【東洋医学概論】
問題89 陰陽学説で同じ属性の組合せはどれか。
1. 内部 ― 上部
2. 奇数 ― 老年
3. 左側 ― 衛気
4. 静止 ― 急性
答え: 3
左側は陽、衛気も陽である。 したがって、3が同じ属性の組み合わせとなる。
1. 内部は陰、上部は陽である。 内部-下部あるいは外部-上部とすれば、正しい組み合わせとなる。
2. 奇数は陽、老年は陰である。 奇数-少年あるいは偶数-老年とすれば、正しい組み合わせとなる。
4. 静止は陰、急性は陽である。 静止-慢性あるいは運動-急性とすれば、正しい組み合わせとなる。
問題90 五行色体の組合せで正しいのはどれか。
1. 唾 ― 呻
2. 香 ― 鼻
3. 辛 ― 思
4. 爪 ― 神
答え: 1
唾は五液(涙・汗・涎・涕・唾)の水であり、呻は五声(呼・笑・歌・哭・呻)の水である。 したがって、1の組み合わせが正しい。
2. 香は五臭(臊(そう)・焦・香・腥・腐)の土であり、鼻は五官(目・舌・口・鼻・耳)の金である。 香-口あるいは腥-鼻とすれば、正しい組み合わせとなる。
3. 辛は五味(酸・苦・甘・辛・鹹)の金であり、思は五志(怒・喜・思・憂・恐)の土である。 辛-憂あるいは甘-思とすれば、正しい組み合わせとなる。
4. 爪は五華(爪・面色・唇・毛・髪)の木であり、神は五神(魂・神・意・魄・志)の火である。 爪-魂あるいは面色-神とすれば、正しい組み合わせとなる。
問題91 肺に作用して発声・呼吸を推動するのはどれか。
1. 営気
2. 衛気
3. 宗気
4. 元気
答え: 3
宗気は、水穀の精微と天の清気が合わさり、化生される。 胸中に集まって、心の血を推動し、肺の呼吸と発声を推動する。 したがって、3が正解。
1. 営気は、豊かな栄養分を持ち、血の一部として脈中に入る。 全身をめぐり、組織・器官などの活動を支える。
2. 衛気は、外は皮膚・肌肉から、内は臓腑に至るまで、全身にくまなく分布する。 外邪の侵襲を防ぎ、皮毛を潤す。 また、肌肉・皮毛・臓腑などを温め、腠理(そうり)の開闔によって発汗を調整し、体温を一定に保つ。
4. 元気(原気)は、人体の最も根本的な気であり、生命活動の原動力となる。 先天の精から化生される先天の気である。
問題92 五神の志を蔵すのはどれか。
1. 脾
2. 肺
3. 腎
4. 肝
答え: 3
五神の魂は肝、神は心、意は脾、魄は肺、志は腎に蔵される。 したがって、3が正解。
問題93 外邪とその特徴の組合せで正しいのはどれか。
1. 火邪 ― 動血
2. 風邪 ― 収斂
3. 湿邪 ― 遊走性
4. 寒邪 ― 粘滞性
答え: 1
火邪は、温熱性・炎上性があり、気と津液を損傷しやすく、生風・動血する。 したがって、1の組み合わせが正しい。
2. 風邪は、軽揚性・開泄性・遊走性があり、他の外邪を引き連れてくるため、「百病の長」と呼ばれる。 収斂性(収引性)があるのは、寒邪である。
3. 湿邪は、重濁性・粘滞性・下注性があり、脾を損傷しやすい。 遊走性があるのは、風邪である。
4. 寒邪は、寒冷性・凝滞性・収引性があり、陽気を損傷しやすい。 粘滞性があるのは、湿邪である。
問題94 次の文で示す症状の病因はどれか。
「2日前から喉が痛む。鼻がつまり、頭が痛く、顔がむくむ。」
1. 風邪
2. 湿邪
3. 暑邪
4. 燥邪
答え: 1
風邪には軽揚性があり、身体上部・体表・肺を侵しやすく、頭痛・鼻づまり・咽喉部のかゆみや痛み・眼瞼や顔面の浮腫などの症状を起こしやすい。 したがって、1が正解。
風邪の開泄性は、腠理(そうり)を開けて衛気や津液を外へもらす。 遊走性は、症状の出る部位や時間が一定しない、他の病変へ転化しやすい、痙攣・振戦など「動く」症状が出やすいなどの特徴を示す。
2. 湿邪の重濁性は、陽気を滞らせて頭や身体が重い・四肢がだるいなどの症状を起こし、排泄物や分泌物を濁らせる。 粘滞性は、排泄物や分泌物の粘稠度を増し、気機を滞らせて気血の流れを悪化させ、疾病を長引かせる。 下注性は、下痢・下肢の浮腫・排尿障害・帯下など、下半身の症状を起こす。 脾は喜燥悪湿の性質があり、湿邪は脾陽を損傷しやすく、脾の不調は痰湿の停滞を招く。
