いやーやっぱりマルケスはいい!かっこいい!美しい!打って良し、守って良し、近づいて良し、守って良し、まさにボクシングの教科書!37歳にしていまだあれだけのパフォーマンスの出来るスーパーボクサー!

というわけでWOWOWエキサイトマッチ新年1回目のメインカードがWBA・WBOライト級王者ファン・マヌエル・マルケスvsWBO暫定王者マイケル・カチディスの一戦。

万能型のマルケスと、ロッキーの異名を持つ突貫ファイタータイプのカチディスの目の話せないスリリングな試合は1Rからマルケスが得意の連打で優勢に進めます。マルケスのすばらしいところは連打が最低でもワンツースリーと3発それぞれ違う角度、上下左右打ち分けるところにあります。そのコンビネーションの美しさは世界のボクサーでも随一といっていいでしょう。しかしカチディスも防御を固め、ボディに被弾しながらも強烈な一発を回避してじわりじわりと自分の間合いを計ります。2R終盤にはカチディスの得意なインファイトに持ち込み、手数ではマルケス、パワーはカチディスといったどちらの武器が制するか手に汗握る展開になってきます。

しかし3R1分過ぎそれは突然起こりました。カチディス得意の左フックがカウンターでマルケスの顎に直撃。マルケスはしりもちをついてダウンします。一気に優勢に出るカチディス、押し込まれ押し込まれさすがのマルケスもここまでか!?と思われますが、マルケスは得意の連打でカチディスが打つより速く拳を叩き込み、最大のピンチをしのぎます。最大のピンチを乗り越えたマルケスは試合のペースを掴むと追い詰められても連打連打でしのぎ、カチディスの得意のスクリュー気味の左フックはきっちりとガードする。ここにきてカチディスとマルケスの防御技術の差が出てきます。徐々に体力を削られていくカチディス。それでも前に前に愚直に出て行き得意の戦法を貫き通すカチディスの意地は立派です。

試合は9R、ガードの隙間隙間から綺麗なコンビネーションを叩き込み続けたマルケスと、そのパンチで腫れ上がったカチディス、ムードは完全に3Rから逆転しています。最後はまったく手の出なくなったカチディスが下がり始めて防戦一方になったところでレフェリーが割って入り、マルケスの9RTKO勝ちとなりました。

37歳といえばボクサーとしてもすでに引退が視野に入る年であるにも関わらずなおマルケス強し。さすがに3R不用意にカウンターをもらうようにはなりましたが、それでもまだまだ衰えを知らない高い技術は今年も目が離せないでしょう。


その前に行われたアンドレ・ベルトvsフレディ・エルナンデスのWBCウェルター級タイトルマッチ。ベルトの狙いはすでにパッキャオ!しかし防衛戦はそのスピードとポテンシャルほどに満足させてくれるものではないだけに、まあ後半決着かなぁと思っていたらさにあらん。左のロングフックで相手のひるませると、ガードの隙間にここしかない!という会心の右フック!開始からまともに当たったクリーンヒット1発のKO!いやぁさすがに驚きました。今回の相手もランキング10位とアンドレ・ベルト有利ではあったものの、まさかのワンパンチKO。今年のアンドレ・ベルトは一味違うのかもしれません。


逆に残念だったのがセレスティーノ・カバジェロ。180cmの長身でWBAスーパーバンタム級を10度防衛した名王者でしたが、2階級上げたスーパーフェザーの試合ではその力を発揮しきれず判定負け。メンタルの面の問題もありましたが、今まで見下ろしていたのと違い、相手のジェイソン・リッツォーも長身の選手だったせいか今までのようにうまくパンチを当てることが出来ずに雑なパンチを繰り返しての判定負け。パッキャオや長谷川が楽々超えてみせたかと思った階級の壁。去年はその壁が一気に壊されましたが、今年はそう簡単に克服できるとは限らないようです。