生徒さんが書いてくれました。 | ufa ufa su

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ソプラノ堀野温代の日記です。日常の事、音楽の事など・・・。



<桜と声の通り道>

駅までの線路沿いの道に、見事な桜並木が続きます。
道を行く旦那さんの声が、心に響きました。
ほら、今年の桜、どうだ、植物の生命力はこうなんだ!って言ってるんだ。

先生も、道行く人も、日本人も、外国人も、悲劇の大きさを超える生命の力強さを感じずにはいられない、合掌と、エネルギーが取り巻いている今年の春。これまでに無く、涙がにじみ出る今年の春。

先日のレッスンで、この春のような、今年の桜のエネルギーが私にも舞い降りてきました。
呼吸だけ。歌は歌わずに、音階すらやらず、ただひたすら「深い呼吸」を体得するための1時間でした。
どうして歌を習うのか?音楽の領域を超えて、人として、感性を持って生きていくうちに、日常の様々な出来事から、自分の感情を押し殺すようになるのではないでしょうか。
そのうち、何年もたって大人になったときに、本来呼吸とエネルギーがつながり、ありのままの声であったはずなのに、どこかで声だけが途切れて、いつのまにか自分以外が中心となり、上の空のような小さな声になってしまうのではないでしょうか。

私はそんな状態からレッスンを始めました。歌いたいとは思いませんでした。ありのままの声を出したかったからです。
それはとても難しくて、他での5年間のレッスンで決して到達できないものでした。

ところが先週のレッスンで、突然、声の通り道を知りました。

その日のレッスンは、窓から見えるケヤキの木の緑の強さについてお話して、太陽のエネルギーを感じて、瞑想をし、レッスン室に正座しながら、先生の説く呼吸に合わせて体を投げ出していくうちに、私は丹田の周辺がかゆくなり始め、体中にエネルギーが通るのを感じました。先生が私の背中を何回か蹴られて、レッスン室にべったりと這った姿勢になったときに、ここに声が通るのだ、と理解しました。

桜の並木が通り道を作るように、私たちが生まれてきた自然界のエネルギーを体に取り込んだときに、声の道ができるのでしょうか。
その道に声を通して、私たちの気持ちを、外に向かって表現するために。

次のレッスンの頃、この桜は散っているでしょう。
その時に、また新しい強さを、私と私の声の中に獲得するのだと感じました。

堀野先生クラスのみなさまが一緒に、強くなれますように。

(Miyuki 会社員)