3. 暑邪は、夏季に出現する熱邪で、その炎熱性と昇散性は高熱と大汗を起こし、気と津液を消耗させる。 夏季の気候から、暑邪は湿邪を伴いやすく、脾の運化を失調させやすい。
4. 燥邪は、秋に出現することが多く、その乾燥性は津液を損傷しやすく、口や鼻から侵入して肺を損傷しやすい。
問題95 腎陽虚証の症状はどれか。
1. 煩熱
2. 浮腫
3. 不眠
4. 口渇
答え: 2
浮腫は、津液の輸送・代謝が失調して、余分な水をうまく排泄できないために起こる。 腎陽虚では、腎気の主水機能や温煦作用が低下しているため、浮腫を生じやすい。 したがって、2が正解。
1. 煩熱とは、発熱と同時に心煩・煩躁がある状態。 裏熱が盛んになって、気や陰を損傷した場合に起こる熱証の症状である。 陽虚は虚寒証であり、煩熱は生じない。
3. 不眠は、心血虚や心陰虚、心火亢盛、心腎不交(心腎陰虚+心火亢盛)、痰熱擾心、肝火擾心などで、心神の安寧が脅かされることで起こる。
4. 口渇は、口や咽喉の乾きを自覚して、飲水を欲する状態である。 多飲する場合は、実熱によって津液を損傷している。 口渇してもあまり飲めない場合は、陰虚(虚熱)によるものか、痰飲や瘀血(おけつ)などによって津液の輸送・代謝が失調したものである。 陽虚(虚寒)で口渇は生じない。
問題96 病証と症状の組合せで正しいのはどれか。
1. 肝血虚 ― 目の充血
2. 脾気虚 ― 内臓下垂
3. 心陽虚 ― 盗汗
4. 肺陰虚 ― 壮熱
答え: 2
脾気虚で、脾機能の低下が昇清に影響すると、生理物質を上昇させることや、組織や器官を正常な位置に保つことが難しくなり、慢性下痢や内臓下垂などを生じる。 したがって、2の組み合わせが正しい。
1. 肝血虚では、肝血の不足によって、目を十分に潤すことができないために目乾となり、目を滋養できないために目花(目のかすみ)が生じる。 目赤(目の充血)は、肝陽上亢や肝火上炎など、火熱が上昇することで起こる。
3. 心陽虚では、気虚が進行して陽虚となるため、懶言・自汗・倦怠感・無力感などの気虚症状が強くなるとともに、畏寒・四肢の冷えなどの寒症状を伴う。 盗汗は陰虚の症状である。
4. 肺陰虚は裏虚熱証であり、虚熱によって盗汗・のぼせ・ほてり・口乾・頬紅などが生じる。 壮熱は、高熱の身熱が続くもので、裏実熱証によって起こる。
問題97 次の文で示す経脈の病証はどれか。
「48歳の女性。 発汗、喉の腫れがあり、耳が聞こえにくく、耳鳴りが続く。」
1. 足の陽明経
2. 手の太陽経
3. 足の少陰経
4. 手の少陽経
答え: 4
症例をみると、発汗に、喉と耳の症状がある。 1~4の中で、津液代謝に関係し、流注が頸部と耳を通るのは手の少陽三焦経である。 したがって、4が正解。
手の少陽経は、薬指内側端から手背、前腕後面、肘頭、上腕後面、項部、耳の後部・上部、側頭部を通る。 経脈病証の症状としては、耳の後ろ・肩上部・上肢後面の痛み、薬指の麻痺、目尻から頬の痛み、難聴、咽頭・喉頭の炎症、汗などがみられる。
1. 足の陽明経は、鼻翼外方から前頸部、前胸部、前腹部、下肢前面を通る。 経脈病証の症状としては、顔面麻痺、前頸部の腫れ、前胸部・腹部・鼡径部・下肢前面・足背の痛み、躁鬱、鼻出血、消化吸収の異常などがみられる。
2. 手の太陽経は、小指内側端から手の内側、前腕後内側、上腕後内側、肩関節、肩甲骨、側頸部、頬、耳を通る。 経脈病証の症状としては、頸が腫れて振り向けない、肩・上腕の激しい痛み、頸・肩・上肢後面内側の痛み、のど・あごの腫れ・痛み、難聴などがみられる。
3. 足の少陰経は、足第5指から足底、内果、下腿後内側、膝窩内側、大腿後内側、前腹部、前胸部を通る。 経脈病証の症状としては、腰・大腿内側の痛み・冷え・しびれ、足底のほてり、口腔内・咽頭部の炎症、空腹感はあるが食欲がない、顔色がくろずむ、呼吸が苦しく咳き込む、血痰、立ちくらみ、寝ることを好んで起きたがらない、心配性でびくびくするなどがみられる。
問題98 陰虚にみられる舌苔はどれか。
1. 厚苔
2. 潤苔
3. 膩苔
