ご無沙汰です。 

いやホントに…。

この半月くらい、一日が過ぎるの早かった~( ̄▽+ ̄*)

久しぶりにお話を書いたので、お見苦しいかもですがお許しを…!(´Д`;)

いつもだろ!…なツッコミもお許しを♡




゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ビギナーズキス゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



もっとキスの上手い人かと思った。

 

 

 

ゆっくりとこちらに伸びてくる長い腕。 

頬に触れる指先は少し震えていて、冷たい。

 

その冷たさに反射的に肩が揺れる。

驚いたように、私の頬に触れた手が離れた。

 

「ご、ごめん…」

 

「いえ…」

 

向かい合って座るラグの上。

敦賀さんは片膝を立てた状態で、私は正座。 

 

「………」

 

「………」

 

おたがい俯いて、沈黙。

 

「…あー。ごめん」

 

突然の謝罪の言葉に、今度はビクッと大きく私の肩が揺れた。

 

『勘違いだった』

『好きだって言ったこと、撤回したいんだけど』

『やっぱり、恋愛対象としては見れない』

 

後に続くのは、否定の言葉しか思い浮かばない。 

そんな言葉たちを覚悟して、俯いたままでスカートの裾をぎゅっと握りしめた。 

 

 

暫くして私の頭上に降りてきた言葉は…

 

「こんなに緊張するのは初めてだ」

 

「…………え?」

 

驚いて見上げた先、さっきまで私の頬に触れていた大きな掌は、それぞれのパーツが神がかり的に完璧なバランスで配置された小さな顔を覆っている。 

長く形のいい指の隙間から見えるその顔は、明らかに赤く染まっていて…

 

「つ、敦賀さん!具合悪いんですか!?か、顔色が…もしかして、熱があるんじゃ…っ?」

 

自分の置かれている状況も忘れて、慌てて近寄れば、顔を覆ったのと反対の手で近づくことを制される。

 

「ご、ごめんなさい…あの、お薬と氷枕だけ用意したら帰りますから…」

 

近づかれたくない程に拒絶され、声が震えた。 

 

(やだ…泣きそう…)

 

「後は社さんに連絡しておきますので「ちがうんだ!」」

 

敦賀さんの前では泣きたくなくて立ち上がった私の腕を、敦賀さんは咄嗟に掴んだ。 

 

「ごめん。そうじゃないんだ…」

 

「…敦賀さん?」

 

苦しそうな表情の敦賀さん。

やっぱり具合が悪いんじゃ…?

 

 

「君に触れるだけで、震えるくらい緊張する」

 

絞り出すように話すテノール。

 

 

「こんなに誰かを好きになったのは初めてで…

「ずっとずっと好きだったんだ」

「君に応えてもらった時は、心臓が止まるかほどに嬉しかった」

 

次々と零れる言葉が、日本語はずなのに理解できない。

 

「つ、敦賀さん…?」

 

敦賀さんはなおも続ける。

 

「君に触れる許可を貰えて、舞い上がっている」

 

「あの…?」

 

「お願いだから帰らないで?」

 

寂しそうに、強請るように私を見上げるきれいな瞳。

 

「…っ!?」

 

「もう一度、やりなおし」

 

そう言ってさっきのように私の頬に触れた指先は、今度は熱いくらいに熱を持っていた。 

その熱に驚いてぎゅっと目を瞑る。

 

を閉じた分鋭くなったのは嗅覚。

敦賀さんの甘く爽やかなフレグランスの香りが濃くなった。 

 

おそるおそる…そんな言葉がぴったりな程躊躇いがちに、唇に軽く触れるだけのキス。 

 

ほんの一瞬だった。 

 

顔が離れた気配に、目を開ける。 

 

「嫌…じゃなかった?」

 

 

なんなのこの人

 

 

芸能界イチいい男で。 

抱かれたい男ナンバーワンで。

世界的なハイブランドの専属モデルだって、もう何年も務めている。

演技力だって並外れているのに、それでもストイックに自分を高める努力家で。

日本中の女子がこぞって憧れる存在なのに。

 

こんな何処にでもいるような平凡な私に。 

コスメ・デ・マジックでもなければ素うどんな私に。

あの忌まわしい幼馴染からは、地味で色気もないと切り捨てられた私に。

 

キスひとつするだけで、こんなに緊張してる。

 

役者なんだから、衆人環視のなかでだってキスくらい何度もしてるはずなのに…。 

 

 

「本気で惚れた相手とキスするの、初めてなんだ」

 

 

そう言って恥ずかしそうに照れた敦賀さん。

どこの雑誌を探したって、どのDVDを観たって、こんな表情の敦賀さんは見たことない。 

そして…

 

「最高にかっこかわいい…」

 

「えぇっ!?」

 

あ…。 

どうやら思考が漏れていたみたい。 

 

驚く敦賀さんに今度は私の方から近づいた。 

 

「敦賀さん」

 

「ん?なに?」

 

そんな私を優しく抱きしめてくれた敦賀さん。 

 

「私も、本気で大好きな人とキスするの…はじめてです」

 

逞しく広い胸に顔を埋め、深く深く息を吸い込み敦賀セラピーを堪能する。

ぎゅうぅっと私を包む腕に力が籠った。

 

「本当に…君は…」

 

頭の上で敦賀さんのため息が聞こえた。

少し緩んだ腕に促されるように顔を上げると、今度は夜の艶をふんだんに宿らせた瞳が私を見下ろしていた。 

 

綺麗な顔が近づく気配に、ゆっくりと目を閉じたら、私の唇に敦賀さんのそれが優しく触れた。

 

始めは触れるだけのキス。

そのまま少し押し付けるように。

そして唇の間から敦賀さんの舌が私の唇をなぞる。

最後はちゅっと下唇を吸われた。 

 

 

前言撤回

 

 

こんなに気持ちいいキス。 

 

 

やっぱり百選練磨な遊び人で決定。






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