蘇州軌道交通の旅(12) | 蘇州日記

蘇州日記

2015年4月から蘇州に単身赴任しています。蘇州での生活をブログに書いてる人が大勢いて、赴任前にとても参考になったので、真似することにしました。

今日は蘇州軌道交通1号線の東から11個目の駅「相門」(シャンメン)の紹介です。







東环路高架、南环路高架、西环路高架、北环快速路の4つの高架道路(バイパス)に囲まれた地域が姑蘇区だとこの前書きましたが(実際には北部と西部は高架からはみ出しています)、その区域の内側に四角形の川で囲まれた区域があります。

この区域は蘇州古城と呼ばれています。





古城と言っても、日本人がイメージする城とは違います。

昔の中国では、外敵からの防御の為に都市全体を城壁で囲むという都市作りが行われていました。「城」というのは「城壁で囲まれた区域」という意味であり、要するに「都市」のことです。

現代でも都市のことを中国語で「城市(チャンシ)」と言います。



蘇州古城は都市全体を城壁で囲み、更にその周りに外城河というお堀があるという作りになっています。

イメージとしては、日本の皇居を12倍に拡張して、その中に都市をすっぽり収めたという感じです。



こちらが外城河です。

蘇州は水の都とか呼ばれている割には、園区には湖はあるものの、川はドブ川みたいなセコイのしかないのですが、ようやく川らしい川に出会いました。





川の内側には城壁があり、城壁があるからにはもちろん門があります。

しかし、蘇州古城に全部で17あった門は、国共内戦後にほぼ全てが取り壊されました。

共産主義時代の中国では、清朝以前の旧来の中国文化は共産主義革命に逆行する存在ということで、どんどん壊しちゃったのだそうです。

しかし、近年の中国では、愛国心を鼓舞する目的から政府が中国文化を大切にする方向に転換しており、その流れの中で蘇州古城のいくつかの門がごく最近になって復元されました。

そのひとつが相門です。





城壁があって、その一部に穴が開いていて通れるようになっています

そして、城壁の屋上には2階建の建物が付いています。

この建物は多分見張り台なのだと思います。

この写真だと小さくて見えづらいですが、見張り台の左側には銅鑼があります。

見張り台で敵の襲来を発見したら、この銅鑼で城内に知らせるのでしょう。

ゲーム『三國無双』でこういう城門を攻略した人も多いと思いますが、正にそんな感じです。



城壁の上に登ってみました。

見張り台を近くでみたら、喫茶コーナーでした(笑)





城壁屋上の東側の壁には、ところどころに外に向けて矢を放つ為の穴が開いています。





その穴を間近でみると、ちゃんと先の方が狭くなってるんですね。





城壁の裏側にはもうひとつ小さい川があります。

こちらは内城河という名前です。





外部から蘇州城を攻略するには、外城河→城壁→内城河の3つの障壁を突破しなければなりません。

なかなか堅牢な防御になっています。

それでも越は呉を攻め滅ぼしたんだから、大したものです。



相門の北には耦园(オウユアン)という庭園があります。

世界遺産である蘇州古典園林のひとつです。





蘇州には多分20個近くの庭園があると思いますが、そのうちの9つが世界遺産に登録されており、それらが蘇州古典園林と呼ばれています。

その中で耦园がどんな位置づけかということについては、いろんな観光ガイドに載ってるので省略します(笑)。





耦园の入場料金は通常期が20元、ピーク期が25元です。

僕が20元を出して「大人一枚」と言ったら、窓口のおばさんに「あなたは入場券を買うの?」と怪訝そうに聞かれました。

どうやら日本人観光客の団体が僕とほぼ同時に耦园に着いており、僕はその一人と思われた模様です。

観光客の団体ならガイドが全員分の入場券をまとめて買うので、観光客自身が買うのは変だと思ったんでしょうね。





耦园から更に北に行くと東園(东园)という区域になります。

○园という名前だからこれも古典園林のひとつかと思ってしまうところですが、こちらは新しく作られた自然公園です。

最近まで東園の中核施設として蘇州動物園があったのですが、移転の為に既に閉園しており、とても静かな区域です。

外城河があったり森林があったり池があったりして、様々な自然の景観を楽しむことができます。







こちらは外城河のほとりでたたずんでいる猫。

写真を撮ろうとしたら睨まれました!





東園の中には金沢庭園という名前の日本庭園があるのだそうです。

石川県金沢市と蘇州は姉妹都市だから作られたらしいです。

でも、僕はそのことを帰宅してから知ったので、金沢庭園の区域までは行ってません。

下調べをしてから取材旅行に出るべきでした(汗)。

次に機会があったら行ってみたいと思います。




一旦駅に戻り、公共自転車で次の駅である臨頓路(リンドンルー)の方に向かいます。

相門駅と臨頓路駅のちょうど真ん中あたりにあるのが、平江路(ピンジャンルー)という道です。

ここは蘇州の昔の街並みを保存している場所で、やはり世界遺産に指定されています。





平江河という川沿いに歩道があるという作りになっています。





河では観光客を乗せた舟が運行されています。





歩道の川でない側には喫茶店や土産物屋が並んでおり、これらの店でジュースやアイスクリームを買って、飲食しながら散歩するという感じです。





これらの店舗は昔の建物を利用しているので、古びて見えるのですが、店自体は必ずしも昔から営業しているというわけではありません。

ちゃんとスターバックスなんかもあります。





平江路を最後まで歩くと拙政園に着くはずなのですが、徒歩で30分くらいかかるので今回は断念。

拙政園には次の臨頓路駅から行くことにします。


第11回・東环路へ

第13回・臨頓路へ

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