4. 少苔
答え: 4
少苔は、舌苔が薄苔よりもさらに薄いもので、陰虚にみられる。 したがって、4が正解。
1. 厚苔は、舌苔が厚く舌体が見えないもので、痰湿や食滞にみられる。
2. 潤苔は、舌苔に適度な潤いがあるもので、健康なものにみられる。
3. 膩苔は、顆粒が細かく緻密で、ねっとりした苔が舌面にべったりと張り付き、剥離しにくい有根苔で、痰湿や食滞にみられる。
問題99 次の文で示す患者の腹診所見はどれか。
「75歳の女性。 半年前から膝に力が入らない。 姿勢は前かがみで、1回の尿量が少なく、足がむくむ。」
1. 胸脇苦満(きょうきょうくまん)
2. 虚里の動(こりのどう)
3. 少(小)腹急結 (しょうふくきゅうけつ)
4. 小腹不仁(しょうふくふじん)
答え: 4
小腹不仁は、臍下に力がなく、フワフワしていて、知覚鈍麻があるもので、八味丸の証であり、腎の病に多い。 症例は、75歳という高齢で、膝に力が入らず、尿量が少なく、足の浮腫があることから、腎の病証であり、小腹不仁で下腹部に力が入らないために、姿勢が前かがみになっていると考えられる。 したがって、4が正解。
1. 胸脇苦満は、季肋部に充満感があり、肋骨弓の下縁に指を入れようとしても、苦満感や圧痛があって入らないもの。 小柴胡湯・大柴胡湯の証であり、肝胆の病に多い。
2. 虚里の動は、左乳下の動悸(心尖拍動)のことであり、「目で見てあるが如く、なきが如く、手で按じて静かにうつものが良い」とされている。
3. 少(小)腹急結は、下腹部(とくに左下腹部)に抵抗や硬結があるもので、桃核承気湯の証であり、瘀血(おけつ)の腹証である。
問題100 次の文で示す症状に対し、難経六十九難に基づく適切な治療穴はどれか。
「食欲がなく、腹部膨満感、下痢があり、手足に無力感がある。」
1. 足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部。
2. 手掌、第5中手指節関節の近位端と同じ高さ、第4・第5中手骨間
3. 前腕、橈骨下端の撓側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸
4. 足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際
答え: 2
症例は「食欲がなく、腹部膨満感、下痢があり、手足に無力感がある」とあり、脾の虚証である。 難経六十九難では、脾虚に対して、自経(脾経=土経)または母経(火経=心経または心包経)の母穴(榮火穴)を取穴する。 手掌、第5中手指節関節の近位端と同じ高さ、第4・第5中手骨間に取るのは、少府(しょうふ)であり、心経(火経)の榮火穴である。 したがって、2が正解。
1. 足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部に取るのは、太渓(たいけい)であり、腎経(水経)の兪土穴である。 腎の原穴(げんけつ)として腎病の治療穴とされることはあるが、難経六十九難には用いられない。
3. 前腕、橈骨下端の撓側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸に取るのは、経渠(けいきょ)であり、肺経(金経)の経金穴である。 難経六十九難では、腎虚に用いられる。
4. 足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際に取るのは、太白(たいはく)であり、脾経(土経)の兪土穴である。 難経六十九難では、肺虚や心実に用いられる。
問題101 次の文で示す症状に用いる刺法はどれか。
「足から膝にかけて冷えがあり、水様便が出る。」
1. 短刺
2. 偶刺
3. 陰刺
4. 報刺
答え: 3
1~4いずれも古代刺法の十二刺(十二経に応じる刺法)である。 症例は「足から膝にかけて冷えがあり、水様便が出る」とあり、寒厥(冷感が足先から膝や腰まで上がって下痢をする病態)である。 寒厥に対し、左右の内踝の後ろ(太渓)に同時に刺すのは陰刺で、3が正解。
