学校の廊下で呼び止められ、技能員のIさんから珍しいテントウムシを見つけたと報告されました。
「見たこともない模様をしていて、とにかく大きかった」、と、Iさんは尋常ならざる印象を持った様子で、スマホで撮った写真と動画を見せてくれました。
あとで、「テントウムシ 大きい」、と、入力してネット検索すると、すぐにカメノコテントウ( Aiolocaria hexaspilota)という大型のテントウムシ科の昆虫であることが分かりました。成長の良いものだと、なんと体長1センチをゆうに超えてくるようですから、実際に見たらかなりのインパクトがあるでしょうね。私もIさん同様、こんな模様のテントウムシは見たことはありませんでした。
身近で見かけないのは、カメノコテントウがクルミ科の樹につくクルミハムシやドロノキハムシ、そしてエノキにつくエノキハムシという、ハムシの幼虫を食べるからです。つまり、アブラムシを食べて育つナミテントウやナナホシテントウと違って、住んでいる場所が限られます。校庭にはエノキが生えているから、その樹で育った個体だと思いました。
今回Iさんがカメノコテントウを見つけたのは雨合羽の中。今は大寒ですからつまり、越冬のために潜んで寝ていたところをIさんに起こされてオロオロしている図になります。そう思うと可哀そうに思います。
けれども、越冬するときは集団になると書いてある情報もあるので、もっと雨合羽の中を探せば他にもたくさんいたかもしれなくて、どうせなら、Iさんにはもうひと踏ん張りして貰って、こう、ざ~っと大量のカメノコテントウが写っている写真を撮って欲しかった気持ちにもなります。
珍しい昆虫がいることを教えて貰ってうれしい気持ちになったけれど、カメノコテントウは九州から北海道にまで広く分布している一般的な種です。それに日本にテントウムシ科の昆虫は180種ほどもいるそうですから、まだ見たことがない色とりどりのたくさんのテントウムシがいるはずで、そんなことも知らないで50年以上生きてきたんだと思うと、ちょっと恥ずかしく思いました。