬さん、怖いです…着物が邪魔して…」
「それなら、わしが受けとめるき、思いきって飛ぶんじゃ」
「え、でも…」
「大丈夫、必ず受け止めるきに」
私は、もう片方の手で少しだけ裾を捲り上げると、思いきって彼の胸に飛び込んだ。
「なんちゃーなかったやろ?(何でも無かっただろう?)」
彼は無事に私を受け止めると、そう言ってまたギュッと抱きしめてくれる。
「さ、温泉に入りに行くぜよ!」
「はい、楽しみですっ」
それから、彼について行くと、とある温泉宿に辿り着いた。幕末時代にタイムスリップしてからというもの、温泉に入るのは初めてだったから、私は久しぶりの温泉に心が躍り始める。
仲居さんに促されるまま部屋へと案内された私達は、一息つくとどちらからともなく声を掛け合う。
「龍馬さん…」
「○○…」
お互いに顔を見合わせると、彼が照れながら私に囁いた。
「先に入ってくるか?」
「いえ、龍馬さんこそ…先にどうぞ」
「それじゃ、先に行ってくるぜよ」
そう言うと、彼は旅館で借りた手拭を肩からかけながら部屋を後にした。
一人残された私は、障子ごしに見える小さな庭先に出てふーっと一息ついた。
こんなふうに龍馬さんと一緒に船に乗ったり、温泉に入りに来たりするなんてことは、なかなかあることでは無い。もしかしたら、最初で最後かもしれない…。
翔太くんとお座敷へ遊びに来てくれるたびに、彼はいろんな話をしてくれて…。そのどれもが全て、日本の未来を考えてのことばかりだった。
それに、私が悩んだり悲しんだりした時、すぐにそれを察知して心配してくれて…あの満面の笑顔と、優しい温もりで私を包んでくれるのだ。
いつだったか、落ち込んでいた時…。
温かい言葉をかけて、私を励ましてくれたことがあったっけ…。
「人間は、失敗をする生き物じゃ。失敗をして落胆しゆう時もあるが、いつでも前を見据えて邁進していけばえいがよ。それに、人の世に道は一つということは無いちや!道は、百も千も万もある。失敗したらもう一度、挑戦すればえいだけやき」
私はその言葉を聞いた時、どうしてこんなにも龍馬さんの笑顔に惹かれるのかが分かった気がした。そして、どんな時も前だけを向き、自分を信じて頑張っている龍馬さんは、本当に素敵な人だと思ったのだった。
今までの龍馬さんとの思い出を思い浮かべていた時、背後から声がしてふと我に返る。
「いいお湯だったちや!おまんも、早う入ってくるぜよ」
「あ、はい!」
「○○……」
私が立とうとした瞬間、彼に腕を掴まれそっと抱きしめられた。
「りょ、龍馬さん…」
「……ずっと、こうしたかったちや」
彼は、今までにない落ち着いた口調で低く囁くと、そっと私の身体を離し、またいつもの笑顔で言った。
「朝までおまんと一緒にいられるんやき…」
照れながら言う彼に微笑み返し、私も同じ気持ちであることを伝えると、仕度をして部屋を後にした。
温泉までの距離を歩きながら、私はこの後の事を考え胸を高鳴らせる。
彼の腕の中で、沢山の温もりを感じたい…。
足取りは自然と早まって行った…。
<つづく>
~あとがき~
この続きは、いずれアメンバー記事で書きたいって思います
( *´艸`)
書きながら、龍馬さんの優しい人柄を再確認しました
ちなみに、高杉さんとの会話で出てきた、東久世さんは、高杉さんが挙兵して立ち上げた、功山寺挙兵の一人だそうですちくと、名前だけ登場させちまいました
そして、乙丑丸は、いわずと知れた高杉さん率いる長州藩士たちが大金を出して造ったとされる軍艦ですなじつは、この船はユニオン号の事なのですが、長州藩士たちは「乙丑丸」と、呼んでいたそうです
ユニオン号に、乗って…龍馬さんと航海の旅に出たいものです
今回も、読んで下さってありがとうございました