1. 短刺は、骨痺に対し、鍼を揺すりながら骨まで深く刺して、鍼先で骨を上下にこするようにする。
2. 偶刺は、心痺に対し、胸部と背部の圧痛点・反応点に一鍼ずつ(前後で2本)刺す。
4. 報刺は、痛むところが動いて定まらないときに、痛むところを追いかけて次々に刺す。
【経絡経穴概論】
問題102 少海(しょうかい)から神門(しんもん)までと同じ骨度はどれか。
1. 脛骨内側顆下縁から内果尖
2. 胸骨体下端から恥骨結合上縁
3. 足指尖から踵
4. 足三里(あしさんり)から解渓(かいけい)
答え: 3
少海は肘窩横紋と同じ高さ、神門は手関節掌側横紋上にあり、その骨度は肘窩から手関節横紋までの1尺2寸と同じである。 足指尖から踵までは1尺2寸。 したがって、3が正解。
1. 脛骨内側顆下縁から内果尖までは1尺3寸。
2. 胸骨体下端から恥骨結合上縁までは、胸骨体下端から臍中央の8寸に、臍中央から恥骨結合上縁の5寸を加えて、1尺3寸。
4. 足三里は、膝窩と同じ高さの犢鼻(とくび)の下方3寸。 解渓は外果尖と同じ高さ。 膝窩から外果尖までの1尺6寸から3寸を差し引いた1尺3寸が、足三里から解渓までの長さである。
問題103 経穴の部位と動脈の組合せで正しいのはどれか。
1. 人迎(じんげい) ― 顔面動脈
2. 曲沢(きょくたく) ― 尺骨動脈
3. 申脈(しんみゃく) ― 後脛骨動脈
4. 太衝(たいしょう) ― 足背動脈
答え: 4
太衝は、第1・第2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部に取る。 したがって、4の組み合わせが正しい。
1. 人迎は、甲状軟骨上縁の外方で、胸鎖乳突筋の前縁、総頸動脈拍動部。 顔面動脈拍動部に取るのは、大迎(だいげい)である。
2. 曲沢は、肘関節を屈曲して上腕二頭筋腱を緊張させ、その県の内側陥凹中、上腕動脈拍動部。 上腕動脈は、曲沢の先で、尺骨動脈と橈骨動脈に枝分かれする。 尺骨動脈上に並ぶのは、霊道(れいどう)、通里(つうり)、陰郄(いんげき)、神門(しんもん)である。
3. 申脈は、外果尖の直下、長腓骨筋腱の下縁で、腓骨動脈の枝である外果動脈網部となる。 後脛骨動脈拍動部に取るのは、太渓(たいけい)である。
問題104 長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間にとる経穴はどれか。
1. 太淵(たいえん)
2. 偏歴(へんれき)
3. 陽渓(ようけい)
4. 列欠(れっけつ)
答え: 4
列欠は、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分。 したがって、4が正解。
1. 太淵は、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部。
2. 偏歴は、陽渓(ようけい)と曲池(きょくち)を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方3寸で、長母指外転筋中。
3. 陽渓は、手関節背側横紋橈側、橈骨茎状突起の遠位、タバコ窩(橈骨小窩)の陥凹部。
問題105 伏在神経の支配領域にある経穴はどれか。
1. 梁丘(りょうきゅう)
2. 犢鼻(とくび)
3. 足三里(あしさんり)
4. 豊隆(ほうりゅう)
答え: 2
犢鼻は、膝蓋靱帯外方陥凹部で、伏在神経膝蓋下枝の支配領域にある。 したがって、2が正解。
1. 梁丘は、外側広筋と大腿直筋腱外縁の間、膝蓋骨底の上方2寸で、外側大腿皮神経・大腿神経の支配領域である。
3. 足三里は、犢鼻と解渓(かいけい)を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸で、外側腓腹皮神経・深腓骨神経の支配領域である。
4. 豊隆は、前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸で、外側腓腹皮神経・深腓骨神経の支配領域である。
問題106 直刺して円回内筋にあたる経穴はどれか。
1. 四瀆(しとく)
