「真由ちゃん。由美、何であいつに構うんだろうね?」
取り巻きの一人が訊ねた。
「知らないわよ。いいカッコでもしたいんじゃない?」
「そうなのかなぁ?」
あっけらかんと返した真由子だったが、心の奥底では気に食わない。
どうして、あんなヤツに構おうとする? どうしてあいつばっかり……。
あんな根暗で、下ばっかり向いてるようなヤツなんて、相手にしなきゃいいのに。
どうして由美は……。由美だけじゃない。健太だってそうだ。幼馴染だからって、あんなに気にかけなくたっていいじゃないか。どうしてあんなヤツを健太は好きなんだろう?
どうして……自分じゃないんだろう?
「真由ちゃん?」
自然と俯いた真由子に、取り巻きが覗き込む。
「どうかしたの?」
「何でもないわよ」
真由子は顔を上げ、何でもないように装った。
その日一日、事態は何も進展することはなかった。翼は思わず溜息をついた。
「上手くいかないなぁ」
優子は話しかければちゃんと答えてくれる。笑顔を見せることはないものの、少しは心を開いてくれていると思う。
だけどダメだ。自分と仲良くなったとしても、クラスの中で孤立しているのには変わりない。
どうすれば皆と仲良くなることができるんだろう?
「やっぱ外見かなぁ……」
あの暗い印象の外見をどうにかすれば、皆の見方も変わるだろうか?
「いや、その前に……」
真由子との不和をどうにかすることが先決だ。
さて。どう動くか。