<艶が~る、妄想小説>
今回は、沖田さんとヒロイン(春香)がお祭りに行くストーリーです
良かったら、読んで下さいませ
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もう一つの艶物語 ~お祭りの夜に~ *沖田総司*
「お邪魔します」と、涼やかな声が置屋の玄関先に響いた。
その声に振り向くと、そこには沖田さんがにこにこしながら立っていた。
「あ、沖田さん!」
私は、急いで彼の元へかけ寄る。
「お待たせしてすみませんでした。出掛けに土方さんに声をかけられてしまって…」
「土方さんに?」
「ええ、春香さんとお祭りに行くと言ったら、急に不機嫌になってしまったんです」
「なぜ?」
私は不思議そうに尋ねると、彼はくすくすと笑いながら言う。
「さぁ、何故でしょう。土方さんも、あなたとお祭りに行きたかったのかもしれませんね」
「………?」
「もう、準備はよろしいですか?」
「はいっ!」
「じゃあ、行きましょうか春香さん」
夕焼けで雲がオレンジ色に染まる中、私達は並んで歩き始めた。
この間のお座敷に土方さんと沖田さんが遊びに来てくれた時、沖田さんがこっそり私をお祭りに誘ってくれたのだった。
「沖田さんとこうしてお祭りに行くことが出来て、嬉しいです」
「良かった。春香さんにそう言って貰えて。お誘いして断られたら…って、ずっと思っていたので…」
「そんな!断るだなんて…」
私は、顔を赤くしながら答えると、彼も少し照れくさそうに笑った。
島原を出てしばらく彼に付いて行くと、遠くに夜店が並んでいるのが見えてきた。彼は、ふと歩みを止めると、「お腹…空きませんか?」と、尋ねてきた。
「そうですね…ちょうど、小腹が空いてきました」
「あ、あっちにお団子を売ってる店がありますよ。行きましょう春香さん」
彼に手を差し出されて、私は少し照れながらもその大きな手を握り締める。手を引かれながら、私は彼の少し後ろをいそいそと歩いた。
「いらっしゃい、いらっしゃい!おこしやす~!」
お店で働く女の子たちが威勢の良い声をあげる。すると、彼がにこにこしながら声をかけた。
「お団子、下さいな」
「へぇ、ささ、こちらへどうぞ!」
私たちは、お団子を貰うと店先の長椅子に腰掛けてパクパクと頬張る。隣でお団子を美味しそうに食べる彼を見て、私も幸せな気分になった。
「うん、美味しいなぁ」
「沖田さん、本当に美味しそうに食べるんですね」
私もにこにこしながら答えると、彼はある方向を見て更に目を輝かせた。
「あっ!春香さん!あっちから山鉾が」
彼の指差すほうから、綺麗な飾りつけがされた山車がゆっくりと近づいて来た。コチン、コチンと、独特な節回しが聴こえて来る。
「うわぁ~、綺麗」と、私も思わず声を上げる。現代の祭りとは少し違うけれど、とても神々しく感じられる山車に私は目を奪われた。
「綺麗ですね……」
彼は私の方を見て呟いた。その優しい眼差しに、私は思わず頬を染めて俯く。
(……綺麗って…山車のことだよね?)
それから二人で、これでもかってくらいお祭りを満喫した。久しぶりに外で思いきりはしゃぐことが出来て、私は大満足だった。それになりより、隣には沖田さんが居てくれる……私にとってこの上ない幸せな時間だった。
「春香さん……」
彼が、ふと立ち止まった。
「何ですか?」
「あの……」
彼はまた何かを言いたげに頭を掻きながら言った。
「……また、良ければ私と…こうやって一緒にいろんなものを見に行きませんか?」
「え……」
私は突然のことに、呆気にとられた。
「あ・・・嫌なら・・・無理にとは」
「いえ、私こそ!・・・あの、私の方こそまた・・・こんな私で良ければ、お声をかけて下さい」
私は、たどたどしくもそう答えると、彼は俯きながら囁いた。
「・・・ありがとう、春香さん」
その無邪気な笑顔が、私は何よりも大好きだった。
「もう遅くなってしまいましたので、置屋までお送りしますね」
「ありがとうございます」
微笑み合うと、私達は来た道を逆にゆっくりと歩きだした。そして、すぐ隣を歩く彼に、私は思いきって尋ねた。
「あの、沖田さん……」
「はい、何ですか?」
「……腕を組んでも良いですか?」
すると、彼は少し驚いた顔をし、次に照れ笑いをしながらゆっくりと腕を差し出て言った。
「……私ので良ければ」
私は、沖田さんの腕に両手を添えながらそっと寄り添うと、心の中でこのままずっと一緒に居られたらと、何度も願った。
激動の時代を駆け抜ける彼は……いつも死と隣り合わせだ。だからこそ、一時でも一緒にいたいと思う。
沖田さん……また、一緒にいさせて下さいね…。
そして、私で良かったら……
また、いつでも会いに来て下さい。
<終わり>
お粗末さまでした(*´▽`*)ゞ
沖田さん大好きだぁぁ☆