連投です  |д゚)ノ⌒●~*

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

先輩×後輩

 

 

 

 

 

放課後の教室。

夕日が差し込む窓辺に佇む男子生徒。

向かい合って立つ少女はどこか縋るように背の高い彼を見上げている。

 

その彼の顔には見覚えがあった。

それもそのはず。

 

(敦賀先輩…)

 

日本人離れした長い手脚と高い身長。 

その上の整いすぎた容姿は、男女を問わず見る者の視線を捕らえて離さない。

成績も優秀な上、年齢に似合わない落ち着いて穏やかな態度は先生方からの評判もすこぶる良い。

 

 

 

「別れてほしいの」

 

「うん」

 

「それだけ…?……っ!…最…低…」

 

ドンッと彼の胸を突いて、少女は教室を走り去っていった。

 

 

 

 

 

そんな緊迫の場面を偶然目撃してしまった私は、彼に気づかれないよう廊下を引き返そうとしたが、一歩遅かったみたいだ。

 

「なに…?」

 

「あの…え…っと…」

 

「1年生の最上さん…だっけ?…覗き?」

 

優しく語り掛ける声とは裏腹の、なんの感情も載せていない瞳。

 

「ち、違いますっ!」

 

慌てて否定する私に先輩が近づく。

 

「あ、あの…」

 

「なに?」

 

「げ、元気だしてください…」

 

「え?」

 

「先輩は誰にでも優しいし、それから…あの…だから、元気出してください」

 

「ふぅん…」

 

伸ばされた大きな手が私の頬に触れる。

想像以上の大きさと指先の冷たさに、びくっと身体が震えた。

瞳の奥の色が変わった。

見たことないような艶を含んだ、夜を感じさせる漆黒。

 

「じゃあ…君が慰めてくれる?」

 

「え…あの…」

 

「君、さ…キス…したこと、ある?」

 

「いえ、ないですけど…」

 

「教えてあげようか?」

 

先輩の瞳の奥が怪しく光った気がした。 

息を飲む私。

 

「ぷっ。くくくく。うそだよ」

 

「教えてください」

 

「え…?」

 

「キス…教えてください」

 

恐る恐る。

でもしっかりと私は先輩を正面から見据え、私からもう一歩先輩に近づいた

 

「それ以上近づいたら、もう逃げられないよ?」

 

 

引き寄せられるままに先輩の胸のなかに包まれ、私たちの唇は重なった。

 
 
 

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