2. 少海(しょうかい)
3. 郄門(げきもん)
4. 尺沢(しゃくたく)
答え: 2
円回内筋は、前腕浅層の屈筋群のひとつで、上腕骨内側上顆と尺骨鉤状突起に起始し、橈骨中央外側面の円回内筋粗面に停止する。 手少陰心経の少海は、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さで、直刺すると円回内筋に当たる。 したがって、2が正解。
1. 四瀆は、橈骨と尺骨の骨間の中点、肘頭の下方5寸。 総指伸筋と小指伸筋。
3. 郄門は、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方5寸。
4. 尺沢は、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部。 上腕二頭筋腱と上腕筋。
問題107 経穴と筋・腱の位置関係で正しいのはどれか。
1. 霊道(れいどう)は尺側手根屈筋腱の尺側にある。
2. 支正(しせい)は尺側手根伸筋と小指伸筋の間にある。
3. 曲沢(きょくたく)は上腕二頭筋腱の橈側にある。
4. 間使(かんし)は長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間にある。
答え: 4
間使は、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸。 したがって、4が正しい。
1. 霊道は、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1寸5分。
2. 支正は、尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸。
3. 曲沢は、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱内方(尺側)の陥凹部。
問題108 気衝(きしょう)との位置関係で正しいのはどれか。
1. 下方3寸に足五里(あしごり)がある。
2. 上方1寸に水道(すいどう)がある。
3. 外方2寸に衝門(しょうもん)がある。
4. 内方5分に急脈(きゅうみゃく)がある。
答え: 1
気衝は恥骨結合上縁と同じ高さで、前正中線の外方2寸の大腿動脈拍動部、天枢(てんすう)の下方5寸、曲骨(きょっこつ)の外方2寸。 足五里(あしごり)は、気衝(きしょう)の下方3寸の動脈拍動部にある。 したがって、1が正しい。
2. 水道は、天枢の下方3寸なので、気衝の上方2寸。
3. 足太陰脾経の衝門は、鼡径溝、大腿動脈拍動部の外方であるが、前正中線の外方4寸より少し内側に位置しており、気衝の外方1寸5分くらいの位置である。
4. 急脈は、曲骨の外方2寸5分なので、気衝の外方5分である。
問題109 取穴法で正しいのはどれか。
1. 豊隆(ほうりゅう)は前脛骨筋の外縁、外果尖の上方6寸に取る。
2. 光明(こうめい)は腓骨の前縁、外果尖の上方5寸に取る。
3. 復溜(ふくりゅう)はアキレス腱の前縁、内果尖の上方4寸に取る。
4. 中都(ちゅうと)は脛骨内側面の中央、内果尖の上方8寸に取る。
答え: 2
光明は、腓骨の前方、外果尖の上方5寸。 したがって、2が正しい。
1. 豊隆は、前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸。
3. 復溜は、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸。
4. 中都は、脛骨内側面の中央、内果尖の上方7寸。
問題110 前腕部にある絡穴の部位はどれか。
1. 尺側手根屈筋腱の撓側縁、手関節掌側横紋の上方1寸
2. 尺骨頭橈側の陥凹部、手関節背側横紋の上方1寸
3. 尺骨の橈側縁、手関節背側横紋の上方3寸
4. 長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸
答え: 1
尺側手根屈筋腱の撓側縁、手関節掌側横紋の上方1寸にあるのは、通里(つうり)で、手少陰心経の絡穴である。 したがって、1が正解。
前腕部にある絡穴は、このほかに、手太陰肺経の列欠(れっけつ)、手厥陰心包経の内関(ないかん)、手太陽小腸経の支正(しせい)、手陽明大腸経の偏歴(へんれき)、手少陽三焦経の外関(がいかん)がある。
2. 尺骨頭橈側の陥凹部、手関節背側横紋の上方1寸にあるのは、養老(ようろう)で、小腸経の郄穴(げきけつ)である。
3. 尺骨の橈側縁、手関節背側横紋の上方3寸にあるのは、会宗(えそう)で、三焦経の郄穴(げきけつ)である。
4. 長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸にあるのは、間使(かんし)で、心包経の経金穴である。
問題111 絡穴が八脈交会穴である経脈はどれか。
1. 手の太陽経
2. 足の太陽経
3. 手の少陽経
4. 足の少陽経
答え: 3
1~4の中で、絡穴が八脈交会穴になっているのは、手の少陽三焦経の外関(がいかん)である。 したがって、3が正解。 このほかに、十二経脈の絡穴で八脈交会穴になっているのは、手の太陰肺経の列欠(れっけつ)、手の厥陰心包経の内関(ないかん)、足の太陰脾経の公孫(こうそん)である。
1. 手の太陽小腸経で、八脈交会穴になっているのは、後渓(こうけい)で、兪木穴である。
2. 足の太陽膀胱経で、八脈交会穴になっているのは、申脈(しんみゃく)である。
4. 足の少陽胆経で、八脈交会穴になっているのは、足臨泣(あしりんきゅう)で、兪木穴である。
問題112 奇穴の取穴と主治の組合せで正しいのはどれか。
1. 百会(ひゃくえ)の前後左右の各1寸 ― 胃炎
2. 翳風(えいふう)の後方約1寸 ― 歯根炎
3. 足三里(あしさんり)の下方約2寸 ― 胆嚢炎
4. 中極(ちゅうきょく)の外方3寸 ― 膀胱炎
答え: 4
中極の外方3寸に取るのは子宮(しきゅう)で、その主治は婦人科系疾患と膀胱炎である。 したがって、4の組み合わせが正しい。
1. 百会の前後左右の各1寸に取るのは四神聡(ししんそう)で、その主治は頭痛、眩暈、癲癇、精神病、中風である。 胃炎や胃疾患を主治とする奇穴は、痞根(ひこん)や六つ灸である。
2. 翳風の後方約1寸に取るのは翳明(えいめい)で、その主治は老眼、近視、耳下腺炎、耳鳴り、眩暈、不眠症である。 歯根炎を主治とする奇穴は、夾承漿(きょうしょうしょう)である。
3. 足三里の下方約2寸に取るのは闌尾(らんび)で、その主治は急性虫垂炎である。 胆嚢炎を主治とする奇穴は、胆嚢点(たんのうてん)である。
問題113 奇穴の取り方で正しいのはどれか。
1. 内膝眼(ないしつがん)は膝関節部、膝蓋骨底上際中央の陥凹部に取る。
2. 痞根(ひこん)は第1腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に取る。
3. 十七椎(じゅうななつい)は後正中線上、第5腰椎棘突起下方の陥凹部に取る。
4. 腰痛点(ようつうてん)は手背、第2・第3および第3・第4中手骨底間の陥凹部の2点に取る。
答え: 3
十七椎は、後正中線上、第5腰椎棘突起下方の陥凹部に取る。 したがって、3の記述が正しい。
1. 内膝眼は、膝前面、膝蓋靱帯内方の陥凹部に取る。 膝関節部、膝蓋骨底上際中央の陥凹部に取る奇穴は、鶴頂(かくちょう)である。
2. 痞根は、第1・第2腰椎棘突起間、外方3寸5分に取る。 第1腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に取るのは、奇穴ではなく、足の太陽膀胱経の肓門(こうもん)である。
4. 腰痛点(ようつうてん)は、手背、第2・第3および第4・第5中手骨底間の陥凹部の2点に取る。
問題114 肩甲挙筋のトリガーポイント好発部位に当たるのはどれか。
1. 肩井(けんせい)
2. 肩髃(けんぐう)
3. 天髎(てんりょう)
4. 肩外兪(けんがいゆ)
答え: 4
肩外兪は、肩甲挙筋のトリガーポイント好発部位である。 したがって、4が正解。
肩井と天髎は僧帽筋の、肩髃は三角筋のトリガーポイント好発部位である。